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【お仕置き小説】女子修道院のお仕置き


箴言二十二章
 「子供の心は愚かさ(過ちを犯す者、短気な者、思慮に欠けた者、よく聞かないで返事をする者)に繋がれている。懲らしめの鞭がこれを断つ」

  子供の愚かさ、間違いを知るには親が子どもと多くの時間を過ごす必要がある。

  そうした道を選択する必要がある。それは彼らの善性や、正しさを知るための時間にもなる。



女子道院長エロイーズ



 王政に陰りが見え始めた時代。それでも貴族は我が世の春を謳歌し、カトリック協会も権威を保ち続けていた。
  彼女が見習いシスターになったの二十年前で十四歳の時であったが男爵家、陸軍師団将の末娘であり、当時からその若さに見合わぬ慈悲深さ、聡明さ、そして誰もが振り返り溜息をつく美貌は市内でも鳴り響いていた。
  天使の羽根のようなふわりとした金髪と強さと海のような深い蒼の瞳が強さと優しさを表すようで、その不思議な魅力を一層引き立てている。
  その上実家は由緒ある歴史の家柄となれば当然のように結婚話はありとあらゆる方面からいくらでもあったが、神に仕えることこそが自分に与えられた運命だと固く信じる娘に無理強いすることはできず話は幾度も流れた。
  エロイーズは十二際の時から修道院に入りたがり幾度も家出を繰り返したが、その度にすぐに連れ戻され、その度に母親は泣きながらエロイーズを膝の上に載せてお尻を叩いた。
  両親も敬虔なカトリック教徒であったが、愛するエロイーズと二度と会えないかもしれないことに大いに反対していた。

エロイーズは哀しむ両親に足して方針を変え時間をかけて説得をすることにした。
  その結果十四歳の時にようやく修道院に入る許しを得たのである。
  エロイーズは隣の領内にあったフォント女子修道院に入ることを決めていた。
  フォント女子修道院の修道院長ルイーゼの名前は女子修道院の中でも飛びぬけて鳴り響いており、その聡明さと知識の程は賢女として貴族、ブルジョワ階級の権力者たちに助言を与えるするほどの影響力を持っていた。
  ほとんど焦がれていると言っていい程に憧れていた。
  幾度か話を聞く機会に恵まれたがルイーゼもまたエロイーズに負けず劣らず涼やかな美しさと知性を持った稀にみる女性だった。
  当然修道生活をして主に仕えることが至上であるのは一切の揺らぎのないことではあったが、この偉大な賢女の生き方を生涯を掛けて学びたいと思ったこともまた事実であった。
  修道院内の一室。暗くはない、光が十分に取り込んである。その中に女性が二人いる。 パァンッッ!

「あぅっ!」

柔らかな肉を打つ乾いた音が部屋中に響いている。
  エロイーズがまだ年若い、少女といえる見習いシスターを膝の上に乗せて剥き出しのお尻にパドルを落としていた。
  音は比較的軽いが恐ろしく硬い樫の木で出来た特製のパドルは一打ごとに少女の体をうごめかせ、悶えさせ、身を捩らせている。健気にも必死に我慢をしなければと歯を食いしばっているがくぐもった悲鳴を上げていた。
  修道服と中に着ているシュミーズは腰まで捲り上げられ、それをエロイーズが少女の身体ごとしっかりと抑え込んでいる。
  彼女に逃げる意思などあろうはずもなかったが、身体は剥き出しのお尻に与えられる厳しい苦痛から逃れようとして暴れてしまう。ズレたベールからはみ出た艶やかな髪を振り乱し、脂汗を流し、跳ね馬の様に上体を反らしている。 
  腫れ上がったお尻の痛みと熱は体中に伝播しているだろう。お尻に与えられる苦痛で息も絶え絶えで、本当はエロイーズに哀れみを乞いたいはずだ。
  ゆっくりと悔悛させるように打たれるので、次の一打が来るほんの合間に何とか息を整えて許しの言葉を出してはいる。

「お許しください…マザー…ああ…」

もうすでに二十打は打たれている。見習いシスターのお尻は真っ赤に腫れあがっている。
  自分のお尻に与えられる厳しい痛みにエロイーズの修道服の裾に必死に掴まりながらも一打ごとに両足をバタつかせてしまっている。
 パァンッ!パシィッ!

