ドラマ「だから私は推しました」第7回個人的レビュー

アバンタイトル

[水辺の公園]
紀子「愛さん…ハナ、今どうなってるか知ってます?」

動画サイト(スマホ)のカットが入ります。

<衝撃映像 吊るし上げられた栗本ハナ>

それは誰が撮ったか、松田杏子の母親がライブハウスに乗り込んできた時の様子の動画(第6回参照)。

<栗本ハナを絶対に許さない。地下アイドル界から葬りましょう。お母さん、よく言った!>
<栗本ハナの自宅住所をご存知の方、僕にメッセージください。罰を与えます>

コメント欄にも過激な意見が並んでいます。
紀子「この間の話の動画とか拡散されまくって、炎上しちゃうし。ハナ、今ステージにも立てていないんです」

[愛の自室]
のりたまちゃんの話が気になったのか、スマホで問題サイト関連?を探っている愛。
辿り着いた先は、ハナが出た高校の卒業アルバム。あっさりと流出しているものなんですね。
見つけたハナの写真、しかしそこに記されていた名前は。

愛「…『塚本実花』?」

オカエリナサイ

──取り調べ 1か月前 May 30th──

[愛の職場]
小豆『おお、オバハン、どうしたんだよ』
小豆に電話をかけている愛。
愛「あ、あの、ハナ、今どうしてる?病んだり、してないよね」
小豆『うん…じゃあ、今から地図送るから、そこ来て』
愛「え?ち…?」

[椎葉法律事務所]
なんとそこは現役弁護士(自称・アイドル弁護士)・椎葉さんの事務所。
(壁に昔のアイドルのレコードジャケットらしきものが飾られています)
小豆「運営がハナを切ろうって方向で考えてんのは本当でさ。(運ばれてきたお茶をすすりながら)で、それを何とか変えられないかって椎葉さんが言い出して」
愛「椎葉さんが?」
小豆「あの人、箱推しだから。…で、その火元になってる"マル秘チャンネル"の記事(第6回参照)を削除できないかってことで、椎葉さんは今松田さんのとこに行ってる」
愛「松田さんってあの、乗り込んできた人?」
小豆「(頷いて)あの人。もしくはあの人の娘さんがブログやってる可能性高いじゃん。謝罪や補償を話し合わせてほしいっていう体で、探り入れに行ってる」
椎葉さんメチャメチャ出来る人です。別の世界線ではねちっこいヲタクカメコだったのにw

愛「そっか…椎葉さんが」
ここで自分をじっと見ている小豆の視線に気づいた愛。
愛「…?」
小豆「オバハンさあ、…他界したんじゃなかったっけ?」
愛「…なんか、(ソファにゆっくり背を預けながら)成仏できなかったー…」
小豆「そっかー…」
並んでソファに深く背を預ける二人。温泉のマッサージ機に並んで座っているようでほっこりしますw
そこにドアの音。椎葉さんが内偵から戻ってきました。
小豆「お帰りなさい!」
おまえは事務所のスタッフかw
椎葉「はい」
愛「お邪魔してます…」
椎葉「(やや間があって)お帰りなさい」
いいヲタクがいるな、この現場は。
小豆「あ、どうでした、松田さん」
椎葉「結論から言いますと、松田さんがやっている可能性はないですね
と言って封筒を取り出す椎葉さん。
愛「え?」
椎葉「この"マル秘チャンネル"のサイトをお見せしたところ、怒りに震えていらっしゃいました」

(回想・松田家)
松田『これは、うちの娘に対するプライバシーの侵害です。お詫びは、と仰るんだったら、即刻削除するように計らって下さい!』

[椎葉法律事務所]
愛「え、それってあの、表沙汰になるのを嫌がっているってことですよね?そういうのを嫌う人が、なんであんなふうに乗り込んできたんですか?」
愛の問いに、椎葉さんは「これに焚き付けられたそうです」とビラを取り出しました。
それは、

<この女を許してもいいのか
ご存知ですか?あなたの娘の精神を崩壊させた女はいま
(ハナの画像)
"楽しく""幸せに"
アイドル活動をしています>

小豆「これ…怪文書?いったい誰が」
まさにその通りの不安をあおる効果抜群の怪文書でした。
愛「あのネットに載ってた虐めの話を知ってるのは…同級生?」
オバハン、特命係ぶりを如何なく発揮しています。
小豆「…よし、じゃあハナの高校を…どこでしたっけ」
愛・小豆『ハナの高校は──』
と2人がユニゾンしている間に「当たってみます!」と立ち上がりPCを操作し出す椎葉さん。やっぱこの人出来る。
愛「ハナの高校…ネットに載ってる?」

