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『リスタート ゼロからのレベル上げ』分析と解説|09 やり込みを自動化してアニメ鑑賞を楽しむ

 この記事は、YouTuberであるマイティー氏の著書「リスタート ゼロからのレベル上げ」の中で、第1章「1日19時間365時間ゲームする日々」に書かれている内容に関して分析するとともに、これまでの検証結果との関連性を解説しています。
 また、権利者都合によりスクウェア・エニックスの製品である「ドラゴンクエストシリーズ」を始めとした製品群、および作品内に登場する固有名詞が他の言葉に置き換えられているため、あわせて解説しています。

 本シリーズの記事一覧はこちら。



マイティーと名乗る、アニメで英語を勉強するXアカウント

 まず最初におことわりですが、今回の解説は本に書かれたの内容とは直接関係ありません。あくまで、マイティー氏が所有していた、アニメで英語を勉強するという趣旨のXアカウントに関する記事です。
 このXアカウントについて知ることで、マイティー氏が他のクリエイターの作品に対して、どのように接しているかを垣間見ることができるため、番外的ですが解説していきます。

自動レベルアップ中の時間の使い方

 『ドラゴンクエストシリーズ』などの一部のゲームでは、自動で戦闘をさせ続けることにより、簡単にレベルアップできるものがあります。ただし、自動レベルアップができるようになったとしても、人力でやるか自動でやるかの差しかなく、作業時間は当然必要になります。
 結果的にゲームは放置状態となるため時間が余ることになるのですが、そのような時間の使い方について、マイティー氏は次のように述べています。

たとえば、単純なレベル上げや、ステータスをアップさせる「タネ」をひたすら集めるときは、コントローラー操作を自動化できる仕組みがあります。
(中略)
ここまでやれば、もうゲーム画面を見る必要なんてありません。
僕は、その時間を利用して、アニメやドラマを堪能するようにしています。

マイティー、リスタート ゼロからのレベル上げ、秀和システム、2024、PP. 61-62

 なお、マイティー氏はYouTuberになるにあたって、睡眠時間を3時間まで削っていると述べています。「睡眠時間を3時間まで削って、せっかく余った時間の使い方がそれなのか」と違和感を覚えるところですが、今回の解説内容とは異なるため触れません。
 今回の解説は、そのアニメの視聴方法についてです。

これは僕の持論ですが、人生の中には、睡眠を削ってでも、自分が本当にやりたいこと、やるべきことに情熱を注ぎ込む時期があっていいと思っています。
僕は思いきって、睡眠時間を3時間にしました。

マイティー、リスタート ゼロからのレベル上げ、秀和システム、2024、P. 37

「マイティー」を名乗る別のXアカウント

 マイティー氏が現在使用しているX(旧Twitter)のアカウントは、YouTubeチャンネルで本格的に活動を始めた2020年7月に作成されたものです。ただし、それがマイティー氏にとっての初のXアカウントではなく、それより以前は、『マイティー@7年間ニートからJAXA勤務、道は切り開ける』という別のXアカウントを使用していたことを次の記事で解説しました。

 ところが、こちらのアカウントも開設した時期は2020年4月2日であり、マイティー氏が現在使用しているXアカウントが2020年7月20日に開設されたことを考えると、あまりにも使用期間が短いことがわかります。
 では、2020年4月以前はXを使用していなかったかといえば、さらに別のXアカウントで活動していた記録が残っています。

 そのXアカウントは、主に日本産アニメの英語版を紹介する目的で運用されていましたが、海賊版アニメを視聴するだけでなく、さらに海賊版アニメを再アップロードするなど、かなり危険なアカウントでした。
 YouTuberとなってからは、ほとんど更新は無くなっており、最終的に、こちらのXアカウントは、2022年4月23日に動画を投稿した後に活動休止状態になった中、2022年5月10日にアカウント自体が削除されました。

2015年2月に開設されたマイティー氏のXアカウント
2020年5月10日にアカウントが削除された
2020年4月に開設されたマイティー氏のXアカウント
2020年5月10日にアカウントが削除された
2020年7月に開設されたマイティー氏のXアカウント
YouTuberの活動用として2024年時点も使用している

この記事の目的

この記事では、次の内容について解説します。

  1. Xアカウント『マイティー@アニメで英語勉強』がマイティー氏と関係があると考えられる理由

  2. 海賊版アニメ配信サイトを利用していたことが分かる解説

  3. 海賊版アニメを再アップロードしていたことが分かる解説

マイティー氏と「マイティー@アニメで英語勉強」アカウントの関係性

 何を解説するにしても、まずは『マイティー@アニメで英語勉強』というXアカウントがマイティー氏と関係がある、と判断している理由を説明しなければ始まりません。
 当たり前の話ですが、『マイティー@』という名前や文体が似ているだけでは、情報として不十分です。アカウントの関連性を調べるときは、投稿されている内容から、具体的に関連性が判断できる情報がないか比較することが基本になります。
 一般的には、本名や住所、メールアドレスといった個人情報の照合が基本となりますが、そのような情報が絶対に必要というわけではありません。例えば、持ち物や記録であっても、本人だけが持っているものだと判断できる内容であれば、関連性を確認することができます。

