未だ推進派に留まる者への警告として

 (2月7日16時に改題、および一部改変)
 私が医師として生きていく上で学会よりも重要な命綱が、「脳神経内科」という雑誌だ。
 その2023年2月号が本日手元に届いた。

 (👆2月7日現在、最新刊は1月号のままになっているが・・・)
 今回、「ワクチン接種と神経障害」という特集が組まれており、インフルワクチン、日本脳炎ワクチン、HPVワクチンという「いつものメンバー」に加えて、SARS-CoV-2ワクチンについての総説が掲載されていた。
 タイトルは「COVID-19ワクチン接種後に生じたGuillain-Barre症候群、免疫性血栓性血小板減少症」。著者は財務省診療所の黒岩義之先生と、帝京大学付属溝口病院の平井利明先生だ。お二人とも、HPVワクチン接種関連神経免疫異常症候群(HANS)について度々同誌で総説を書かれており、それを「視床下部症候群」と位置付けておられる。私もかつて、視床下部に病変を有する免疫介在性中枢神経障害のケースを担当したことがあり、HANSと定義されている病態と非常に似た症状を呈していたことを経験している。だから私的にはこの説明は、すごく腑に落ちる。
 
 話が逸れた。今回のワクチン禍を、お二人がどのように考えているのかは、常々気になっていた。で早速読んでみた。内容は想像以上だった。もちろんSARS-CoV-2ワクチン慎重派の人間なら既知の内容ではあるのだが、これをそこそこ名の知れた医学雑誌に掲載できる状況になったと思うと、隔世の感がある
 
 内容に触れておくと、当ワクチンが原因と考えられるGuillain-Barre症候群ワクチン誘発性免疫性血小板減少症(以下、VITT)に関する主に海外論文について検討されている。そして、「原因とする」立場と「原因ではない」とする立場の両方をきちんと紹介しており、科学的な公平さも保たれている。VITT発症するメカニズムの図が非常にわかりやすい。
 
 そして「本ワクチンの問題点」という章が攻めまくっている。実はこれが本題だ、と言わんばかりだ。最初に重症化予防を含めた有効性の根拠が不明なことを記し、さらに、
 細胞性免疫の低下を引き起こすこと、
 抗体依存性免疫増強についての懸念、
 スパイク蛋白に神経毒性があること、
 接種によりスパイク蛋白が持続的に合成が促進されていること、
 Ⅰ型インターフェロン応答の抑制により自然免疫の障害をもたらし、それが感染症や悪性腫瘍に対するリスクを高めていること、
 そして別の機序(グアニン4重鎖の増加)でも腫瘍発生リスクを高めていること、
 さらにはmRNAの逆転写が示唆されていることまで、
根拠論文を提示しながら触れられていた。これはリファレンス集としてもかなり有用だ。有難い。
 当ワクチンによる自然免疫障害に関わるカスケードも日本語で図に示して頂いており、分かりやすい。
 結語に「われわれはHPVワクチン接種後副反応を長期に観察することで、重症度のピークは初回接種から4年であることを報告した。」という文章が添えられているのが非常に印象深い。

 脳神経内科医がいる病院なら、この雑誌を定期購読している場合が多い。そのうち書架に並ぶだろうから、同科の医師はもちろん、他科、他職種の医療従事者にも一読を勧める。君らが「反ワク」とさげすんでいた人間が言ってたことは実は全て根拠がある、ということを思い知り、恥じ入るがいい!!!

補:以下は備忘メモ
 個人的にはスパイク蛋白が好中球活性化と好中球細胞外トラップ(NETs)(←白血球の一つである好中球が、網のような構造物で細菌を捕獲し殺菌する、という投げ網のような技)形成の促進に関わっている、という話が興味深かった。
 NETsは重症感染症で、貪食では追いつかないほど細菌が多い場合に、最近を一網打尽にするための重要な役割を担っている。しかし、これが血小板集積やフィブリン形成を促進してしまい、そのためDICの原因となるという。最も、血栓形成自体は、悪い部分の血流を遮断して感染を封じ込める、という戦略なので、それなりに意義はあるのだ。つまり、感染でもないのに、NETs形成が促進されたら、ただただ意味もなく血栓形成傾向だけが高まる、ということになる。
 また、ANCA(抗好中球細胞質抗体)関連血管炎は、感染などを契機にANCAの対応抗原(MPOやPR3)が血管上皮に表出され、それに触れた好中球が活性化しNETs放出が促進されることで起こる。つまり、NETs形成の促進により血管炎が惹起され血管内皮壊死の原因となる
 スパイク蛋白が血管障害の原因となるメカニズムは血小板活性化だけではないのだ。なんだこれは、あまりにも血管に対する毒性が強すぎるではないか。
 上記の神経毒性も含め、よくこんな毒性の強いもの利用しようと思ったものだ。あまりにもセンスが悪すぎる、そりゃ陰謀論も出てくるよ、としか言いようがない。

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