──取り調べ 3週間前 June 10th──

[某所・喫茶店]
テーブルにつく愛と小豆。その向かい側には、ひとりの若い女性が座っている。ハナの同級生でしょうか。テーブルの上には椎葉さんの資料が乗っています。
鏑木あさ「…これ、私がこの前話してた人が書いてるかも」
愛「話をした?え、カブラギさんがですか?」
鏑木「お二人と同じような感じで、連絡があったんです。私、検索に引っかかりやすいんですかね」
愛「あ、えっとその、ここに書いてある話っていうのは本当なんですか?その、実花(=ハナ)さんが虐めをしていたっていう話は」
鏑木「してましたよ。…でも、半分乗せられちゃってた、ってのが正しいけど」
愛「乗せられてた?」
鏑木「松田さんって、全然目立たない子だったんですけど、」

(回想・高校)
鏑木『なんか、夏休みにインター(※編集注:インターアクトか?)の子たちと繋がりが出来たらしくて』

松田『やっぱ英語って、その国の人と付き合うのが一番なんだよね~。そう思わない?ね、見て~』
笑顔で級友にインターでの話をする松田杏子。
その様子を遠巻きで眺めるひとつのクラスタがいます。その中にはハナ=塚本実花の姿も。
女子生徒A「マツキョー、かなりうざいんだけど。あれ何なの?」
思っていることをすぐ口に出してしまうお年頃。毎日どこかが炎上中。
女子生徒B「なんかインターの彼氏と付き合ってるらしいよ~。調子のってんね」
女子生徒A「ねー実花?」
あ、ああそうね、と苦笑する実花。

鏑木『実花、その彼氏を茶化した合成写真を作って…』

松田と並んで写っている外国人の少年の写真…なのですが、いやはやこれは…形容しがたいですホントw
何のノリかは分かりませんが、実花が作ったのでしょう。何これぇ?ヤバ!私にも送ってよwwと嗤う彼女らに、ほんの少しどこか満足そうな表情を浮かべる実花。

鏑木『一回ウケると、どんどんエスカレートするじゃないですか。そのうち、学校中のみんなに転送されたりもして。松田さん病んで、リスカまでしちゃって。こうなっちゃうと、ドン引きですよね』
なんと手軽な公開処刑か。

(回想終わり)
[喫茶店]
鏑木「で、そうなると、今度は実花がハブられて」
愛「ハナが!?…あ、いやいや実花さんが?」
鏑木「実花、ほんとに卒業まで誰とも口きいてもらえなかったと思うんで」
残酷すぎるな。悪は他にもいる、面白がって拡散したこいつらもそうだろうに。
そしてこの騒動の真の敵は、悪意が生んだ二次的な悪意だったとでも言うのでしょうか。
愛「…」

──私、虐められてたんです、キモイって。そんな時、アイドルのライブをテレビで見て、すごく羨ましくて。私にとってサニサイって、やっ、、と辿り着いた天国みたいなとこなんです(ハナ)

愛が思い出すのは、ハナに背を向けたあの日。
差し出された手を握ることなく…

[路上]
ハナ『私も、あんな風になって、あんなとこで生きていきたいって思ったこと、思い出しました』
例のハナが倒れた日の配信アーカイブをまたも見ている愛。病院にあるまじきチャイムが鳴ったあたりで、愛の隣に小豆がやって来ます。
小豆「…そう言えばさあ、瓜田って今何やってるんだろうね。(配信アーカイブに見入る愛を見て)この前も見てなかった?それ」
愛「あ、いや…これってさ、ハナそのものだなあって。好かれたくて、ちょっと都合よく言っちゃう。で、嫌われるのが怖くて、媚びて嘘を言っちゃう。そういう…そういう気持ち、私、嫌ってほど知ってたはずなのにさあ、なのに…はあ…何であの時こう、あの手を握り返してあげられなかったんだろうって思うとさあ、もう…もおおおおお」
遂にしゃがみこんでしまう愛。ガードパイプに座っていた小豆、そこから降りて愛と同じ目線の高さにしゃがみこみます。いい奴だな本当に。
小豆「じゃあさあ、、今からすりゃあいいじゃん!
愛「(顔をあげて)…え?」
やおら立ち上がった小豆、電話をかけ始めます。何のためか?もうお分かりですね。
(※編集注:ここ大事なシーンなのですが、目に入る"けもの交通"と書かれたバス停の看板が妙に気になってしまいましたw)

