内頚動脈解離#3:内頚動脈狭窄症と思い込み


前書き

2024年5月21日、脳神経外科にて「左内頚動脈解離」と診断され、禁酒、禁煙、禁ゴルフの生活に入りました。自分も予期せぬ通告にかなり狼狽えました。

ググっても、内頚動脈解離に関する情報はさほど多くはなく、これからどうなることやら。同じような道を辿る人もいるかもしれず、自分の経験が何かの足しになればと書き残しておきます。

ただし、医師から口頭で伝えられたことも多く、記憶が定かでないものもありますので、その点は十分にご留意ください。なるべく出典は明示するようにします。

思い込みの始まり

5月17日の14:00過ぎに、健保の脳検診において「左内頚動脈狭窄90%」との判定を受け、日頃から鍛えている情報収集能力を活かしてググりまくります。プラークによる内頚動脈狭窄症だと思い込んだ始まりは、おそらく真っ先にヒットした横浜新都市脳神経外科病院のこのページでしょう。「内頚動脈」、「起始部」、「狭窄」とドンピシャです。ここで総頚動脈から内頚動脈と外頚動脈に分岐することを知りますが、その後に登場する椎骨動脈はこの時点では私の視界に入っていません。

首元で脈を測る際に触れることのできる血管を総頚動脈といいます。この総頚動脈がさらに下顎骨の下あたりで【外頚動脈】と【内頚動脈】の2本に分かれます。内頚動脈は心臓から脳へ血液を送る役割をしている血管ですが、この分岐部直後の内頚動脈起始部にプラーク(コレステロールの塊)が蓄積することによって、血管が狭くなる(狭窄する)疾患を「内頸動脈狭窄症」と言います。

https://www.yokohama-shintoshi.jp/brain/naikeidoumyaku.html

また、慶應義塾大学病院のこのページに、症状として記載されている以下の箇所は、まさしく自分が経験した「左目の上半分の一時的な視野狭窄」であり、これは間違いないと確信し、疑いを持ちませんでした。

頭蓋内頸動脈が、最初に枝分かれする血管は目を栄養する血管です。頸部頸動脈にできた血栓がこの目の血管を詰まらせると、片側の目の上半分や下半分が暗くなる、幕が上がる、または下がるように視野が暗くなる、視力が急に低下し、ものが見えなくなる、時に眼の奥の痛みを訴えることがあります。一時的な症状で回復することがほとんどなので、一過性黒内障と呼ばれていますが、頸部頸動脈狭窄症に多い症状です。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000303.html

どうせ手術なら頸動脈内膜剥離術(CEA)

脳検診の前日に受けた人間ドックでもBMIは24.2。LDLコレステロールや尿酸も基準値を若干超えるレベルで、健康指導では「このくらいであればそれほど気にする必要はない」と言われていたところ、「コレステロールが固まって血管が狭くなっている」とはかなりのショックでした。

先に紹介した慶應義塾大学病院のページにある治療法では、一過性黒内障という症状があって、狭窄90%の私は間違いなく手術であろうという素人診断で完全にそのように思い込みました。

1. 無症状で狭窄度が60%未満の場合、または症状があって狭窄度が50%未満の場合
手術的治療はお勧めしません。上記動脈硬化の治療を行い、抗血小板剤を内服していただきます。
2. 無症状で狭窄度が60%以上の場合、または症状があって狭窄度が50%以上の場合
上記動脈硬化の治療を行い、抗血小板剤を内服していただいた上で、手術的治療をお勧めします。
3. 症状があって、狭窄度が50%以上だが、手術の危険性が高い場合
上記動脈硬化の治療を行い、抗血小板剤を内服していただいた上で、頸動脈ステント留置術をお勧めします。
4. 無症状で狭窄度が80%以上だが、手術の危険性が高い場合
上記動脈硬化の治療を行い、抗血小板剤を内服していただいた上で、頸動脈ステント留置術をお勧めします。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000303.html

手術的療法としては、手術で狭窄している部分を露出し、溜まったプラークを取り出す頸動脈内膜剥離術(CEA)とカテーテルで網の筒のようなものを挿入して、狭窄部を広げる頸動脈ステント留置術(CAS)があるとのことですが、もちろん手術である以上リスクは存在します。施術の場所が場所だけに、何かが起これば脳に何らかの障害が残ったり、命を落とすこともありえます。

どうせ手術をするのであれば、ステントという異物を身体の中に残すよりは、プラークという異物を排除してもらったほうが気持ちが良い、しかし、手術のリスクはやはり怖いし、7~10日の入院ということのようなので、かなり気持ちが凹んでいました。

また、手術ということであれば、大学病院かどうかよりも、どれだけ手術の数をこなしているかだろうと考えました。それぞれの病院の施術数は調べるとわかることもあります。しかし、表記が専門的で、かつ、情報提供フォーマットが一律ではないようで、とてもわかりやすいとは言いづらいです。最近は身体に負担の少ないCASが増えているようなので、CEAもコンスタントに手掛けている病院というコンセプトで選びました。

自分はいままで長生きするリスクばかりを考えていましたが、早死のリスクを自分のものとして意識したのはこのときが初めてでした。実際に脳神経外科で診察を受けるまでは、プラークによる内頚動脈狭窄だと完全に思い込んでいたのでした。

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