またしても「保健所に丸投げ」になるのでは?という懸念

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)について|e-Govパブリック・コメント

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(苦笑)(案)について、もう一つ、重大な点を忘れていた。
このままでは、またしても保健所にしわ寄せがくるのではないか、という懸念だ。
30年で保健所は半減している👇。そのような状況下で、今回の騒動だった。現場の混乱は想像するに余りある。
「国民の健康を守る」、と言うのであれば、保健所の再整備が喫緊の課題ではないのか、とここ数年ずっと感じている。

保健所とは 感染症対策や食品衛生など住民の健康守る」より

児玉慎一郎先生の書籍から
2020年8月下旬

発生届を順番に手に取り、みんな調査を黙々と続けている。症状の調査だけではない。無症状陽性者のホテル療養の希望調査、食料の調達についての説明、隔離期間の説明。しかも丁寧に、優しく。一人ひとりに時間をかけて。
(中略)
保健所の仕事はすさまじかった。治療の方向性を判断するのは、やはり医師の役目であることも再確認した。

走る外科医のつぶやき」P.107

10月13日の保健所での会議にて

それからよくよく皆さんの話を聞いた。各地域の保健所間で、コロナ対応が共通でないこと。公的機関ではあるが、国や県からは縛りを受ける指示はあるものの、有効な改善策の指示は何ひとつないこと。国の一大事のふりはしているが、結局は使命感のあるところにシワ寄せが集中するといった悪しき仕組み。足かせとなる仕組みは押し付けられる。みんな怒ってる。疲弊している。

走る外科医のつぶやき」P.129

当たり前のことだが、保健所は感染症屋さんではない

全国保健所長会作成「保健所の活用の仕方」より

私にとって最もかかわりが深いのは「難病対策」だ。
精神保健福祉は、私は研修医時代に1か月だけ保健所で現場で研修させていただいたが、相談や紹介だけでなく、医療につながっていない方々の自宅を訪問したり、時間外呼び出しも頻繁だったり、となかなか激務であった。
そもそも、感染症に対する対応だけでも多岐にわたるのだ👇

そこで、保健所を再整備する意思が少しでも読み取れないか、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(苦笑)(案)のP.175からの「保健」における「準備期」の対応を確認した。

P.175

なんとも曖昧な表現だが、少なくとも非常時のみ「応援を寄越す」つもりしかないように読み取れた。

P.176

結局、絵にかいた餅のような「ICT」や、責任の所在が不明瞭になるリスクの高い「外部委託」に頼るのか・・・
その後の内容も確認したが、再整備を明言した箇所はなかった。曖昧な表現を解釈すれば、再整備を意図しているかも、と読み取れないこともないが・・・という印象だった。

でも、やはり結局は現場に丸投げするつもりなのかも・・・と疑わざるを得ない記載があった👇

P.178

「都道府県は」でも「国は」でもなく、「保健所は」、だそうだ。

そして、いざ騒動が始まると、楊井氏が仰るところ「封じ込め」ありきで、「有事」対応を回避するシナリオや、「封じ込め」を断念するシナリオが入っていない計画をもとに、終わりが見えない上に、社会にとっての有害かもしれない対応に、現場は負われ続けるのだ。
2023年1月16日に全国保健所長会が厚労省に宛てた、現場の悲鳴にも似た意見書について、この計画書は全く反映されていないように思う。

オミクロン株流行下において、陽性者に対して法の規定に基づいて入院措置や外出自粛要請などを行うことについては、法が定める最小限の措置の趣旨に反し、患者の基本的人権尊重の観点から問題であると、現場の相当数の保健所長が考えているところです。
改めて「感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療 の提供の確保」という感染症法の理念にそった目的を実現することを求めます。

001041578.pdf (mhlw.go.jp)

現場の貴重な意見を反映する気がないのなら、せめてマンパワーを増やしてあげて欲しい・・・



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?