「きゃっ…!痛ぃっ…うぅ」

お尻に与えられる痛みが伝わって身悶えしようとしたところに同じ位置に落とされる苦痛の辛さに見習いシスターの少女は思わずいやいやと首を振ってしまう。
  彼女の剥き出しの両半球は満遍なく真っ赤になっており一時間もすれば赤黒く変色して痣になるだろう。夜の食事の時には座ることすら辛いはずだ。
  それを観察するとエロイーズはようやく振り上げたパドルを下ろした。

「そうですね、いいでしょう。お仕置きは終わりです。見習いだからこそ戒律はしっかりと守るようにするのですよ?」

「はぃ……申し訳ありませんでした…マザー・エロイーズ」

見習いシスターは全身を微かに震わせながらすすり泣きながらもマザーの温かな膝からどうにか立ち上がると、ソファに腰かけたエロイーズの前に跪いて礼を言った。

「苦痛に耐えた事で主もお赦しになったことでしょう。頑張りましたね」
  許しの言葉とともに、そっとそのしなやかな指先で見習いシスターの少女の涙を拭ってやる。
 エロイーズの許しを得たことでズキズキと痛むお尻を摩ってどうにか立ち上ってシュミーズと修道服を整えると、両手を組み祈りをささげる様に目を閉じた。
  その健気な姿を見るとエロイーズは目を細め、慈愛に満ちた笑顔を作った。
  修道院長といえば人格や信仰心を求められる重大な地位であった。
  置かれている場所によっては司教を超えた支持を受ける者もいた。
  管区内の上流階級子弟を預かることが多いのが原因の一つだったことは間違いない。男子修道院長や司教と同等ということにはなってはいたが、女性が叙任を受けた聖職者の地位に昇ることはない。

 しかし修道院長になるものの中には血縁に王族関係者すらいたのだから世俗、特に権力と完全に切り離すことは難しいのかも知れなかった。
  エロイーズの教会内、社会的な尊敬は本来四十歳をもって推薦と選挙で選出される修道院長につい数か月前三十四歳で就任させた。
  それは敬虔なカトリック信者である王妃からの推薦であり、去年逝去した前院長のルイーゼからの遺言でもあり、何よりフォント女子修道院の総意でもあったが為である。
  もっとも時代は進み修道院の厳格さはわずかづつではあるが薄れつつある。政治や地域改革に大きな役割を持ち始め、それはやがて腐敗へと繋がっていくだろう。
  それでも多くの修道院は柔軟かつ少しづつ変革していき守るべき戒律を堅固に守り通している。ここ前修道院長ルイーゼ自ら建てたフォント女子修道院でも世俗との繋がり保ちつつも厳格に戒律を守り硬軟を見事に使い分けていた。
  彼女エロイーズは人生経験が豊富というわけではないはずなのに母のように姉のように慕われてはいたが、そのお仕置きだけはたとえ年上のシスターでさえも恐れる。
  エロイーズの名声に惹かれてやってくる新たなシスター見習いたちはまずこの厳しすぎるお仕置に怯える。

正式に修道女と認められればお尻叩きのお仕置きをされることはかなり少なくなる。
  その代わりに戒律破りともなればお仕置きで戒められる程度ではすまなくなってしまう。軽度であれば自戒の鞭打ちや数週間の謹慎、それ以上となると追放か異端審問ということになる。
  そうなれば末路は悲惨極まる。追放や異端審問にかけられた修道女の落ち着ける場所など無く、娼婦に身を落とすか物乞いとして生きるか。
  エロイーズ能力不足からくるミスや間違いを叱るようなことはないが、大事なシスターたちを追放者や異端審問に掛けられるような人間にはしたくはない。
  それゆえ初めてお仕置きされる場合でも平手で百叩きが基本となった。
  お仕置きは必ず修道服を捲り上げられお尻を剥き出しにされる。罪の重さ、反省の度合いでヘアブラシ、パドル、ケインで打たれる。お仕置に耐えられずに逃げようとすればお仕置き台に繋がれた上で、お仕置きのやり直しとなってしまう。
  それ故見習いのお仕置きは厳罰を与える天使ウリエルのように。それが終われば慈愛をもって諭すラファエルのように。密やかに見習いシスターたちが天使になぞらえて敬愛するマザーをそう噂している。

