乙女座長銀河団・1stミニアルバム「サヨナラ/フリクション」、2ndミニアルバム「-534-」個人的楽曲レビュー

先月(2019年6月)に、新潟のアイドルユニット・乙女座長☆銀河団(おとめざちょうぎんがだん、通称乙銀)の楽曲がデジタル配信開始となった。

それにより別箇所で楽曲レビューを書いていたが、今回の配信開始に伴い再度こちらにて加筆修正し掲載することに致しました。


1stミニアルバム「サヨナラ/フリクション」

(※現在は盤自体が入手困難なため、楽曲の順番は配信収録順に倣う)

M1 INTRODUCTION -OVERTURE-
いわゆる出囃子。緊迫感を煽るサイレンの音から始まるダンサブルなフレーズをベースとしながら、途中和のフレーズが入ったりする出囃子。
乙銀のライブはほぼこのSEから始まり、メンバーによるライブのセットリスト紹介(ももはがツイッターにて担当)の中にはこの出囃子("SE"表記)も含まれているので、これもれっきとした"1曲"であることが窺える。

M2 乙銀歌劇曲
タイトルが示すように乙銀の名刺的楽曲(当時)かつ、1stミニアルバムの実質の開幕曲。
前奏・間奏ではシリアスな調だが、歌メロでは一気に明るくなる爽快さがウリで、曲展開の多さは全曲屈指。1stミニアルバム発売前はアルバム収録のヴァージョンと比較して低いキーで披露されていたが、正式音源発売を境に収録通りのキーとなった。

M3 I VS 世界
「アイタイセカイ」と読む。速いアルペジオのイントロからそのまま超高速ビートに雪崩れ込む。なんと推定BPM200超と、アルバム中最速の曲。Cメロでは3拍子になったりするトリッキーな箇所も見られる。ライブではほぼ毎回のように披露されていたが、現在ではあまり披露されていない(2018年に発表されたアコースティックversionでの楽曲を披露することは現在でも見られる)。

なおこの曲のイントロにおいてコールされるファンによる口上は以下の通り(2018年ゆでたまご卒業以降よりこれで固定され今に至る)。
「あーよっしゃいくぞ!
乙銀ひっぱるおんざのリーダー(オイ!オイ!)
笑顔の波動を振りまくゆるキャラ(オイ!オイ!)
銀河をかけるハチャメチャ乙女(オイ!オイ!)
茜の空のその先に 答えがあるからI VS 世界」

M4 デイドリームパーティー
極厚のギターリフ、シンセリフが絡み合う、ヘヴィーさとスピード感が両立している曲。歌詞はタイトル通りの白昼夢を描いたホラー仕立て。
2番サビ後のメタルコアな雰囲気の間奏ではメンバー・ファン共にヘドバンを行ったり、その後のDメロではクラップが発生したりと一体感ある光景が見られる。
1stミニアルバムにおける丸山氏の楽曲においては唯一の、小林亮輔氏(a crowd of rebellionのヴォーカル・ギター担当)作詞によるもの。2番サビ後にかなりの早口で歌う箇所(Cメロ)が存在し、当時その箇所を担当したももはは「かなり苦労した」とプロデューサーがツイッターで語ったことがある。

M5 ハートビートが呼ぶ方へ
POP JACKERの児玉氏による、ギターカッティングが軽妙な明るく疾走感あるナンバー。2015年11月23日の2周年公演で初披露された。
間奏では「たいこ!ドンドン!たいこ!ドンドン!」とメンバー・フロアが一体となり盛り上がる。

M6 Goodbye To Love(愛よ、さようなら)
各所に見られるDマイナーのギターリフが印象的な、アルバムの白眉ともいえる異色曲。2番サビ後ではセリフを取り入れており、これまでと違ったアプローチが見られる。「ハートビートが呼ぶ方へ」と並んで、2015年11月23日の2周年公演で初披露された。

M7 神様だって楽じゃない!?
乙銀唯一のタオル曲にして、最大の盛り上がりを見せる明るい楽曲。
サビではサークルが巻き起こったり、2番後ではタオルの引っ張り合い("綱引き"と呼ばれる)が起こったり、落ちサビ(メンバーがフロアの中心に降り、そこをファンが取り囲むような状態でケチャが行われる)後のサークルではメンバーも加わったりと、いわゆる「お祭り」ナンバーであり、はちゃめちゃさでは群を抜いている。
乙銀のライブでは最後に披露されることが多いが、4周年公演以降は最終曲とは限らなかったり、或いはセットリストに組み込まれていなかったりと、ライブにおける見せ方に徐々に変化が生じてきている。