[夜・水辺]
水辺で何かを待つ愛と小豆。愛は相変わらず俯いてモニョモニョしています。
そこへ小豆を呼ぶ声。二人が振り返ると、そこには花梨。そして彼女のやや後ろに着いてくるのは…ハナ。
(ホットパンツ姿の花梨ちゃんがたまらんですのう)
「ほら、行け」とばかりに愛の肩を掴んで押す小豆(かっこいい)。
それを見てか、花梨も「がんばって」とハナの肩を掴んで押します。

見つめあう二人。
長い沈黙。
最初に口火を切ったのは…

愛「ハナ、






…ごめん!!

ハナ「…」
愛「ごめん、ごめんごめんごめんごめんごめん、ごめん…」
ハナ「なんで、愛さんが謝るんですか…?」
愛「私、あの、ハナと同じとこいっぱいあるから分かるよ?『いいね』って言われたら、もっとそうしようって思っちゃうもんね。…ハナは、責められて当たり前なところもあると思う。ハナのことを責めていい人も勿論いると思う、でも!…それは、私じゃないよね。私じゃ、ないのに…ごめん!」
お互いに涙を流す二人。そう、オバハンは当事者ではないのです。
そして、愛は両手を差し出します。いつかハナが手を差し出してくれたあのポーズで。
愛「な、仲直りを…し、し、して、くれないかな…?」
ハナ「(頷きながら)私の方こそ、愛さんに嘘つく必要なんてなかったのに、もっと信じてよかったのに…ごめんなさい」
そして、ハナは愛の手を握り返します。それは、初めて二人が出会った時と真逆の構図。
ハナ「ごめんなさい」
愛「ごめん…許して、くれる?」
ハナ「私の方こそ…」

二人は、無事に"再会"できました。
その様子をやや離れて見ているもうひとつの"二人"。
花梨「ハナ、よかったよね?」
そう言って小豆の方を向く花梨でしたが、小豆は花梨を向くことなく少し笑うだけ。
再び二人の方を見つめる花梨…ややあって、少し伏し目がちな表情。
(※編集注:この辺の細かい演技が絶妙!!視聴二回目からこの表情の意味が改めて分かるのです)
ともあれ、めでたしめでたし…?





しかし…

[昼・路上]
どこかからの電話を切る花梨。
その表情は、どこか思いつめたようでもあり。

DIFFERENT SENSE

──取り調べ 2週間前 June 16th──

[サニサイ事務所]
凛怜「えーっと、要するに、椎葉さんがご好意で動いてくださって、炎上のもととなったサイトの閉鎖を実現してくれたってことですか?」
ヲタクと言う立場を飛び越えた階級特進クラスのゴールを決めた椎葉さんが事務所にいます。さすが!
椎葉「…大元を断てば、炎上はおのずと収まっていくと思います」
詩織「じゃ、また5人で出来るってことですか?」
紀子「ですよね?」
ハナ「あの、でも、それでもあの、私がいることで、迷惑かけますよね。私はやっぱり、辞めた方が」
紀子「って言うかさハナ、椎葉さんの身にもなってみなよ」
詩織「そうだよ、そんなこと言ったら、椎葉さん何のために走り回ったのって話じゃない?」
微笑むのりしお(今名づけた)。ハナちゃんいい仲間に恵まれましたね。

と、ここまではよかったのだが。
おもむろに花梨が口を開きます。

花梨「あ、でも、私は、辞めてもいいですか?

何言ってんのアナタと言わんばかりに花梨の方を見るのりしおハナ。
凛怜も硬直しています。
そしてそれは椎葉さんも。
運営!なんか言えよ!!

