渋谷の大箱20年を振り返る~O-EAST店長インタヴューを読んで
CINRAに渋谷のライヴハウス Spotify O-EASTの店長、岸本純一さんへのインタヴュー記事が掲載されている。
上京したのが2000年, O-nestの店長を経て2019年からはO-EASTの店長(および現在は全体の総括も兼務)である岸本さんの歩んできた道は、2000年代以降の日本のライヴ・シーンを支える“場”を守ってきた人ならではの貴重な証言となっている。
岸本さんは店長として出演者のノルマ制を否定している。
この問題は、私が音楽関係の取材をするようになった1980年代からすでに必要論と不要論が対立。
結局は“場”を提供する側であるライヴハウスが上位であることから、ノルマが業界の慣習化してきたようなところがあった。
ただし、ノルマがあるのは主にポップス、ロック系で、ジャズはヴォーカルを別としてノルマがない店が多かったように認識していた。
現場の、責任ある立場の岸本さんのような人が「そういうことでビジネスを成り立たせるのは嫌だし、限界があるなと思った」というのは本音ではあるが、ライヴを興行として成立させ切れずにマーケットが膨張してしまった日本のシーンのジレンマでもあったと思う。
図らずもコロナ禍で日本のライヴハウスがホール等のイヴェントを提供できる営業許可ではなく、飲食業のヴァリエーションに組み込まれていたことが周知された。
そのためのワン・ドリンク制だったのかと肘に落ちたわけだけれど、風俗営業と紙一重のポジションで経営を成り立たせてきた裏技もすでに尽き、改めてライヴハウスの経営と存在理由が問われる時期に来ているタイミングでのこの記事の意味は大きいと感じる。
後半で、O-EASTにライヴハウスのDX化にも言及。
確かに、アナログ感があってこその人が集うライヴハウスであるものの、これからのデジタルネイティヴというコンシューマーに対応しうる場づくりも急務と言えるのだろう。
街フェスが行政の街おこしと連動(おそらくふるさと創生と関係があったのだろう)して30年。
いまや老舗のフェスは運営の岐路に立たされている現状で、閉じてきたライヴハウスがエリアとヴァーチャルなシームレス状態を創りながら、その存在意義をシフトしていけるとしたら、かなりオモシロイ生の音楽の未来図"が描けそうな気がするのだが。
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