 ここでは、『マイティー@アニメで英語勉強』というXアカウントがマイティー氏が使用していたアカウントと分かるまでの過程を説明します。

『ココナラ』のアカウントリンク

 『マイティー@アニメで英語勉強』というXアカウントの投稿を読み進めましたが、主なコンテンツ日本アニメの英語版紹介ということもあって、ほとんどの書き込みは、マイティー氏との関連性が確認できません。
 ただし、そのような中でも投稿者がいる以上は、必ず投稿者自身について語っている内容があるもので、『ココナラ』で仕事を募集しているという、投稿者自身に関する投稿が残されていました。
 なお、『ココナラ』とは、株式会社ココナラが提供している、知識・スキル・経験といった得意を売り買いできるスキルマーケットのことです。

2015年2月に開設されたマイティー氏のXアカウント
『ココナラ』で仕事を募集している様子

『ココナラ』に掲載されている内容との比較

 Xに投稿された『ココナラ』へのリンク先のページは、『マイティー@アニメで英語勉強』というXアカウントの内容と差がありませんでした。
 ただし、さらに『プロフィール詳細』というページ先へ移動すると、JAXAの訓練生という職歴や、ポートフォリオ(自身の作品集)として制作した壺が掲載されており、関連性を確認できる可能性のある情報が残されていました。
 特にポートフォリオに掲載している作品ということは、この壺は『ココナラ』のアカウント所有者が制作したものであり、量産品ではなく固有の情報を持っていると考えられます。

 つまり、この壺とマイティー氏の関連性が明らかになれば、この『ココナラ』のアカウント、および、この『ココナラ』のアカウントを宣伝していた『マイティー@アニメで英語勉強』というXアカウントもまた、マイティー氏本人のアカウントであると考えられるわけです。

『ココナラ』のプロフィールページにポートフォリオとして掲載されている壺

 当然の話ですが、2024年現在でマイティー氏が使用しているXアカウントは、YouTuberとしての活動用に作成されたため、ビデオゲームと関係のない壺は掲載されていません。ただし、マイティー氏が2020年4月に作成した『マイティー@7年間ニートからJAXA勤務、道は切り開ける』というXアカウントには、同じ壺の写真が使われているため、これを比較します。

 当該のアカウントを開いてみると、細かく説明するまでもなく目に付くかと思いますが、Xアカウントのアイコンがポートフォリオと同じ壺になっています。もちろん、『ココナラ』のアカウントから転載した、あるいは、その逆の可能性も考えるべきですが、Xアカウントに掲載されている壺の写真は撮影アングルが異なるため、その可能性はありません。
 よって、2015年2月に作成された『マイティー@アニメで英語勉強』のXアカウントは、マイティー氏本人のアカウントと考えられるのです。

 なお、『プロフィール詳細』のページに記載されている受賞歴に「2011年10月 高知県美術展覧会 入選」との記載があります。具体的に、どの作品が入選したのかは書かれていませんが、この壺を指しています。
 この『青龍』という壺は、高知市文化プラザ かるぽーとにて2011年10月7日~23日に開催された、第65回高知県美術展覧会に展示されました。

2020年4月に開設されたマイティー氏のXアカウント
アイコンが『ココナラ』のポートフォリオと同じ壺になっている
2020年4月に開設されたマイティー氏のXアカウント
『ココナラ』のポートフォリオの掲載写真と撮影アングルが異なるが模様は一致している
第65回県展を鑑賞』より
この壺が展示された展覧会。いわゆる『県展』

海賊版アニメ配信サイトを利用

 『マイティー@アニメで英語勉強』のXアカウントは、前述した通り日本産アニメの英語吹き替え版を利用することで、英語の勉強に活かそうという趣旨でアニメ紹介を行っていましたが、その紹介に使用しているコンテンツに重大な問題がありました。

『KISSANIME』で海賊版アニメを視聴

 その様子は、アカウントが削除された今もアーカイブによって確認することができるのですが、読み進めているとアップロードされていた動画のサムネイルに、おかしな透かし(ウォーターマーク)が追加されていることがわかります。

 拡大して読んでみると、『KISSANIME』と書かれていることがわかります。『KISSANIME』は日本アニメを配信するサービスでしたが、海賊版(違法にアップロードされた非公式のコンテンツ)であることが問題でした。
 なお、後に2020年10月の著作権法改正によって、違法ダウンロードの対象が拡大されたことから、ウェブサイトは閉鎖となりました。

2019年7月に放送された『彼方のアストラ』を紹介する投稿
左上に見慣れない透かしが表示されている
透かしのみを拡大表示した様子
さらに透かしを強調処理した
KISSANIME』と判読できる

 他にも投稿内容を分析すると、次の作品に同様の透かしがありました。なお、『[adult swim]』の透かしもありますが、こちらはアメリカを本拠地に世界展開を行っている、アニメ専門チャンネルであるカートゥーン・ネットワークの透かしです。

