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OKRをやってみてわかる疑問や課題について色々話して気づいたこと

OKRを導入してみたものの、しっくりいかないという話をいただいて色々と議論させていただく機会がありました。実践してみての課題を伺いつつ、自分たちのチームでこれまでやってみてうまくいったこと、難しかったことを含めいろんな議論をして示唆が多かったので少し文章にまとめてみます。

OKRをやってみての課題についての相談

1.導入してみたはいいもののなんだかしっくりこない
2.OKRの理解を揃えるのがそもそも難しい
3.タスクリストみたいになってしまっている

結論

・OKRといいつつMBO、KPIマネジメント、普通のプロジェクトマネジメント的になりがち。(意外とOKR自体の理解が難しかったりする)。マネジメントがまず理解を揃えることが大事。
・MBO的にOKRを捉えるとタスクリスト・KPI化してしまう
・まず大事なことは、既存の短期KPIの先にはない、構造の変化や理想の状況に近づくストレッチゴールを考えやすくすること。(KPIにするとコミットメントが発生して、失敗しにくくなる)
緊急でない重要なことに時間を割けるようにすることがOKRの本質だと思っている。
・短期のタスクではなく、中長期の重要なことに時間を割くこと
・ストレッチゴールとは、70%くらいの成功確率の「わかっちゃいるけどなかなかできない大事なこと。」あとはこれができたら本人のテンションが上がるような楽しいまたはハッピーになることが好ましい。
OKRはうまくいったら拍手、失敗したら振り返って次のObjectiveとKRを設定して励まし合う(失敗を称える)
・アドオンタスクになりがちなので、まずは既存のやらないことを決める
・まずはマネージャーレイヤーが上記を深く理解して実行してみる
・Weekly、Bi weeklyでOKRを設定して毎週振り返り会をすると改善しやすい
・KPIとOKRは分けて考えたほうが良い。OKRは評価しないくらいのほうが良い。(うまくいったら評価するくらいでよい)
・OKRができなかった場合は、振り返りが大事。Objectiveが難しいまたは時間がかかるものだったか、KRが不明確だったか、短期的仕事に追われてしまったか。来週はどうしていきたいかを話し合うことが大事。
うまくできるひとと苦行になる人は出る。うまくできるひとは、視野視座が上がって次のマネージャー候補になったり、仕事の幅が広がるケースが多い。苦行になる人はもう少し小さいObjectiveでもよかったり、休み休みやることも大事。強制ではなく自発的に設定しやすい環境が大事。

前提知識

OKRを理解するにあたって、いろんな書籍や企業のノウハウ、実践話などが出ているので参考にできる事例は多いと思います。自分とこのチームで導入するにあたっては、下記の書籍を参考にして実践をしてみました。やり始めたのはかれこれ2年半くらい前。今は少し形を変えてたり前より緩くやっている状況。

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
https://books.rakuten.co.jp/rb/15363261/

なぜOKRをやるのか

・組織が自律的に柔軟性を持って事業を良くしていけるようにする(ボトムアップ)
・Objectiveを意識することで、数字の達成が目的化しないようにする(価値起点で仕事をする)
・ストレッチゴールを設定しやすくなる。失敗してもいいからチャレンジする文化の醸成。
・KRを設定することで、具体的なアクションとDoneが視える化する

OKRを行う上での課題

・Objectiveが立てられない
・KRが思い浮かばない
・タスクリストみたいになる
・アドオンタスクで捉えられる
・フィードバックがうまくできない
・続けるのが苦痛になる

 OKRの効果

・わかっちゃいるけど進まない重要な課題が中期で進展する
・メンバーが日々の仕事を作業にしないでクリエイティブな仕事に時間を割ける
・メンバーもマネジメントも成長する
・ストレッチゴールを積極的に設定してのびのびできる
・褒め称える文化を作れる
・経営の長期ゴールを意識しやすくなる
・抽象と具体を行き来するスキルが身につく
・目指すゴールや価値が変わったときに、KPIにとらわれずに軌道修正できる

