【感想】ポール・スチュワート『崖の国物語1 深森をこえて』【気ままにファンタジー】

最近、またファンタジー作品が色々読みたくなって、久しぶりに図書館に行ってみました。

そして久しぶりに手に取ったのがこちら。

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ポール・スチュワート『崖(がい)の国物語1 深森をこえて』。

以下、あらすじです。

「飛空船には、背の高い若者の活躍する場所は常に用意されているぞ」
おそろしいはずの空賊の、その言葉が忘れられない。ウッドトロル族の村は自分の故郷ではないと知り、旅立った少年トウィッグだが、神秘的な森に魅せられて思わず道をはずれたとたん、死ととなりあわせの旅がはじまった。トビムシ退治、ホフリ族との一夜、食肉植物チスイガシとの死闘、オオハグレグマとの友情と別離、ヤシャトログに飼われる日々―。次々遭遇する妖しい怪物の脅威をくぐりぬけ、深森にすむ友だちができても、そこは、自分の居場所ではない。進むしかない―。
虚空にはりだす船首像のように切りたった崖の国で繰り広げられる、壮大な冒険ファンタジー大作第一部。

初めて読んだのは小学生の時。小学校の図書室に並んでいたのを手に取って、夢中で読んだのを覚えています。

とはいえ、あまりに昔のことで、あまり作品の詳細については覚えていませんでした。けれど、背表紙を見た途端(380頁あるので、そこそこ目立つ背表紙をしています)、ああこれ、好きだったなあと懐かしくなり、わくわくした気持ちになりました。


再読してみて

めちゃくちゃ面白かった。

こんなに面白かったっけ??とすら思いながら、終始わくわくとページをめくる手が止まりませんでした。結局、ほとんど一気読みに近い勢いで読み切りました。

自分でもびっくり。こんなに好きだったっけこのシリーズのこと。


作品の魅力とは

1巻を読んでみて思った、『崖の国物語』の魅力。いくつかあったけれど、個人的には大きく分けて2つかなと思いました。

①想像力をフル活用させられる設定&挿絵

物語の舞台となるのは、虚空にはりだす船首像のように切りたった「崖の国」。そこには、奇妙な、恐ろしい生き物たちが暮らす「深森」や、様々な種族の暮らす地上街などがあり、地上から伸びた大きな鎖の先には、成長し大きくなると空中に浮かび上がるという「浮遊石」の上に作られた都市がある……と、この時点で独特な世界観にわくわくしてきます。

さらに、主人公となる少年・トウィッグは、「ウッドトロル」という種族の暮らす村で育てられます。他にも、ホフリ族やカモシゴブリン、ヤシャトログ、チスイガシ、シュゴ鳥、ゴウママネキ等、名前を聞いただけではどんなものか想像もつかないような、たくさんの種族や生き物・植物が出てきます。

そして、耳慣れない言葉を、世界を豊かに広げるものに一変させてくれるのが、挿絵の存在です。

カバーだけではなく、本文中にもたくさんちりばめられた挿絵。言葉による描写だけでなく、挿絵があることで、見たことも聞いたこともない生き物たちが俄然生き生きとして、異世界での冒険を鮮やかに彩ってくれます。

また、表紙の裏には「崖の国」の地図が描かれており、不思議なこの異世界の全貌もわかります。生き物ともども、ビジュアルで見るとなんとも奇妙な迫力がある世界です。

挿絵を手掛けているのはクリス・リデルさんという方だそうで、訳者あとがきによると、クリス・リデル氏の絵をもとにポール・スチュワート氏が物語を作り、その物語を元にリデル氏が絵を描き直す……といった方法で物語が作られていったとか。すごい。

②息もつかさぬ展開

物語の中で、道を外れてしまったトウィッグには次々と試練が襲い掛かります。恐ろしい生き物に襲われ、助けられたと思えば騙されて、食べられそうになったり殺されそうになったり、ペットとして飼い殺されそうになったり……。

その度にトウィッグは機転を利かせて、またある時は何かに助けられて、またある時は幸運に味方されて、ボロボロになりながら危機を乗り切っていきます。

しかし、やっと危機を乗り切ったと思ったら、またすぐに次の脅威が。次こそはうまくいくんじゃないか、次こそは味方ができるんじゃないか、次こそは歓迎され仲間に入れてくれるんじゃないか……そんな思いを抱きながら、目的地もわからず、森を彷徨うしかないトウィッグとともに、読者もまた、次々と襲い来る危機に翻弄されます。

一体、トウィッグの冒険はどこに落ち着くのだろう?

テンポよく進む物語は疾走感もあり、まさにページをめくる手が止まりません。


『崖の国物語』シリーズについて

さて、タイトルに「1」とついている通り、これはシリーズの1巻目。

『崖の国物語』シリーズ、確か10巻くらい?と調べてみたところ、全11巻のようです。

たぶん、2回通りくらいは全巻読んでいるはず……?

図書館で揃いそうなので、他の本も挟みながら全11巻、完走したいなあと思います。





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