2000年4月 日本放送開始 『サクラ大戦
KISSANIME』と『9anime.to』の透かし
2011年10月 日本放送開始 『HUNTER×HUNTER
[adult swim]』の透かし
2018年4月 日本放送開始 『ルパン三世 PART5
KISSANIME』と『[adult swim]』の透かし
2018年10月 日本放送開始 『ゾンビランドサガ
(判読が難しいが)『KISSANIME』の透かし
2019年7月 日本放送開始 『彼方のアストラ
KISSANIME』の透かし、動画プレイヤー操作部
2019年07月 日本放送開始 『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?
KISSANIME』の透かし、動画プレイヤー操作部
2019年07月 日本放送開始 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII
KISSANIME』の透かし、動画プレイヤー操作部
2019年07月 日本放送開始 『とある科学の一方通行
KISSANIME』の透かし、動画プレイヤー操作部、全画面表示を示すUI
2019年07月 日本放送開始 『魔王様、リトライ!
KISSANIME』の透かし、動画プレイヤー操作部

海賊版アニメ配信サイト『KISSANIME』を紹介する

 マイティー氏が海賊版アニメの配信サイトである『KISSANIME』の利用者であったことは説明しましたが、さらに、『KISSANIME』の利用を勧めていた記録があります。
 なお、この記事を書いている2024年現在、海賊版アニメコンテンツの利用は違法ですが、改正著作権法により違法化したのは2020年です。マイティー氏が勧めた時期は2018年であるため、海賊版サイトの利用を勧める行為を法的に問うことは現実的ではないでしょう。

KISSANIME』の利用を勧める様子
マイティー氏が勧めたリンク先のページ
2015年7月 日本放送開始 『干物妹!うまるちゃん』の海賊版が掲載されていた

『KISSANIME』の海賊版アニメを録画して再アップロード

 マイティー氏が海賊版アニメ配信サイト『KISSANIME』の利用者だったという説明は既に述べた通りですが、その中で紹介した画像のいくつかに、動画のプレイヤー部が映り込んでいるものがあります。
 その中でも、2019年7月に日本で放送された『とある科学の一方通行』を紹介する投稿では、ある特殊な操作をしていないと表示されないUIを確認することができます。

2019年07月 日本放送開始 『とある科学の一方通行
KISSANIME』の透かし、動画プレイヤー操作部、全画面表示を示すUI
マイティー氏がアップロードした動画のサムネイル
動画は17:48まで再生が進んでいる

 注目すべき点は、全画面表示を示すUIです。
 UIには「kissanime.ruは現在全画面表示モードです。 [全画面表示モードを終了(Esc)]」と書かれていますが、こちらは『Mozilla Firefox』というウェブブラウザで全画面表示した場合にのみ表示される特有のもので、実際にkissanime.ruというドメインのウェブサイト、すなわち『KISSANIME』にアクセスしていて、かつ、動画を再生中に全画面表示した場合のみ出現するUIということです。

 さらに、画像の中央部に再生マークの丸いアイコンが表示されていますが、こちらはXに動画をアップロードしたときに表示される、動画再生のアイコンです。まとめると次の手順で録画されたことがわかります。

  1. 海賊版アニメ配信サイト『KISSANIME』にアクセス

  2. KISSANIME』内の、アニメ『とある科学の一方通行』のページを開く

  3. 動画を17:48まで再生した状態から録画。このとき、動画再生環境は『Mozilla Firefox』で全画面表示したPC画面そのものを録画しており、元動画を編集しているわけではない。

  4. 撮影した動画をXアカウントへアップロード

総括

 『マイティー@アニメで英語勉強』というXアカウントはマイティー氏本人の別アカウントです。
 そのアカウントでは、日本アニメの英語版を紹介することがメインコンテンツでしたが、海賊版コンテンツを視聴し、海賊版アニメの配信サイトを広め、さらに、海賊版アニメを再生している自分のPC画面を録画した上で、それをXにアップロードしていました。

 このアニメを紹介するXアカウントが削除されたことは、冒頭で既に述べた通りです。ただし、ここで重要なことは、「自分がやりたいことのためならば、マナーやルールに限らず、法律すら無視する倫理性の持ち主である」ということが伺える点です。

 マイティー氏は、ポートフォリオのためにYouTubeに動画をアップロード始めたと語っていますが、そもそも他のクリエイターが作り出したコンテンツにリスペクトのない人物であることが、今回の調査から伺えます。
 そのような人物が、動画制作スキルを向上させたところで、誰かと協力して作品を作り上げられる日々は、きっと来ないでしょう。

昨今、世界中で動画の需要が急速に高まっていて、どの国でも、どんな企業でも、動画編集の技術が強い武器になると感じていました。
もともとクリエイションの分野に自信があったので、そうした技術を身につけるため、そして、自分のポートフォリオをつくりたいという思いで、僕はYouTubeに動画をアップしたのです。

マイティー、リスタート ゼロからのレベル上げ、秀和システム、2024、P. 4

出典・参考資料・関連記事

出典

参考資料

関連記事

その他の補足

編集履歴

  • 2024-07-08:作成

  • 2024-07-09:軽微な表現の修正

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