 OKRの実践としてやったこと

・毎日の日報にOKRを書く(週次ー1ヶ月単位で設定し進捗を書く)
・Objectiveは定性的に書く、KRは具体的なDoneが測れる単位で書く
・フォーマット(Teams日報チャットに書く)
Objective→70%くらいの確率で達成しそうな定性的な課題
KR1-3個→上記を解決するための具体的なアクション(図れる、Doneしたか明快なもの)
Priority→優先順位(あれば1-3個書く)
・OKR振り返り会(毎週金曜日夕方)
 一人ひとりのやったことについて1分で共有。できたことがあれば拍手(儀式的に)
・うまくいかなかった場合は、Objectiveが不明確または課題設定として合っていなかったか、KRが不明確だったか、多いまたは重すぎたか、やる時間がなかったか。マネジメントと現場メンバーとの振り返りでこの点をフィードバックして翌週に活かしていくことが大事。(ただし決して詰め会にしない。ポジティブな気づきの場とする)

 OKRをやってよかったこと

・普通にやったら出ないような業績の改善、または非連続な成果が見られた
・自分で考えられるメンバーはどんどん重要な課題を進捗させ、事業にインパクトを与える動きをしてくれた
・自分で考え出すのが苦手な人とそうでないひとがわかった
・振り返り会での対話でさまざまな発見や、各メンバーの頑張りが知れる
・事業戦略やオペレーションプラン達成に近づく動きが取れる
 

やってみて難しかったこと

・OKRはアドオンのタスクと感じる人が多かった。ジョブの達成がゴールとなっている人と、当事者意識を持って事業を常によくしたいと考える人で差が出やすい。
・中間レイヤーのマネージャーが経験不足な場合、適切な振り返りやアドバイスが不足して現場メンバーが詰みやすい
・自分でストレッチゴールを考えるのが苦痛な人が多かった
・人数が多いと振り返り会で発表するのが苦痛になる人が出た
・Objectiveを理解させることが難しい
・KRに落とし込めない人が出る
・ストレッチゴールじゃない
・継続的に取り組んでいくのが難しくなってくる
・もともと忙しい人は緊急の事項に追われて金曜までほぼOKR取り組めていないとなり、だんだん続かなくなっていく

ということで、途中から人数も増えたり結構上記の課題が大きくなってきたのもあり、少しやり方を変えながらOKR的な動きを緩く続けてます。

OKR的な取り組み - スクワッド的な横串の動きを作る

・横串でランダムグループを作り四半期か半期に一度ハッカソンをやった
・作ったアイディアの発表会を実施
・出たアイディアを実現したい人を募ってPRJチームを2-3チーム作る
・PRJを任せて現場主導で任せる
・サービス全体を考えるきっかけになるため、KPIを超えてサービスの価値を改善するアクションに繋がりやすい。
チーム横断で行うため、現場メンバーが裁量を持ち成長する機会になっている。
・中長期視点での取り組みをすることができる(わかっちゃいるけどできていなかったことが進む)

 OKRを継続的に行うためには

・マネージャーレイヤーのフィードバックの技術が必要
・メンバーにOKRを設定するサポートを1on1などでやることが大事(5人前後のチームで振り返りをしっかりできることがうまくワークするための鍵となると感じてます。10人以上になってくると適切な振り返りは難しくなります。)
・無理に立てすぎないけどゆるく続ける仕組みが必要
・OKRは振り返り会とチャレンジを奨励、褒め合うカルチャーが大事

そのほか

・事業フェーズ上で向いている向いていないはあると思います。ストレッチゴールを目標にしやすい環境の事業フェーズの組織に向いていると思います。
・3ヵ年計画、年間オペレーションプラン、四半期アクションプランがベースとしてある上で、KPI設定があり、その中でOKRでストレッチゴールを設定して、山をどのように登っていくかという点においてOKRを活用するという実践をしてきました。結果としてこれがあることで、最低でも達成、OKRができたらハイ達成というカルチャーにつながっていると思います。

つらつらと書いてみましたが、もっと上手にやっている組織、チームはたくさんあると思います。実践としてうまくやれているところがあればぜひお知らせください。今までやりっぱなしで文章化してなかったので良い機会でした。試行錯誤してよりいろんなやり方にトライしていければと思います。

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