(ここから視点が目まぐるしく動きます)
[公園]
集結しているサニサイヲタ(愛、小豆、椎葉、小松、ヨネ。ヨネさんはこんな時でもサイリウムの束を持っています)。
そこに「すいません!お待たせしました!」と駆けてくるカッキー。

[サニサイ事務所]
花梨「今度、ブリザガ(※)さんのプロデュースするヴォーカルユニットに誘われてて」
(※編集注:元ネタは間違いなくヒャダイン氏と思われます)

[公園]
えぇぇ!?と目を見開く愛。
驚きの声をあげるサニサイヲタ。
おそらく事務所で聞いた話を顛末を椎葉さんが伝えているのでしょう。
カッキー「解散!!?」

[サニサイ事務所]
花梨「こんな時にワガママだとは思うんですけど、」

[公園]
小豆「(椎葉に詰め寄って)え、え、え、え、え何それ」

[サニサイ事務所]
花梨「ごめんなさい。私、行きたいです」
そう言って土下座一歩手前の状態に座り込む花梨。
花梨「自分を試してみたいんです。ここで、サニサイを卒業させてください!お願いします!!」
土下座を決め込む花梨。一様に狼狽の色が浮かぶ一同。
一度は花梨と仲たがいし解散寸前にまでいった凛怜の気持ちはいかばかりか。

ってか運営マジでなんとか言えよ。

だいたいそうだ ホントにそうだ すべてがうまく行くわけない
だいたいそうだ なるべくそうだ 後悔だけはしたくないのです
(タイムマシン / フジファブリック)

第5回(解散騒動回)のラストで花梨が歌っていたのがここに来て効いてきました。遂に決まってしまった本当の解散。まさかここに来て、それもリーダーの口から。

[公園]
ふらふらと歩き出す小豆。
カッキー「小豆さん、電話!」
ヨネ「そうですよ!電話してください!」
愛「聞いてみりゃいいじゃん!今!」
小豆「(振り返って)だってこんなことさあ!俺に言わないで…」
愛「だから今聞けばいいじゃん!!
前半の聴き込み部分のブーメラン、そこにタイミングよく振動する小豆のスマホ。電話の相手は…言わずもがな。
小豆にしては珍しく、手にしたスマホを爆発前の爆弾のように「えええええ」と持ってうろたえるだけ。いいから出て!と促すヲタクたち。小豆がこんなになるなんて。

[某所]
とある場所(初めて小豆と花梨が出会った場所のようにも見えます)で座りながら花梨を待つ小豆。
小豆「呼び出しといて遅くな~い?」
花梨がやって来ました。
花梨「ごめん」
そう言いながら隣に座る花梨でしたが…二人の間には、約一人分の空白。
そして沈黙も流れ…花梨が口を開きます。
花梨「椎葉さんから聞いた?」
長い沈黙。
小豆「…いい話だし、行きたくなるのは分かるけど、でも、本当にそれでいいのかなあ。せっかくここまで続けて来てさ」
何といっていいのか分からないけど、と言った感じでテンプレートな言葉を並べる小豆。おや、どうした?いつもの名言製造機の小豆らしくないぞ?
花梨「(やや笑って)変わったよね、小豆さん」
小豆「え、ええ?w」
花梨「昔の小豆さんだったら、きっと『行け』って言ってくれたと思うんだよね。サニサイなんか私の捨て石だ、って」
小豆「いや、サニサイがね、いいグループじゃなかったら俺だって『捨てろ』って言うよ。けどさ、5人バランスいいし、俺は、サニサイでど真ん中でリーダーやってる花梨が好きだから」
花梨「…ねえ、ヲタの人ってさ、他界したのに飲み会とか来る人、いるんだよね?」
小豆「…」
花梨「ヲタ仲間って楽しいんだろうなあって」
小豆「え、じゃあちょっと待ってw え、え、俺がじゃああいつらと飲みたいと思ってるから花梨に卒業すんなって言ってる、って言いたいの?」
花梨「ゼロじゃないでしょ」
小豆「ゼロだよ」
花梨「ちょっとはそういう…w」
小豆「いやいやw」
花梨「あるんだよ!!…ステージの上から見てるとね、すっごいよく見えんの、誰がどこを見てるか!」
ここで挟まるカットに、花梨の気持ちがどうなのか納得できる視聴者多数…かも知れません。
花梨「小豆さんのふとしたとき、一息ついたとき、どこ見ちゃってるか知ってるの。ただ小豆さん以上に知ってるの!!」
小豆「…」
花梨「で、私はもう、それを見ながら歌うのがつらいんだよ」
小豆「…え?え、それはー……花梨は、俺が好きってこと?」
おおいーーー小豆ーーーー!!そういうことじゃねええーーー!!
花梨「……そういうんじゃない」
ほらね。
小豆「えー何わかんない…」
花梨「私の理想は、私だけのヲタでいてくれる小豆さんなんです
そういうことよ。なんか「わかんねえ」って顔してますがこの人、そういう機微には疎かったか…。って、これいわゆる我々ヲタクサイドの側からしてみれば目に鱗かもしれません。

