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30歳差。『急性B型大動脈解離』入院時。

夫が緊急搬送された翌朝。

入院の手続きをするために、再び病院へ向かった。
手引きの内容などは、私自身も何度か入院を経験しているため、慣れたものだ。
しかし、職場に提出する書類や高額療養費のことなど、初めてのことも多い。

コロナ禍の衛生管理のため、日用品はすべてレンタル。
毎日必要でないものも含めセットで支給されるので、金額に少々驚いてしまた。


昼間、母がマンションに到着した。
母とは女友達のように親しい仲だ。
真っ先にハグを交わすと、凍てついた心に温かいものが流れてきた。
母も今回の出来事に動揺しているのか、リビングに入った瞬間、蕁麻疹が出てきた。

夕方、一緒に夫の職場へ向かった。
母には近くで建物内で待っていてもらい、私は人事部へと赴いた。

担当が諸々の手続き等の説明をおこなう。
メモを取りながら話を聞いていたが、内容が多すぎてあまり頭に入ってこなない。

渡された書類が、以下である。

  • 休職・復職申請書

  • 傷病手当金申請書

  • 傷病手当金の同意書

  • 健康保険限度額適用認定申請書

これらは夫が記入すると言うので、面会時に渡すことにした。


翌日、担当医から病気についての説明があるというので、みたび病院へ。
コロナ禍ではあったが、母も同席しても良いということだった。

病名と症状、今後の経過観察について、詳しく聞くことができた。

  • 診断名・・スタンフォード急性B型大動脈解離

  • 症状・・下行大動脈が腰の位置から上行大動脈の近くまで裂けた。大動脈の壁は3層構造になっているが、その内の真ん中に亀裂が入り、出血している。

  • 手術の有無・・無し。理由としては、より心臓部に近い箇所で起こるA型と違い、危険性が低いといわれているため。

  • 経過観察・・血圧を下げる薬による保存治療。入院期間は3週間ほど。その間に何度かCT検査をし、様子を見ながらケアプランを進めていく、

夫とはまだ面会できなかったが、部屋はICUから移動したようだ。

帰宅のために車に乗り込む際、窓越しに顔を出してくれた。
まだ痛みが辛いようで表情は険しかったが、両腕を挙げて大きく手を振っている。

前日までは文字通り胸が張り裂けそうな心持ちだったが、いくらか緊張の糸をほどくことができた。

自宅に帰った後、「気分転換のためにウォーキングをしよう」と母からの提案。
30分ほどかけてショッピングモールへ歩いていき、食材を買って戻った。
10月に入ったばかりの澄み切った空気の中、総菜をつまみながら歩くのは心地が良かった。

夫の緊急入院からほとんど食事を口にすることができなかったが、この夜やっと摂ることができた。
それは、大好きな母が寄り添ってくれていることに、他ならない。

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