松本嵐
松本嵐プロがJAPANの会場を歩けば、多くの参加者や関係者が声をかけにやってくる。ひとりひとりと楽しげにやりとりする彼は、JAPAN 2012で年間JAPAN 16 入りを果たした実力者だ。株式会社コアダーツジャパンの代表取締役という顔も持つ松本プロは、実力もさることながらその人柄でも、日本ダーツ界を10年以上にわたって牽引するトッププレイヤーである。
そんな松本プロが、JAPAN 2014の開幕戦である千葉大会で選手会発足を宣言した。日本のソフトダーツ界を見渡せども、選手が主体となった組織は、まだない。彼が実行委員長となってすすめる選手会とは、どのような組織を想定しているのか、今後どんな展開を考えているのか話を訊いた。
プロが主体となる組織を
昨シーズンの年間チャンピオン・鈴木猛大プロを選手会長に据え、自身は実行委員として選手会発足の準備や告知のため尽力している松本プロ。そのきっかけはなんだったのだろうか。
「プロ主体の組織を作った方がいいという意見は、昨シーズンからあったんです。というのも、プロの置かれている環境や試合ルールについてなど、JAPANをもっとよくするためにみんなそれぞれに言いたいことがあった。だけど、個人の意見を運営側がひとつずつ汲み取るのは難しい。そこで、運営側から“選手会を作って、意見をまとめたほうがいい”とアドバイスをいただいたんです」
それなら自分が、と松本選手は立ち上がった。現在は、JAPAN 2012・JAPAN 2013の年間入賞者を対象に声をかけて、選手会の中心となる理事会メンバーを集めている段階だという。
「昨シーズンの年間優勝者である鈴木猛大プロに選手会長になってもらったのは、それが一番、プロのみんなや周りの人に分かってもらいやすいと思ったからです。なぜ僕が実行委員長かと言うと……対外的に動けるメディア向けの人間がほかにいなかったから、だと思っています(笑)」
よりよい組織作りのための準備
そう言って笑う松本プロだが、選手会が組織として機能するまでの道のりはまだ長い。
「今シーズンは準備期間ですね。まずは中心になってくれるメンバーを決めて、選手会を作るということをみんなに知ってもらう期間。そのためにJAPAN 2014では、各STAGEの開催前に少し時間をもらって告知をしているんです。おそらく、実際に選手会としてスタートできるのは、来シーズンからじゃないでしょうか。それを目標に動いています」
今シーズンの前半には幹部を選出。おおまかなルールを作り、ウェブサイトやメール配信のシステムを構築したいと語る。
「いまは限られた人数ですが、準備が整ったら各都道府県の代表を立てて、地方在住のプロをまとめて欲しいと思っています。たくさんの人の意見を反映させたくて選手会を作るので、JAPANに登録しているプロには、できるだけ加入してもらいたいですね。ウェブサイトを作ったり、告知したりといったことも行うので、多少は年会費といったものを募るかもしれません」
選手にとっての権利と責任
松本プロは、プロライセンスを持ってダーツをプレイするなら、権利を行使するだけではなく責任も果たしてほしいと続ける。
「今までは試合のルールひとつとっても、既存のものに従うほかありませんでしたが、プロと運営側が対等に話し合いをできるようになるのは大きなメリットだと思います。例えば、審判の入り方についても、よりシンプルにするための案をすでにいただいています。大会の現状をいい方向に変える提案は、選手会としてまとめていきたいですね。ただ、そういった権利を手に入れたからには、責任も伴うと思うんです。プロを守るための選手会であると同時に、ダーツを広く普及するために活動する組織でもある。普段ダーツをプレイするときもプロのみなさんには“見られている”という意識を持って行動してもらえたらと考えています」
ダーツをプレイするみんなの気持ちをひとつにしたいと考えている松本プロ。さらに将来的な展望を訊いた。
「運営やメーカーさん、ディーラーさんだけではできないことがあります。ダーツはまだまだ知名度が低いですがもっとたくさんの人に知って欲しいし、長く楽しんでもらえるスポーツにしたい。そのためには一般企業さんに目を向けてもらうことやプロが主体となってPR活動をすることが大事。ダーツというスポーツをもっと普及させるためには、個々の努力では限界がある。プロライセンスを持つみなさんの協力が必要なんです」
JAPANで戦うプロの環境をよりよくするため、そしてより多くの人にダーツに親しんでもらうために始まった選手会発足の動き。松本プロや選手会立ち上げに携わるプロたちの熱き想いが多くの人に伝わり、いま日本のダーツ界を変えようとしているのだ。
-Profile-
松本嵐(岡山県)
スポンサー: CORE DARTS JAPAN / L Style / THE DAY
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?