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鈴木未来

今シーズンのSTAGE 4 愛知大会で優勝をしてから、快進撃を続けているJAPAN LADIESプロがいる。昨シーズンからJAPAN LADIESに参戦している鈴木未来(みくる)プロだ。

ツアー日程の半分を終えた時点で、9戦5勝という圧倒的な勝率。彼女の強さの秘訣はどこにあるのだろうか? また、JAPANLADIESで4度、決勝戦の相手となった佐々木紗綾香プロとの戦いについても話を訊いた。

中途半端では終われない!

現在は香川県に在住する鈴木プロ。初めてダーツをプレイしたのは、地元・大阪府にいるときだったという。

「『絶対にハマるからやってみて』って、友達に誘われたのがダーツを始めたきっかけですね。まんまとその言葉通り、最初の半年間はほぼ毎日投げていました。自分より上手な人がたくさんいるのがくやしくて、半年でレーティング10まではいこうって目標を立てていました。毎日やっていたら、それくらいはできるようになるのかな、って簡単に」

あっけらかんと話す鈴木プロ。半年後にはレーティングが9.7になっていたそうだ。プロとしてプレイするようになったのは4年前のこと。そのきっかけとは?

「4年前に子どもを産んだんです。そのときに夫が『ダーツをやりきっていないでしょ。中途半端なままで辞めるのはよくないよ。先行投資するから、頑張って』って言ってくれたんです。これから子育てが始まって大変になる時期だったんですけどね。そう言ってもらえたので、自分の中でもダーツをとことんやってみようと踏ん切りがつきました」

それまでも何度かソフトダーツの大会には出場していたが、改めてプロテストを受け合格。その翌年から、プロの団体でダーツをプレイするようになる。

突然の開花、そしてライバルとの戦い

JAPAN LADIESへは今シーズンから参戦。結果が出たのは、STAGE 4のときだ。この日は、朝から調子がよかったと鈴木プロは振り返る。それを裏付けるのが予選結果のレーティング。なんと17.03というJAPAN LADIESでは前代未聞の数字を記録していた。

「それまでの試合で“力を出しきれていない”という自覚はありました。でもあの日は、朝から調子がよかったんです。ロビンを戦っている段階で、いけるかもしれないって思ったんです。ただ緊張はしていました。でも、決勝戦までいってしまえば、そこには勝つか負けるかのどちらかしかない。じゃあもう、どっちでもいいや、って(笑)。勝ち負けにこだわっても、相手が打ったら負ける。だったらあまり気にせず、自分ができるだけやればいいと思ったんです。その気持ちが優勝に結び付いたのではないでしょうか」

STAGE 4を含め、鈴木プロは今シーズンすでに5度、決勝の舞台に上がっている。そのうち、4戦は佐々木紗綾香プロと戦うこととなった。そのことについて、どう考えているのだろうか。

「倒してやろうという気持ちは、もちろん毎回あります。ですが、私自身はあまり同じ相手と戦っているという意識はないんですよね。自分自身が対戦相手だと思って投げているので、同じ相手だとは意識していないつもりです。ただ、回数を重ねるごとに相手の気迫や呼吸を感じるようになり、やりづらくなるのは事実です。佐々木プロは、怖いもの知らずという感じがします。私がたくさん打っても怖がってくれないんだろうなあって。そこは、うらやましい部分ですね」

むしろ、他のプロと当たったときの想像がつかないので怖いと話していた鈴木プロ。実際、STAGE 9で焼山理恵プロと決勝で戦ったあとのインタビューでは、それまで感じなかった緊張があったと語っていた。


年間ランキング1位の男性プレイヤーに勝利

続けて、上海で開催されたTHE WORLDへ参戦したときの感想も語ってもらった。それまでも海外のプロが参戦する大会への出場経験はある鈴木プロ。THE WORLDでは、ある目標があったという。

「これまでTHE WORLDで日本の女性プレイヤーは1回しか勝てていないと聞いていたんです。だから、それより多く勝って上にいきたいと思っていました。トーナメントがシードだったので1回勝った時点で目標は達成していたんです。でも、ふと佐々木紗綾香プロの様子を見たら、すでに2勝していて。だったら私は、もうひとつ勝ちたいなって思いますよね(笑)」

そして鈴木選手はSTAGE 1の優勝者エイドリアン・グレイ選手に勝利。グレイ選手は8月17日までランキング1位を保持していた。鈴木プロは、彼の名前を聞いたことはあったものの、その事実までは知らなかったという。

「だから気負わず投げられたと思います。終わった後に“彼は今日までランキング1位だったんだよ”って聞きました。その後の、ボリス・カリチュマー選手との試合については、あんまり覚えていないんですよね。緊張しているのかどうかも分からないくらい、自分が興奮状態にありました。でも、やっぱりそのままSTAGE 3で優勝するだけあって、彼は強かったです。私にとって、THE WORLDに限らず、海外の選手とプレイできるのは、とてもいい練習になるというか。良い機会なので、STAGE 4の日本大会も出場します!」 

どんなときも楽しんでプレイすること。それは、家族との約束

鈴木プロは、これまでも行ってきた過去数回のインタビューの中で、何度も“楽しむ”という言葉を発信してきた。その理由について訊いた。

「これも夫に言われたことなんです。プロになってから、ずっと結果が出なくて、くやしさから泣いて家に帰ることもありました。そんなときに『交通費はもちろん、お金を払って出場しているんでしょ。そんなにつらい思いをするだけならやめれば』って」

あまりにも直球の夫からの言葉。しかし、そのアドバイスで鈴木プロは、自身がダーツを楽しむことを忘れていたことに気がついたのだそう。「夫の言う通りだなって思いました。楽しくて始めたはずのダーツだったのに、結果がでないことにばかりとらわれていたんです。『せっかくダーツを続けるなら、楽しんでプレイして家に帰ってきてほしい』って言ってくれて。彼にとっては勝つことより、私が楽しんでいるほうが大切なんだって思ったらラクになりました。だったら、その通り楽しまなきゃいけないと考えるようになったんです」

それからは、ダーツを楽しむことを第一に考えるようになったという鈴木プロ。

ただ“楽しむ”と言っても、プロとしてプレイする以上、そこにはプレッシャーや緊張感がつきまとう。そんなときこそ、家族の言葉が力になる。鈴木プロの強さは、家族との二人三脚で発揮されているのだ。JAPAN LADIESで圧倒的な強さを発揮している鈴木プロが、これから見せてくれるであろう世界が楽しみで仕方がない。 

-Profile-
鈴木未来(香川県)
スポンサー:Green Room / L-Style / THE DAY


9/28(日)11:00~
THE WORLD STAGE 4 JAPANの視聴はこちら
http://dartslive.tv/world/live2014s4/

10/4(土)13:30~
JAPAN STAGE 10 兵庫の視聴はこちら
http://dartslive.tv/#japan

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