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「UP TO U mixed by IIDA」 リリース記念インタビュー [前編]

Jazzy Sport Kyotoの3周年を記念して作られたJSKミックス・シリーズ第二弾は、京都/滋賀の同世代のメンバーを中心として構成され活動している Hip Hopクルー兼レーベル、 BONG BROS RECORDSのメンバーであり、 数々のMix CDを世に送り出している京都の最重要DJ、DJ IIDAによるスロージャム・ミックス! 7月4日のリリースを目前に控えた IIDAがDJになるまでの経緯〜今回のMix CDのコンセプトについてを前編、後編の全2回に渡りインタビューしました。

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〈IIDAの音楽遍歴〉


JSK: まず、音楽を意識して聴き出したり、レコードを買い始めたきっかけを教えてください。

IIDA: 音楽をちゃんと意識して聴き出したのは小学校6年ぐらいですかね。5歳離れた兄の影響が大きくて、兄は当時ロックとかを良く聴いていたんですけど、その中にBeastie Boys「Check Your Head」とか「 Ill Communication」とかが紛れて兄の部屋から聞こえてきて。いつもと雰囲気違うの聴いてるなーと思ったのがカッコいい音楽を意識したきっかけでした。

当時からバスケをやっていたんでNBAとかよく観ていたんですけど、ハーフタイムとかで流れるようなラップっぽい曲が何となくカッコいいなって思っていて。今思うとこの2つが繋がった辺りがHIPHOPを聴き始める初期衝動でした。

中学ぐらいの頃はスチャダラパーとかもCDでは聴いていましたけど、その当時同級生の中でもレコードで音楽聴くのがカッコイイってなり始めた時期にもなってて、何から買おうってなった時に初めて買ったレコードもその時ちょうど新譜で出たBeastie Boysの「Hello Nasty」でした。

JSK:その時はターンテーブルは持ってたんですか?

IIDA: 家にたまたまテクニクスの古い型のレコードプレイヤーがあったんで、それでレコードを聴き始めましたね。

JSK: そこからターンテーブルを買おうってところに行き着いたのはいつ頃ですか?

IIDA: 高1くらいの時、レコードが増えていくうちに何となく同時並行で、当時のストリート雑誌「Boon」の特集の中でKenseiさんとかMasterkeyさんとかDJの部屋公開みたいな特集があって、ターンテーブルがバーンと2台あってレコードもバチコーンあって単純にメッチャかっこいいってなって。同時期にイベントとかにも遊びに行くようになってて、DJの姿を生で観てかっこいいやん。自分もやってみたいってなったのがターンテーブル買うきっかけでした。

JSK: 当時どうやってレコード買ってたんですか?

IIDA: 当時京都だと新譜はTower Records、Virgin Megastore、Riverside辺りで買ってました。ちょうどJETSETがレコード買い始めた1998年にオープンしたのでそれからJETSETにはかなりお世話になってますね。あと、当時はまだまだインターネットが普及してない時代だったので、DMR、Manhattan、Ciscoのメールオーダーリストが週に一回送られてきてて、授業中に片っ端からコメント見ながら分からんなりに丸つけて(笑)。家帰ってすぐ電話かFaxでオーダーしていましたね。

JSK: レコードを買っていく中で大きく衝撃を受けたアーティストはいますか?

IIDA: レコード買い始めた時期はブームもあってメインストリーム聴くことが多かったですけど、NasとかJay-Zとかは何聴いてもかっこいいなっていうのはありました。当時は毎年のようにアルバム出る時期だったじゃないですか。そんな中で自然と NYのHip Hopを聴いてましたね。90's Hip HopにハマったきっかけはDe La Soulでした。当時って新譜と並行して再発の12inchシングルもバンバン出ている時期で、レコ屋の壁に普通に一緒に並んでいるような感じだったので、"Ring Ring Ring"とか"Saturday" (A Roller Skating Jam Named Saturdays)とかシングル出てるのは片っ端から聴いていきましたね。90's聴くようになってからは一気にレコード地獄ですよね(笑)。

JSK : 性格的に収集癖みたいのは当時からあったのですか?

IIDA: レコード聴く前からスニーカーも集めてたので、確かに今言われると収集癖はあったかもしれません。かっこいい!欲しい!と思ったレコードは全部買う、みたいな。僕らの世代は周りにプレイヤーがメチャクチャ多かった時期で、人数が多い分単純に負けたくないっていうのはやっぱりあったんでしょうね。今でもそうですけど。

JSK: 当時一つの高校に一つのクルーがあるくらいDJとかラッパーとかいっぱいいましたもんね。Bong Brosのメンバーともその頃から一緒にやるようになったのですか?

IIDA: BONG BROSは同じ中学校に元DJだったやつが1人いて、彼を通じて同じ年のメンバーとは高1ぐらいで知り合ったんですけど、その時知り合ってたメンバーと一緒にやったのは高3くらいの時ですかね。高校の卒業イベントもWHOOPEE'Sでしました。その当時はまだ今のメンバーが全員揃って何かやるって事はなかったですね。

JSK: 高校の卒業イベントがWHOOPEE'Sでやるっていうの当時は伝統でしたもんね。そうこうして、現場でDJやっているうちにさらにのめり込んで行った感じですか?

IIDA: 他の人に比べて当時はそんなに現場でDJする機会は多くなかったですけど、レコードは常に買ってる感じでした。当時毎週火曜にJET SETに新譜の新入荷があったので、よく皆で車乗って買いに行っていましたね。レコード地獄にはこの時既にどんどんのめり込んでましたね。

JSK: DJとしてもキャリアが動いていく中で、自分の拘りやミックスのスタイルを確立したのはいつ頃ですか?

