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ジロリンタン備忘録211004

ツクツクボウシの鳴き声が聞こえなくなった 

 そう、もう10月になってしまった。最後に備忘録を書いたのは1週間ほど前だった。
 マルタの鷹協会の会報フライヤーの締切日が9月30日なので、届いた原稿を編集するよりも、自分の連載コラムを書くのに思った以上に時間がかかった。
 死亡記事を書くために、資料を集めて、まとめて、確認のために映画を観たり、ほかの資料で再確認をしたり、この備忘録は曖昧でもいいけど、活字に残るコラムは正確に書かないといけないんだよな。それでも、自分で自分の文章を編集していると、間違いを見つけるのが難しい。
 今回、確認のための観た映画は、ロバート・サッキが出演した1972年の《悪の紳士録》(原題は Pulp)だ。主演は50年前のマイケル・ケインだ。ミッキー・スピレインのような小説を書く作家だ。パルプ作家というより、ペイパーバック作家だね。E・S・ガードナーのように口述したテープを複数のタイピストに筆記させている。ここでプロットを話しても仕方ないか。
 ハンフリー・ボガートの顔をしたロバート・サッキの役柄が、ボガートと関係あるかないかを確かめるために、50年ぶりに観たわけだ。サッキの役柄が「ボギーマン」なので、複数の資料に書いてある「関係がない」という説明が正しいとは言えない。舞台がマルタで、サッキが葬式の参列者にあの鳥は何だ?と尋ねると、「マルタの鷹だ」いう返答があったしね。
 それに、これはファム・ファタール女優として有名なリザベス・スコットの最後の出演映画だ。

 では、この見出しの画像にコロンボの写真を使った理由を言おう。
 今年は《刑事コロンボ》の放送が始まって、50周年らしい。土曜日午後にはNHKのBS2で何度目かの再放送をしているので、久しぶりに観ることにした。
 とは言っても、50年前に観た記憶がない。最近は、40年以上前に観た映画や読んだ本の中身は、ほとんど覚えていないので、記憶というものは怪しいものだ。
 第1話の「殺人処方箋」はジーン・バリーが準主役だということは、情報として覚えている。このエピソードの再放送はこの10年のあいだにどこかで観ているような気がする。まあ、このあいだ刊行されたリチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンクの短編集『皮肉な終幕』に収録された「愛しい死体」のコロンボ版だ。
 どうして50年前の《刑事コロンボ》のエピソードを観たかどうか記憶がないかと言うと、その頃に空巣に白黒TVを盗まれて、70年代前半のTV番組のほとんどを観てないからだ。その代わり、名画座でたくさんの映画を観たことは、よかったのか、悪かったのか。
 そのあと、引っ越して、誰かに白黒TVをもらって、TV番組をたくさん観た。カラーTVを買えたのは70年代半ばだったかな、このへんの記憶は曖昧だ。どっかに日誌があるかもしれないけど、調べるのは面倒くさいから、曖昧のままにしておこう。
 というわけで、《刑事コロンボ》第2話「死者の身代金」を50年前に観たかどうかも覚えがない。とにかくゲストスターがリー・グラントだということを思い出して、NHK-BSで観るつもりはなかったのに、観てしまった。やっぱり覚えてなかった。まま娘がTVで観ていた映画は《深夜の告白》(原作はジェイムズ・M・ケインの『倍額保険』で、脚色はレイモンド・チャンドラー、監督はビリー・ワイルダー)だね。チャンドラーがちょいと顔を出しているよ。だてに『倍額保険』の映画を使ったわけではない。そのプロットは「死者の身代金」のプロットに似ているのだ。
 これは、小説家がよく使う手である。例えば、ロバート・B・パーカーの『失投』か『誘拐』の中で、探偵スペンサーが映画《真昼の決闘》(もしくは、《OK牧場の決闘》だったかな?)を観る場面があったりね。
 第3話の「構想の死角」は共作作家の一人がもう一人を殺すというプロットだよね。ゲストスターはジャック・キャシディー。この人は日本であまり有名じゃないから、名前を調べる必要があった。コロンボは状況証拠だけで、逮捕したけど、法廷ではこれで有罪になるだろうか。少々強引だったね。脚本はスティーヴ・ボチコ、あとで《ヒル・ストリート・ブルース》などの人気番組の原案者/製作者になる人だ。翻訳者は、飯嶋永昭。昔は《マンハント》で短編の翻訳もしていて、ロバート・B・パーカーの立風書房版『誘拐』や『失投』を翻訳した人だ。

 秋分の日や中秋の名月や台風16号も過ぎたというのに、昼間は汗ばむほど暑い。どういうことなのかね? でも、朝晩は涼しくなるから、体温調節が難しいね。気をつけようね。これで、やっと1週間ぶりに備忘録を書けたぞ。イッヒッヒ!



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