もっとも、アイドルさん全てこんな感情ではないかもしれませんが。

すると花梨、バッグからまんぷくヌードルを取り出します(だからなぜ)。
花梨「小豆さん…(まんぷくヌードルを差し出して)小豆さんも、ちゃんと幸せになってください
そのまま立ち上がり、花梨は去っていきました。
対して、差し出されたまんぷくヌードルを黙って受け取ることしかできない小豆。

人の心って、難しいね。

[ライブハウス・特典会]
解散が発表されたのか、一様に落ち込むヲタク達。
(ここは一部画面が左右2分割[左:ヲタク、右:サニサイ]の構図になっています)

ヨネ「こんなん、納得できないって…」
紀子「ごめんね…」(←可愛い)
ヨネ「やっとここまで来たのに、なんで…」
紀子「(笑顔で)頑張ったんだけどね」(←超可愛い)

小松「もっとしおりんと、たくさん想い出、作りたかったな」
詩織「…しおもだよ?」(←可愛い)

カッキー「や、ほんと、ええ…?」
凛怜「ごめん」(←クール)

(2分割ここまで)
そして花梨の列には小豆が…いない。
愛「(特典会列を見ながら)今日は長引くよなー…(どこかを向いて)あれ?」
愛の視線の先には、体育座りで遠くを見つめる小豆。ここにいたんか。
愛「小豆くん、並ばないの?」
小豆「(俯いて)…なんかさぁ…俺、花梨がよくわかんなくなっちゃったよ」
愛「…は?」
小豆「花梨がさあ……いや、なんでもない」
手にしたコーラの栓をひねりながらその場を後にする小豆。男は鈍感です。もっとも第三者視点でドラマを見ているからこそ分かるのかもしれないですね、実際花梨ちゃんのセリフを推しに言われたとしたら我々はどう感じるのでしょうか。ありえない話ではありますが。
愛「えぇーー…」
今度は小豆がスランプ。こんな大事な局面でTOが。しっかりしてー!
さてオバハン、小豆の去っていった方向、物陰に隠れるようにして立つハナの姿を見つけます。こっそり様子を観に来たのでしょうか。

[夜の路上]
並んで歩く愛とハナ。
愛「ハナは?復帰しないの?」
ハナ「次から解散までは出ていいよ、って言われてます」
愛「…なんか、ハナはもっと、テンパってるって思ってた」
ハナ「え?」
愛「だってさ、前の解散騒ぎの時はさ、(顔を両手で覆って)こんななってたじゃん」
ハナ「ふふふww…いや、今回はテンパる資格もないと言いますか」
愛「まあ、そりゃそうだよね…」
ハナ「でも、そうですね。なんか、思ったより落ち着いてますね、私。さみしいのはさみしいし、申し訳ないとも思ってるんですけども、(首をかしげて)なんなんでしょう」
愛「これから、どうするの?事務所で別のユニットとか、作ったりするの?」
ハナ「まだ、先の事は…」
愛「そっか。そうだよねー…」
でもこっから解散まであと2週間くらいしかないんですね。あっという間だよ…
ハナ「でも、絶対にやらなきゃって思うことは一つあって」
愛「何?」
ハナ「松田さんに会いに行くことです」
並んで歩いていた歩みを止める愛。
ハナ「(愛を見て)間違ってますかね?」
愛「ごめん、わかんない」
ハナ「ですよね」
愛「…でも、ハナはそうしたいんでしょ?」
ハナ「…はい。ちゃんと、謝らなきゃって思ってます」
決意を固めるハナを見据え、
愛「…頑張ろうね。解散ライブ」
ハナ「(笑顔で)はい」
ガッツポーズをしたりと笑顔で気合いを入れ、再び歩き出す二人でした。

…しかし、その後ろに立つ人影を、二人は知らない。

[愛の自室(グッズ撤去済み)]
オバハン、何かに打ち込んでいるようです。
「おちゃのこサニサイ」を流しながら、何やら必死にペンを動かしたり。
ベッドに横になって何かを確認した後、やおら起き上がって先ほど何かを書いていた紙を破り捨てたりと。
それは…。