IIDA: MIXの作り方とかスタイルって本当にその人の性格が出るなって改めて自分でも気付いたのは2015年に出した「Blue Madness」ってシリーズですね。「Blue Madness 」を作るキッカケは当時BONGBROS RECORDSをしっかりレーベルとして動かそうって話になった時に、DJは定期的にMIXをリリースするって話になったんですが、やっぱりBONGBROS DJ'Sって癖の強いDJの塊でGAJIROHやMUKECCHOはUnderground Hip HopやDopeな路線で作ってたんですが、自分も作品残すってなった時に皆同じノリでも面白くないんでそっちの路線は他のDJに任せて「Blue Madness」に収録したような感じで作ってみようと思ったのがキッカケです。

MIXの作り方やスタイルに関しては、どのMIXも自分は"聴きやすさ"重視で作ることが多いんですが、そこを重視する=几帳面に繋いでしまうタイプ(スタイル)なんで、作っていて改めて気付いたのはやっぱり自分A型なんやなって思いました(笑)。

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JSK: 確かにA型感はめちゃある(笑)。そういった流れから「Blue Madness」的スタイルが生まれたのですか?

IIDA: 「Blue Madness 」シリーズに関してはストレートに自分のスタイルが表現出来ててかつ内容もまとめれたMIXやと思ってます。このシリーズも作る前はどうやったら売れるかはめっちゃ考えました。僕の場合、ドーンって売れなくても良いからいつどんなタイミングで買っても何年経っても聴ける、息の長い内容っていうのは意識しました。僕もそうですけどMIX CDって試聴して買うって人はあまりいないと思うんですよね。なので見た目から、ジャケの感じと、インデックスの見た目、曲の並びとかも含めてパッて手に取ってもらって、目で見て、試聴しなくても買ってもらえるまでの事を考えて作ったつもりではいますね。

JSK: オールタイム・フェイバリットな曲を選びながら、個性も残しつつベタにはいかない、みたいな感じの作り方?

IIDA: 基本的にR&BやってもSoulやDiscoのセットやっても結局はHip HopのDJっていうのがあるので、ジャンルは色々入ってるけどHip Hop感は残しつつ、どうやってそっちの色に寄せれるか、「Blue Madness 」に関してはHIPHOPを軸にバランス良くまとまってるんじゃないかと。

JSK: 90's Hip HopのMix CDが沢山リリースされている中で、差別化したり拘っているところは?

IIDA: さっきの質問のMIXのスタイルの話と被るんですけど、作る側としては個人的にはやっぱり"聴きやすさ"重視ですね。どのMIXでもインストを使うっていう手法は自分はかなり拘ってます。90's Hip HopのMIXって作り手のカラーがモロに出ると思うんですよ。曲の並びとか、プロデューサー繋がりとかアーティスト繋がりとか、それこそ昔から絶対的鉄板のミックス・セオリーとか色々あると思うんですけど、それをわざと崩している人は上手いなって思うんですよ。それこそKiyoさんとかKocoさんとかもそうですけど、やっぱその方たちの90's Hip Hop Mix出るとめちゃ気になって聴いてしまうんですよね。Mix CDて基本教科書だと思ってるんで、今でもめちゃくちゃ買いますし、もらったものは全部聴きますし。全部知ってる曲でも繋ぎの順番とかタイミングとか、絶対一つでも新しい発見があると思うんで。

JSK: そういった意味では自分も作る時 "新しい発見を発信したい"っていうのはありますか?

IIDA: それはありますね。さっきのインストを重視するって件もそれに含まれると思うんですけど、僕はその"発見"をMIXの中に結構落とし込んだりしてるのでそれに気付いてもらったりするのは嬉しいですね。

今回の「UP TO U」も勿論そうですけど、インストから、みたいな繋ぎは重視してるんですが今回は"聴きやすさ"よりかは個人的には"焦らし"だと思って使っています。Slow Jamって頭から聴いて欲しい部分あったりするので。後は頭のブレイクを最後に持ってきたり、逆に後半にあるブレイクを頭に持ってきたりだとか。色々小ネタ入れてます!拘ってる点の話に戻りますが、Hip Hopのミックスとかだと、2枚使いとかしているとミックス止めて聴き直したりしません?これやるのDJだけですかね?それをしないように聴かせたいっていうのはあって。通しで聴いて欲しいっていうのはどのミックスも意識してます。絶対に全体の流れはあるんで。特に今回のようなスロウな内容に関しては一回止めたりして欲しくなくて、気付いたら終わってた、くらいの感じで聴いて欲しいというのはあります。その辺りも聴いてくれる側の人の"発見"に含まれたら嬉しいです。

JSK: そうやって意識した上で影響を受けたMix CDはありますか?

IIDA: Hip HopだとDJ MissieのHip Hopシリーズは勉強になりましたね。つなぎ方も独特ですし、コスリもやっぱ上手いですし。あのシリーズは特に良く聴きました。R&BだとDJ Kiyoさんの"DAY and NIGHT"。あとはそれこそR&Bにハマる初期衝動なんですけど、DJ始める前に遊びに行ったイベントの入場者先着で配られていたMix TAPEにGuyとかBabyfaceとかNew Jack Swingがバンバン入っていて、それがNew Jack含めR&Bを聴き始めるきっかけになりましたね。

後編 - 今回のミックスのコンセプト - へ続く

Speaker: IIDA
Interviewer: Phennel Koliander
Editor: Yukari BB (Jazzy Sport Kyoto)

〈RELEASE PARTY INFO〉

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IIDA - UP TO U
Format: Mix CD
Cat#: JSKMIX-002
Release Date: Jazzy Sport Kyoto: 7月4日 / 一般発売: 7月11日
Distribution: Jazzy Sport Distribution 独占流通
Artwork Design: die (Jazzy Sport)​

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