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国を持たない最大の民族・クルド人

クルド人の美人なリリーさん(仮名)は22歳。
8ヶ月のワーラムくんのお母さんです。

彼女は16歳のときにトルコから日本に来ました。
すでに日本に難民として来ていた旦那さん(当時は婚約相手)の元へ。

クルド人は、
トルコやシリアにまたがって存在する民族です。
「クルド人」であるものの、
彼女たちには国がありません。

たから、
「トルコのクルド人」「シリアのクルド人」
となります。

(画像は朝日新聞より)

クルド人の民意が届く政府はありません。
クルド語を公用語とした国もありません。

だから

「国を持たない最大の民族」

と呼ばれます。

どの国にいるクルド人も、

言ってみれば宙ぶらりんです。

さて、リリーさんが生まれたのは、
トルコの南東部。
シリアと国境を接している小さな町です。

シリアの内戦がひどくなるにつれ、シリア国内のクルド人がトルコにも流れ込んだり、治安は悪化。政府からの弾圧も強まりました。

彼女はクルド人です。
クルド語が母語…のはずです。
でも、クルド語はあまり上手くありません。

「これクルド語でなんていうの?」と聞くと、
「えーと、待ってね、なんだっけ笑」みたいな。

彼女が上手いのはトルコ語。
学校でもトルコ語、街でもトルコ語だったからです。

でもお母さんやおばあちゃんとの
会話はクルド語でした。

トルコ人とクルド人は、
アイデンティティこそ違いますが、
見た目ではあまりわからないそうです。

でも、学校でクルド語を話すと「トルコ語を話しなさい」と言われ、バスの運転手さんにも「クルド語なんて話すな」と言われ、子どもたちは『自分の民族の言葉は話してはいけないんだ…』と劣等感を持つようになっちゃう、、、とのこと。

もっと悲しいのは名前です。

どんな国に生まれても、みんな絶対もってる名前。お父さんお母さんが一生懸命考えてつけてくれた名前は、大切なものだと思う。

そして、それを否定されたことは、
日本人ならたぶんないと思う。

クルド人の名前は
もちろんクルド語の意味を持っています。
でも…

最近は市役所などでの公式な戸籍の登録は、クルド語の名前では登録できないようになってしまいました。

リリーさんも、実は生まれたときは、
リリーさんじゃなかったとのこと…え!?

「わたしの本当の名前はね…」
と教えてくれるリリーさんを目の前に
なんだか複雑な気持ちになりました。

名前を否定される、
言葉を否定される、
文化を否定される…

自分の存在そのものが否定されます。

どうして?わたしなにか悪いことした?

理由はひとつ

「あなたがクルド人だからです」

逆らうと、当局が逮捕しにきたりします。
国家権力とはとても強いものです。

リリーさんの旦那さんは、
恐怖から逃れ自由に生きることを求めて、
難民として日本に向かいました。

すでに、日本にはクルド人が2000人ほど暮らしています。

え、なんでそんなに簡単に来れるの?
ビザは?(・д・)?

そうです。

日本とトルコは国家間が親密な関係、
仲良しです。

なので、トルコ国籍の人は日本に来るのに
ビザがなくても来れるのです。

クルド人といえど、
もってるパスポートはトルコ。

ビザなしで来れる日本を目指す人も多いそう。

日本とトルコは外交上友好関係にあります。
これ自体は素晴らしいことです。

でも、いや、だからこそ、
「トルコ政府が、トルコ国内のクルド人を弾圧している」
という理由で、日本政府がクルド人を難民と認めて保護したら、トルコ政府は怒ります。

日本政府は言います。
「トルコで迫害を受けることなんてないから帰りなさい」

日本はクルド人を難民として認めません。
どれだけ難民申請してもダメです。
きっと、この先も。

「仮放免」という状態は、
「ほんとは収容所に入れるはずだけれど、仮に放免しますよ」ということなので、自由は制限されています。

例えば彼女たちが自分の住んでいる県から出るときには、事前の申請と許可が必要なのです。

国家と国家の外交関係、経済協力関係に、個人個人の生きる権利は抹消されます。

声は、なかなか届きません。

リリーさんが暮らしてるのは、
わたしが今日行ってきた埼玉県蕨(わらび)市。

ここには、
1000人のクルド人が暮らしています。
町を歩いていると普通に見かけます。

クルド人を表す "クルディスタン"

蕨市の "わらび"を、組み合わせて、「ワラビスタン」とも呼ばれるこの町。

よくテレビでも取り上げられています。

日本人住民との共生が鍵です。

リリーさんたちは、月に一回、今日のようなクルド料理教室を通して、地域の日本人たちと仲良く知り合う機会を作ることにしました。

クルドのお母さんたちの悩みは、
日本のお母さんたちの悩みと変わりません。

子どもが熱出したらどうしたらいい?
燃えないゴミってどうやって出すの?
どこのスーパーが安いかな?

そんなことを、普通の「お母さん」と「お母さん」としてシェアできる場所があるっていいなと思いました。

リリーさんは、日本に来てから、クルド語が上手になったそうです。日本にいるクルド人の家族や友達とクルド語で話せるから。

ここでは誰も
「クルド語を話すな!」とは言わないから。

政治的な主張はそれぞれにあると思います。

でも、

わたしたちは、

"政府が守るのをやめた人たち"

"政府が守る能力がない人たち"

が、こんなにご近所にいるときに、
どう向き合ってゆけるのかな。

個人として、日本として、地球市民として。
まずは、知ることが第一歩でしょうか。

クルド料理、味が濃密!!
とっても美味しかったです(•◡•〟)
誘ってくれてありがとう!!

そして長い文章読んでくれた方、
ありがとうございました。
今度一緒にワラビスタンに行きましょう。

***参考に***

「ワラビスタン」第二の故郷

そもそも、クルド人問題とは

クルド難民強制送還事件

難民認定を巡って

料理教室を主宰するグレさん

日本クルド文化協会FB

※写真アップは本人と主催者の許可を得ています。日本クルド文化協会のホームページにも掲載されています。

ここでいただいたサポートは、入国管理局に収容されている方々に面会で会いに行くときの交通費に使わせていただきます。ありがとうございます。