[居酒屋]
愛「新しくMIXを考えてきたんだけど」
(※ここは「口上」でしょうか?)
それは、サニサイ解散に向けた、ラスト口上でした。
(いやーそうだと思ったよ、そう言えば俺(ら)も作ったもの、推しの卒業のとき。懐かしいなあ)
さてさてヲタク一同、声をあげて驚いています。その口上を「お願いしまーす!」と会議の資料でも配るかのように配布する愛。
愛「ドキドキするなあ~w」
そして早くもリハが始まります。全員黄色のサイリウムを持ちながら唱えているところがたまりませんw

おちゃのこサニサイ 解散ライブMIX

ボクらのサニサイ フォーエバー!
言いたいことが あるんだよ
やっぱりサニサイ 最高だ
みんなと出会った この奇跡
何があっても 忘れない
夢と笑顔を ありがとう

いいじゃないですか。初期衝動の固まりですよこれ。
そして満場一致でこのMIX(口上)は決定したようです。

──解散するとはいえ、みんな、ライブは楽しみにしてたんです。そして、昨日の夜──

トリカゴ

──取り調べ 前夜 June 29th──

[夜の路上]
鼻歌を歌いながら、大きな箱をカートで押す一人の男。
それは…瓜田。

[愛の自室]
SHOWCASEでハナの最後の配信を見ている愛。
<ハナピー3分クッキング>の最後の料理は、5種類の目玉焼きでした。
相変わらず観覧者でギッシリ埋め尽くされています。
(この中に目玉焼きと犀をかけあわせたような可愛いアバターがあるのですが、サニサイの配信の公式アバターなのでしょうか)
ハナ『やっぱり目玉焼き、ということで、いろんな焼き方をしてみましたけど』
<最後の目玉焼き>
<まじ泣ける…>
<何作ってやがんだ!>
みんな考えることは一緒のようです。配信画面の右側には"明日は解散ライブ!"と書かれたスケブが。
そうか、もう本当に解散前夜なんですね…。ってことは事件の時間軸に刻一刻と近づいているわけです。
ハナ『こうして見ると、サニサイみたいですね。』
その様子を笑顔で見守る愛。もう本当にお母さんですねw

ハナ『…あーそうですね。この子は、私ですね、半熟だし。私も、未熟なので』

と、そんなお母さん、ふと出現したアバターに目が行きます。

『ハナさん
料理上手になりましたね』
『昔はねぇ、歌みたいには
焼けないって言ってたのに』

それはあの"スイカちゃん"。

愛「…昔?」
何かを感じたオバハン、観覧者へのコメントを送信します。

『AI@ハナ神推し
>スイカちゃん
昔から知り合いなの?』

『>AI@ハナ神推し
もちろんですよ』

『>AI@ハナ神推し
ハナのためなら
えーんやこら!
ですから』

愛の脳裏をかすめる、あの歌い回し。

──ハナのためなら、えーんやこーら──

愛「!!?」
正体は、やはりあの男・瓜田。
瓜田は他界してなどいなかった。あの日会場から追い出されても、ずうっと配信の場に存在し、何食わぬ顔で息を潜めていたのです。
愛「ハナ、コメント…コメント、ハナ!」
なんとか瓜田の存在を伝えようとするがしかし。

『ライブ配信終了』

[取調室]
愛「……」
聖護院「どうしました?」
愛「あ、いえ、あの、ごめんなさい…思い出すと、ちょっと怖くて。それで、ハナのSHOWCASEが終わった後、」

[愛の自室]
ため息をつく愛。
配信を通してだが、瓜田が活動していることは明らかになった。
愛「どうしよう…気づいたかな?」
そこに──チャイムの音。
玄関へ出て、ドアスコープで外を確認すると、そこにはどうやら宅配業者らしい恰好の男。

男「お届けものです」

玄関の鍵を外し、ドアを開ける愛。
すると唐突に向こう側から伸びてくる腕。
強引に押さえこまれた愛は口にハンカチのようなものを当てられ…。

[取調室]
記憶を振り返ってなのか、身震いする愛。

[??]
愛が目を覚ましたのは、見知らぬ部屋。どうやら手足などは拘束されていないようだが、それより何より目に入ったのは異質な部屋。

卵パック。

壁一面に紙製の卵パックが貼られ、ところどころ電球がぶら下がっているだけの異質な部屋。まるでサイレントヒルです。
咳き込みながら立ち上がり、そこから出ようとするも…ドアは開かない。