M8 流星の戯言(たわごと)
全レパートリー中で作詞が唯一当時のメンバー(あみか・ももは・りかチャン・あんり)の手によるもの。どこかのどかなイントロから始まり、子供の遊戯「花いちもんめ」のように肩を組んで前後にステップしたりする。
この楽曲においては当初のアルバムには収録されておらず、音源については2016.03.19の公演(あんり・りかチャン卒業公演)において限定でCDが販売されただけで音源そのものは入手困難であったが、「サヨナラ/フリクション」のオンライン楽曲配信に伴い、アルバム曲と共に配信される運びとなった。


…なお"大人の事情"で収録が見送られた曲についてもこちらで。

If You Go Away, I Pursue Your Phantom
タイトルの直訳は「貴方がどこかへ行くのなら、私は貴方の亡霊を追いましょう」。荒々しいオケの前面に美しいピアノをフィーチャーしており、途中若干変拍子が混じるなどフックの効いた曲。
2016年3月のあんり・りかチャン卒業公演以来披露されていなかったが、2017年11月26日の4周年記念公演にて実に1年半以上ぶりに披露された(イントロのソロパートはりかチャン→ゆでたまご)。しかし、2018年9月の1stワンマンライブ(兼ゆでたまご卒業)以降は披露されていない。

そして2019年7月現在はまだ配信が始まっていない、2ndアルバム「-534-」についてもこちらで紹介する。


2ndミニアルバム「-534-」

M1 O.T.G.N~社歌~
初見の方にはそのタイトルからは到底想像もつかないであろう壮大さを感じる派手なイントロから一転して、ハンズアップ必至のヒップホップ調に切り替わる。
歌詞の内容は、乙女座長☆銀河団(を企業と見立てた場合)の"社歌"と呼ぶよりは企業説明会そのものであり、乙銀・メンバーについての説明がサビ前に展開される。ゆでたまご卒業の後披露されたヴァージョンでは、ゆでたまご担当箇所の歌詞がそっくり変更されている(現在公式サイトなどにおける公式の歌詞表記はなし)。
サビの「Hey! Ho!」という野太い野郎ヴォイスは、Music Trace.incの代表・坂田氏によるものである。

M2 Favorite icon
時計の秒針の音と鍵盤が響く張りつめたイントロに分厚いシンセが被さり、まるでクラブの狂熱のような縦ノリ展開へとなだれ込む。2018年のゆでたまご卒業以降、楽曲の方向性が大きく変化を見せた現在においてもよくライブで披露されている。
ライブでの披露の度にノリが少しずつであるが確実に強化されていった楽曲(披露当初はファンもノリ方を模索していたためか、いわゆる"地蔵"気味であった)であり、時にはメンバーがフロアへ乱入することも見られたりする。

M3 触らないで、壊れたくなるから
4周年公演初演のノイジーかつファストなナンバーで、初披露以降はライブの1曲目に据えられることも多かった。
見どころはそのファストさを乗りこなすメンバーのパフォーマンス(特筆すべきは2番サビ→ブレイクの後、凶暴なスクリームが入る)で、曲の終了と同時にあみかがスプリットを決めるまで終始緊迫感に満ちた一曲。

M4 僕らの新世界
ファンによるメンバーコールの少ない乙銀レパートリーの中では珍しく、メンバーコールの多い和やかな楽曲(乙銀ならではの"飛び道具"的存在でもある)で、2016年11月の3周年公演において初披露された。
4周年公演以後はライブの最終曲としても据えられる傾向が見られ、2019年現在においても披露され続けている。

M5 夜空を見上げ、泣いてる君へ
あんり・りかチャン卒業後(一度目のあみか、ももはの2人体制時)に披露された曲で、2019年現在においても披露されている。イントロ部分で背を向けた二人が振り返る時に「あみか!ももは!」とコールが起こるが、これはメンバー発案によるもの。
そのタイトルもさることながら、歌詞にも「僕らは周回遅れのトップランナー」など、激しい面が多かった1stミニアルバムの曲とは打って変わった"救い"の要素がみられる優しい表現も特徴。

M6 ワールド/アゲイン
4周年公演初披露。
2ndミニアルバムの最後を飾るのは1st収録の代表曲「I VS 世界」のアンサーソングとも言える美しくも激しいファストナンバーで、美しいメロディーのサビ部分のバックを隙間のないほどの轟音が埋め尽くす。それだけでなく落ちサビ前では一斉のシンガロングが始まるなど一体感も強い曲で、初披露から現在に至るまで披露されることがとくに多い。
2019年現在はセットリストに組み込まれることが少なくなったが、3人体制時にはまさに乙銀のアンセムと呼ぶべき名刺的要素を持った楽曲であった。


…と、ここまで正式音源化されている乙銀楽曲のレビューを上げさせていただきました。
他のアイドルユニットの王道をありえない角度でぶち抜いてゆくその楽曲群が、まだ見ぬ方の元へと届くことを願ってやみません。

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