「見習いシスターが増えた分、私の指導が行き届かないことも多くなってしまいました…」

エロイーズはため息をついて先程まで膝の上で泣いていた十代のシスターに、かつての自分の姿を重ねながらも自分の指導力不足を嘆く。
  お使いの帰りに大道芸を見ているうちに時間を忘れて帰りが遅くなったというほんのささいな子供の(実際没落貴族の末子で十六歳だったが)しでかしたようなことだったが、外に出た以上お使いとはいえ仕事に責任感を持つべきである。
  修道院という共同体での生活を乱す行為にも繋がる。
 「精神年齢の低さで言えば私もあまり彼女と変わらないのだろうけれど…」
  エロイーズは腰かけていた部屋の奥側の長椅子から立ち上がるとゆっくりと部屋の中央に目を向けた。
  部屋の中央には足の高い皮の寝台が置かれていた。
  真っ黒い革張りで四方の足と上部にはベルトが固定されている。
  お仕置用の拘束台だ。
  その上に身を預けると強制的にお尻を突き出した格好になる。あとは両手足と腰をベルトで固定してしまえばどれだけ暴れようともお仕置きが終わるまでは逃れられない。
  幾人もの見習いシスターがその台の上でうら若きお尻を剥き出しにされて鞭打たれてきた。最も厳しいお仕置きを課すときは必ずこの台に身体を拘束されてパドルやケインでお尻を叩かれるのだ。
  エロイーズとて数度だけだが見習い時代にはこの台にそのしなやかな身体を拘束されて鞭打たれて泣き叫んで許しを乞うた覚えがある。
  エロイーズは如何にも恐ろし気に部屋の中央で鎮座しているお仕置台に近づくとそっと皮の部分に触れる。

「私が最後にマザー・ルイーゼにここに乗るように言われたのはもう十五年も前のことになりますか」

主とルイーゼに許されたのは安心できることだが、お尻の痛みから逃げようと身をよじって泣き叫んだのは恥ずかし過ぎる思い出だった。
  裕福な貴族出身で身の回りの世話をする侍女を多く抱えていたエロイーズにとって人前で脱ぐこと自体はそれほど恥ずかしいことではない。
  それでもお仕置きのためだけにお尻を突き出した格好で恐ろしいお仕置き台に拘束されてお尻を剥き出しにされてしまうことは悲しさと恐ろしさ、何よりもルイーゼの手を煩わせていることがあまりにも情けなかったことを覚えている。
  あの時の胃を掴まれるような感覚。妙に心臓の音が大きく聞こえてルイーゼに聞かれてしまうのではないかとハラハラとしていた。


  それは思い出というにはあまりにも鮮明で、細かくどうやってどのようにお仕置きをされたかを事細かな情景が目の前に映し出されるようだった。
  その時、エロイーズの理性的な部分が罰をもらわなくてはと言っているが、心がどれほど厳しいお仕置きをされるのかという恐怖に怯え震えていた。そうこうしているうちに手足と腰は完全に固定さえていた。
  最上級のお仕置きの前では大人の女性へと変わり慈愛に満ちて聡明で美しいはずのエロイーズはあっという間にただの子供へと戻っていた。