──監禁されている?──

愛「すみません!すみません!!」

[別室]
男の鼻歌。
どうやら男は目玉焼きを作っているらしく、フライパンの奥には愛のいる部屋が映し出されたスマホが。

[??]
愛、部屋に設置されたカメラを発見する。絶叫しながら助けを求めるも、その声は届くことはない。
ふと、ドアが開く音が…そこには。

「卵パックって、防音効果があるらしいんですよ。…知ってました?」

瓜田。
思わずその場にへたり込んでしまう愛の意など介さず、フライパンを握りしめた瓜田はユラユラと立っています。
瓜田「お腹すいたでしょう、そろそろ。歌どおりでしょう?ハナが、歌みたいにうまく焼けないって言うから。だから、僕は練習してうまく焼けるようになったんです」
不気味に笑う瓜田は手元のフライパンから目玉焼きを一枚切り分けると、愛の口に押しつけてきます。素手で。
瓜田「ハナためならえーんやこーら、ですよ」
押しつけた目玉焼きをそのまま自ら喰らう瓜田…うわあもう文字で表すのも恐ろしい光景ですよこれは。
瓜田「本当は気付いていたと思うんですよ、俺がいろいろやってるって。だってぇ、アカウントの名前、スイカですよ!?ハハハハハハ…それ分かってて、あなたに伝えなかったと思うんです、楽しんでたって言うかハハハヒヒヒ…」
ひとしきり一人で笑った後、ふと声のトーンが落ちます。
瓜田「漢字で書いてみなよ…」
愛「?」
瓜田「スイカ(西瓜)って漢字で書けって言ってんだよォ!!ハァァ!なんで気づかないんだよ!?俺は!こんなにハナのことを考えてるのに!!
突然身もだえしながら絶叫しはじめる瓜田。ヤベエとかそんな領域を遥かに越えています。
瓜田「こんなの、不公平だろ!!!(大きく肩で息をしながら立ち上がって)…だから、教えてあげなきゃって思うんですよ」
ひとり喚き散らしていた瓜田は再び立ち上がり、まるで独り言のように目玉焼きを放り投げてしまいます。
瓜田「あいつ、バカだから。俺がこんなにも怒ってるって!!
フライパンを振りかざし襲い来る瓜田を突き飛ばし、開いたドアから愛は脱兎のごとく逃げ出します。
慌てて追いかける瓜田。場所は瓜田のアパートなのでしょうか、アパート?の屋外階段の踊り場で彼は愛を捕らえます。
何とかふりほどいた愛、突き飛ばした瓜田が踊り場の手すりに激突しうめいた隙に…

…宙へ向かって突き落としました。

おそるおそる眼下を見る愛、おそらく4、5階相当の場所から突き落とされた瓜田は身動き一つしていません。
恐怖からか嗚咽が止まらない愛。

──殺ってしまった──

[取調室]
愛「それが真実です」
聞いていた聖護院、ふと振動した自分のスマホを取り上げる。
愛「瓜田は、野放しにしてはいけない人間です。だから、私は瓜田を推しましt」
聖「あなた、…嘘ついてますよね?」

ゆっくりとスマホの画面を愛に見せる聖護院。
それは、彼が部下に命じて探させていた、監視カメラの記録。

2019年6月30日、16時39分22秒。
監視カメラに映っているのは、サニサイTを着た愛の姿。

[次回予告]
瓜田が突き落とされた映像が巻き戻っていく。
それは突き落としの場面から、監禁した時へ、更に時は巻き戻り…ハナの配信終了直前まで。
配信終了の操作をした瞬間響くチャイムの音。ハナはそれに気づき…

推しが導く先は──

-第7回 終了-

えーこれはつまり、瓜田が運び込まれた時間やその事件現場からあまりにかけ離れた位置にいたという証明なのでしょうか。
考えてみれば妙な話で、そもそも瓜田には直接愛を襲う動機がないのです。例の共通チェキ券制度にしたことと今回の襲撃は、根本となる原因が全く違うところにあるからです。もうここまで来ると、ハナが瓜田を突き落とした一部始終を愛が庇っている…ということで間違いなさそうですが、実際のところはどうだったのでしょうか。
それと最後、予告の部分。不気味な効果音の奥からうっすら楽曲が聴こえてきます。これはもしかして、公式HPにクレジットされている3つめの楽曲「ただいまミライ」なのでしょうか。
これも併せて気になりますね~!いったい事件の真相とは!?
最後まで、推していきます!

サニサーイ!?アップアーップ!

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