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30歳差。腰椎圧迫骨折。不妊治療リスタート。

1月。新たな年の幕開けだ。
夫の予後の体調は落ち着いてきたが、退院後の職場復帰はまだまだ先のようだ。
産業医とやり取りを重ねていくが、病院からの許可が中々出ない。
私としても、寒い冬場は休養していてほしかった。


正月を過ぎ、ある晩、夫がトイレに行く際に廊下で転倒した。

この時もまた薬による副作用があらわれたようで、ふらついて腰を打ってしまったらしい。
うめき声をききつけた私が様子を見に行くと、立つのもやっとの夫。
痛々しかった。
「転んだ衝撃で再び大動脈が解離してしまうのではないか」
そんな不安が駆け巡る。

翌日、整形外科へ行った。
激痛が続いているため、松葉杖で身体を支えながら歩いた。

レントゲン検査の結果、「腰椎を圧迫骨折しています」
ポーカーフェイスの夫が顔を歪ませるほどの転倒だったため、夫と二人で“やはり”と頷き合った。

これから、常にコルセットを巻いての生活をすることになった。
それと鎮痛剤だけの処方で、3週間~4週間は療養が必要なようだ。

転倒から2週間ほど経った頃、再び音楽ライブに参加した。
本人は平気な顔で街を歩いていく。
鎮痛湿布を貼っているとはいえ、驚異の回復力だ。
ワインで赤くなっていく頬。そこに、大病を経験し、日を置かずに骨折をした病人の姿はなかった。


ライブの日から更に半月後、私の両親が様子を見に地元から来てくれた。
夫の体調が良さそうなので、全員で港町まで足を延ばす。
往復4時間の道のりだ。普通乗用車に大人4人は少し窮屈に感じた。

その地域でしか味わうことのできない魚料理や、広大な海の風景を堪能した。
両親も小旅行気分を味わっているようだ。知らない土地を見るのが好きな母は、特に喜んでいる。

途中で寺院へ赴き、遅い初詣をした。
平日ということもあって閑散としており、ゆったりと神聖な気分に整えることができた。
「夫が長生きできますように。夫との子供ができますように」
強く強く念じた。

そう、この時期から、不妊治療を改めて始めようとしていたのだ。

夫の緊急入院の1週間ほど前に人工授精をおこない、判定を待っていた。
残念なことに、入院から数日後に月経がきてしまったのである。
しかし、夫の状況から、しばらくは治療をストップせざるを得なかったことは言うまでもない。

退院から2か月半ほど経った年明け、ようやく再スタートの位置に立つことができたのである。




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