「マザーごめんなさいッ!ああーっ!」

 お尻が真っ赤に腫るまでパドルで百叩き以上も打たれたあとにケインで三十回打たれたので蚯蚓腫れが何条も腫れたお尻の上にできていた。
  ビシッ!ビシィッ!とお尻に振り下ろされるケインの威力は一打ごとにその肢体を仰け反らせ、お尻を庇おうとさせたが無慈悲にもガタガタとお仕置き台がわずかに動くだけだった。

「いやぁっ!痛ぃ!ひぃーっ!」

余りに暴れるのでベールがズレて黄金の髪が振り乱された。
  そのことでさらに追加のお仕置きをされて汗と涙で美しい顔がぐちゃぐちゃになった頃、ようやく許されたが修道服を直すことは許されなかった。本当ならすぐにでもお尻を擦りたいというのに。
  息も整える間もなくお尻を剥き出しにしたままにある十字架の前で跪いて祈りを捧げるように言われた時はさすがのエロイーズもルイーゼのことを何と厳しい人なのだろうと思った。
  どうにかふらふらと跪きはしたが、エロイーズは飛び上がりかけてしまった。
  そんなことをすれば追加のお仕置きは免れない。
  真っ赤に腫れ上がったお尻に踵が食い込みぐにゃりと潰れてとても跪いていられるものではないが、歯を食いしばって耐える他なかった。
  もういいですよと許されたあとは母親に縋りつく子供のように泣いた。
  世間的にはとっくに大人になっている年齢だったが甘えるようにごめんなさいごめんなさいと繰り返してしまった。それをルイーゼはいいのですよと優しく包み込んでくれた。

「今思えば周りが何だかんだといっても甘やかされた貴族の令嬢。耐える気持ちが足りなかったことをマザーは見透かしていたのでしょうね」

流石ですと、恐ろしいはずの黒い革張り台を撫でていると恥ずかしさと懐かしさで目頭が熱くなっていた。

「いけません…修道院長に選ばれた喜びで気が緩んでいるのでしょう」

ほんの少し目元を拭うと息を吐き出して凛とした表情に戻った。

「……自戒しなくてはなりませんね」

エロイーズは扉へと向かうとお仕置部屋の内側から再び鍵をかけた。
  ガチャリという音がやけに大きく聞こえて、修道院中に聞こえたのではないかとエロイーズはどきりとした。
  当然そんなわけもなく、エロイーズは気を取り直すとお仕置き道具のかかった壁と対面する。その壁に掛かっているパドルの中から先程使っていたパドルよりも硬質のものを手に取った。
  修道院長たるエロイーズを罰することをできるものは修道院内にはおらず、誰も彼女を律するものはいない。時間が取れれば聴罪司祭のところへ通い告解は行っているが、迷いは中々に消えない。
  ルイーゼが生きている頃ならば自分から願い出て耐えがたい程に罰してもらうことも出来たのだが。
  教会において己を鞭打つ自戒行為は珍しくないことだが、エロイーズのじっとパドルを見つめる瞳にはほんの微かな高揚感が揺れていた。
  身を預けると烏色の修道服の裾を中に着ているシュミーズごと腰まで捲くり上げた。
  ただ皮膚を晒すのとは訳が違う。通常とは違う理由でお尻を出すのだ。恥ずかしさに顔が火照ってしまうのがわかる。
  お仕置きの度に容赦なく修道服も下着も捲り上げられてお尻を剥き出しにされてきたが、自分でお尻を出すのだしとしてもこの行為だけはいつまでも慣れるものではない。
  エロイーズの身体は女性として熟れきっていた。質素を旨としていても栄養は問題なく取れている為、くびれと丸みが理想的な曲線を描いている。
  剥き出しにされた大きな肉置きのいいむっちりしたお尻は乳白色の桃のようなすべすべとしていた。
  そのまま硬く分厚いパドルを右手に持つと顔を左手の上に載せて眉を顰めるようにぎゅっと目を閉じた。かすかに長い睫毛が震えている。
  これから己で与える厳しいお仕置きへの恐れか、自分に罰を与えていた今は亡き敬愛してやまなかったルイーゼへ想いからか。

 パッシィン!!!

「はぅっ…!」

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