煌めく人 -ドラマ「だから私は推しました」三回裏-

三回裏、ゲームも前半戦終了といったところでしょうか。
いや今回は放送始まって以来初の心臓鷲掴み展開でした。
今回の焦点はズバリ、「一般とヲタとの間の超えられない壁」。それはアイドルという存在への捉え方だけでなく、アイドルにはつきもののヲタク(ファン)、そのヲタクへの一般的な層からの視線。…と挙げればきりがないのですが、最大の盛り上がりとなった場所はラストです。
愛がハナを推しているということを「共依存」と言い切ってしまった友人とのシーン。
しかもそれをカウンセリング行ったら?とまあ袈裟斬りに仕留められてしまう始末。
そう決めるにはちと早計すぎないか?とも感じたのですが、"現在の時間軸"での愛を見る限りはどうもそうなってしまった可能性がありそうです。なんせ「あの日からハナと私の二人三脚の日々が始まったんです」とまったく顔色変えずに言ってのけるわけですから。
それに関しては後々触れることになりそうなので、この決別シーンでの問題は別のところが大きいと感じました。それがこちらです。

(第3回より)
「昔はアイドルって、一握りの選ばれた子がなるって感じだったじゃん?
でも今は、学校でカースト低めの子がきったないライブハウス来て歌うたって、『あたしアイドルやりまーす』って、『僕はファンやりまーす』って。それで一丁上がり。アイドルってことになるんだって。
でもさあ、リアルの世界では満たされないモン同士が集まって、承認欲求満たしあって、みたいな?なんかそういう感じなんだって~w」

この辺どこまで取材をしたのかは分かりませんが、なんともリアルだなと思いました。承認欲求満たすためだけにアイドルになりたくて…とは極端かもしれませんが。
これは僕なんかが到底論じることはできない問題です。ただ、ここで言えることは一つ。

今頑張っている彼女らを下に見てはいけないこと。

知名度を上げるためにはライブやイベントに数多く出演して実績を積んでいかねばなりません。
決してホームではないアウェーでのライブの方が圧倒的に多いはず。その重圧たるや半端ではないでしょう。奇異や好奇の目に晒されながらも、笑顔でステージに立つ"仕事"を全うしなければならないのです。現実でも、かの某大手グループの大事件から、ますます世間の目や風当たりは厳しくなったと言えます。

それでも彼女らは戦っています。いつか陽の目を浴びるため。
そんな姿を見て応援したい、と彼女らの笑顔の理由になろうとする者は出てもおかしくない。たとえその応援のスタイルは滑稽に見えても、彼らもまた真剣なのです。

この辺はどこでも論じられていることだと思うのですが。
愛はその同僚の言葉により、覚悟が固まったのだと思います。その奇異の目の中にいるアイドルたちの力になりたい、どんなことがあろうとも。だから世間への隠れ蓑を脱ぎ捨てて、ヲタTで戦地へ歩みを進めた。

あの子をバカにするな、あの子は私が応援している子だ。何があろうと何も文句は言わせないと。

そのために犠牲にしたものがあって…とはまたこれはこれで別の悲しさがありますが。
何かを得るため、こんな形で何かを失わないといけないとは。

いやー、これからどうなっていくんでしょうね。

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