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天使と書いて…

一章 天使もえと2022年

10年近く前の薄暗いDVDショップの片隅、小さなタブレット画面から「天使と書いて’あまつか’と読みます!よろしくお願いします!」という元気いっぱいの声が聞こえてきた。時は明日香キララ、Rio、上原亜衣などの大物女優達がひしめき合うAV戦国時代。その名前を初めて聞いた時『天使と書いてあまつか…S1専属デビューとは言え、贅沢な名前だね…』と、湯婆婆よろしくいじわるな事を思ったのをよく覚えている。

そんな彼女もベテラン女優となった2022年、突如AV新法が立法された。関係者へのヒアリングもろくにされない一方的な立法。メーカー、プロダクション、関係者の誰もが口を紡ぐ中、立ち上がったのは薄暗い通路のあの小さな画面にいた天使もえだった。売り上げにも影響を与えかねない政治的な発言も彼女は臆する事なく矢面に立ち、世間と業界の橋渡しに奮闘していた。そんな勇気ある姿に驚きながらも、「彼女をそこまで突き動かすエネルギーは一体どこからやってくるのだろうか」と興味深く思えた。

様々な媒体、時には路上に出て新法について訴える天使もえ


二章 内気な天使の力の源

業界最大手メーカーS1からデビューし、堂々6年の専属契約。
デビューした翌年「スカパー!アダルト大賞 新人女優賞」「DMMアダルトアワード 最優秀新人女優賞」をW受賞。
2018年には「スカパーアダルト大賞 女優賞」
2019年には「FANZA AWARD 優秀女優賞」を受賞etc…。
これだけ華々しい経歴の持ち主だ。さぞ強気で堅実。自信に満ち溢れた人柄を想像したが、彼女のブログを覗くとその意外な一面に驚かされた。

2014年のイメージV時代からの天使もえのブログ。当時の赤裸々な想いを今でも見ることができる


楽しいはずのイベント当日…

2018年09月16日22 『初めてのポートレート』より引用


どんな仕事にも反省…

2014年06月14日 『もえの旅最終日、そして4度目のハピアワ。』より引用

アワードにノミネートされてはクヨクヨしたり…

2019年03月14日 『FANZAアダルトアワード2019 〜起〜』より引用


弱気で生真面目、ともすればネガティブ。「か弱いこんな子が9年間もどうやって生き残ってきたのか」と驚いてしまった。


だが彼女が歩みを止めることはなかった。


時には撮影中のスタッフの熱意…

2014年06月29日 『もえと素敵な方々との出会い。』より引用

ちょっとした店長の配慮…

2014年06月10日 『もえ、感謝の1日。』より引用

手書きのファンレター…

 「2014年07月01日 もえの平穏な1日。」より引用




そうした周囲からの "熱意" や "優しさ "想い" を受け取って彼女は…




2016年08月18日 『リベンジポルノ PAINT IT BLACK』より引用





その想いを、自身が抱えてい不安を跳ね返す"エネルギー"へと昇華させた。





2018年05月04日 「スカパー!アダルト放送大賞2018。ようやく…!」より引用


内気でネガティブ、感受性豊かで繊細…。どこにでもいる普通の女の子。だが彼女は暗闇の中に差し伸べられる沢山の手をしっかりと握り返し、それを自分の力に変える術を持っていた。

ファンや仲間達と共にした素晴らしい時間…一人では決して見られなかった景色…か弱い彼女が経験したそんな宝石のような日々が、そのブログには書き残されていた。



三章 堅い絆で結ばれた天使とその仲間達

天使もえはブログの他に「つかちゃんねる」という自身のYoutubeチャンネルを持っている。ASMR動画、下着や化粧品の紹介動画…。
様々な動画が上げられているが、このチャンネルの特異な点は彼女とその仲間達の深い繋がりを知れる部分にある。

動画内で本人直々に「タカヤ」と下の名前で呼ばれる謎の男性が度々でてくる。デビュー時から彼女のニコ生やイベントでの司会を担当してきたお笑い芸人「青柳たかや」だ。

動画内ではイジラレ役に徹し、天使の自然な表情を引き出す青柳

青柳だけではない。『時に喧嘩しながらも切磋琢磨してきた事務所の社長 'ボス' 』『不器用な性格で誤解される事も多かった現マネージャー "アミバくん"』 etc…。このYoutubeチャンネルではそんな裏方であるスタッフ達とのエピソードを大切に語る天使の姿を見る事ができる。

ドッキリ企画で名演技を披露するアミバくん(右)

激しい競争にさらされる厳しい人気商売の世界。天使にとって彼等はそんな荒波を共に乗り越えてくれる信頼置く大切な仲間達だ。名の売れたyoutuberとコラボすることで再生回数を稼ぐ事もできたかもしれない。だが「自分達の信頼関係をより固く結ぶ、その絆を確かめ合う」そういった時間を優先する天使の義理堅さ、仲間への揺るぎない信頼感がここにある。

『信頼できる仲間同士で過ごす束の間の時間』

そんなひと時を画面越しに共有できた時、私達もまた  "飾らない一人の人間 の"天使もえ" をより身近に感じる事ができる。



四章 仲間に導かれ天使が見る未来

今回のAV新法騒動、彼女ほどの売れっ子女優であればやり過ごす事もできたかもしれない。だがその人柄を調べれば調べるほどそうしなかった事も自然な事のように感じた。
義理堅く、繊細で真っすぐ…そんな彼女が仲間達と共に過ごした時間や経験を、利権やイデオロギーの主張、果ては自己実現のために否定する権利がどこの誰にあると言うのだろうか。

激動の2023年も終盤を迎える。
デビューから9周年、100本目の作品をリリースした天使もえは、S1を離れFALENOという先行配信型メーカに移籍。さらには渋谷にメンズクリニックをプロデュースオープンさせた。

未来は誰にもわからない。時に内気でネガティブな彼女だが、







今までも、これからも

勇気を持って踏み出す彼女の足取り、一歩一歩を…

様々な仲間達が見守り、後押しして

新しい未来、新しい景色を創っていくのだろう。

ちょっとした興味で調べ始める事となったが、ますます今後の彼女に目を離すことができなくなってしまった。

「天使と書いてあまつかもえ」
いじわるな湯婆婆は、もうどこにもいない。


BGM プッシュプルポット-「最終列車 」


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