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多元化する地域社会と、とある一人の地域構成員

通勤の際に駅までの道中、必ず一緒になるタカシ(仮名)くんがいる。
彼は見た目からして21トリソミーだが私は関係なく声をかける。

「おはよう!」
しばらくは返答が返って来なかったものの、しばらくすると彼から声がかかる。

別に気難しい話なんかしたりしない。
犬や船の写真、動画を見たり、昨日は何を食べただとか。

そんな関係が続くと、彼が母親と共に辻に立っていた。
「お兄さんでしょうか」

行きすがら話を聞くと、彼が家でよく「お兄ちゃんと話した」と話すそうだ。
それを不審に思って確認に来たと言う。

「これからも宜しくお願いします。」
彼は振り向き気味に母親に手を振り、私と共に駅改札に向かった。

障害児かどうかは別にして、多元化する現代の地域社会コミュニティにおいて、
地域構成員の孤立化が長年警鐘を鳴らされている。

私の中で子育ては半分は家庭で、もう半分は地域ですべきだと思っている。
何故なら、その地域の構成員の一人だからだ。

昔はゲンコツ親父や、世話焼きババアがいたとは聞くが、
私が育った時代にはもうその存在は見かけなかった。

私は彼の母親に、
「家の外に出たら、地域の人が子供を見守る社会を作る一端を担いたいです。」と伝えた。

法律とか決まりとかではなく、可視化されないそういう道徳心のようなものを、
もっと自然に広めていきたいなと強く思う。

タカシくんには変わらず声をかけるし、しんどい時はかけないかもしれない。
何よりも普通に接していきたい。

終わり。

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