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【今こそ知っておきたい!】半導体の知識とメーカーについて②

前回は、半導体製造の工程、半導体の材料と製造メーカーについて説明してきました。ケーキ作りに例えると、材料を提供する苺農家、泡だて器を作る企業、など。

前回の記事はこちら↓

今日はいよいよ、半導体をつくる半導体メーカーについて解説していきます。ケーキ作りでいう、パティシエさんですね!


半導体メーカーの分類

半導体メーカーに移る前に、知っておきたい半導体業界について少し。

皆さんは、今日の夕飯何作ろうかなって考えるのが大変だったりしませんか?夫婦であれば、夫がメニューを考えて、妻が作る、といったように、分業したら楽なのでは?と。

半導体業界でも同じことが起こっているのです。要は、企画開発と、製造を企業によって分けるという形態をとっています。

食卓においては、分業したところでさほど変わりはないだろうけど、莫大な設備投資と高い専門性が求められる半導体の分野では、この方が効率がすごくいいのです。

1,ビジネス形態としての分類

企画・開発を行う企業をファブレス企業と呼びます。(ファブ:製造工場、がレスな企業)

ファブレス企業から製造受託する企業を、ファウンドリといいます。

ちなみに、企画開発と製造の両方を行うIDMという企業もあります。

2,半導体の種類の分類

これは、どんな半導体が得意なのかという分類です。
計算が得意なロジック半導体、記憶が得意な、メモリ半導体があります。

ちなみにロジック半導体で有名なのが、CPU、GPU、DSP

メモリ半導体で有名なのが、DRAM、NANDと呼ばれるものです。

半導体メーカー紹介

1,ロジック半導体を作る企業(ファブレス企業)

・Intel
インテル入ってるで有名のIntelです。ロジック半導体の3分の1くらい作っています。ここは、企画・開発だけでなく、自社で製造も行っています。

・Qualcomm(アメリカ)
企画・開発を行うファブレス企業です。ここではスマホ向けのロジック半導体を作っています。2G、3Gで上手くいき、4Gではうまくいかなかった経験から、5Gにいち早く圧倒的な技術を見せており、今後も高い成長が期待されます。

・BROADCOM(アメリカ)
買収騒動でよく賑わせていますね。ブロードバンド向けのロジック半導体が有名で、こちらもファブレス企業です。

・NVIDIA(アメリカ)
GPUがとても有名です。(G:グラフィック)CPUと違い、ゲームなどでリアルなビジュアル描写が得意。今ではディープランニングやAIに欠かせないものとなっております。
また、自動運転、いわゆる車載向けでも必要不可欠なので注目の企業です。こちらもファブレス企業です。

・MEDIATEK(台湾)
Qualcommと違い、中国向けのスマホ市場で成功しました。Qualcomm同様、5Gに力を入れており、この2社がスマホ向けロジック半導体では競合しているファブレス企業です。

2,ロジック半導体を作る企業(ファウンドリ)

・tsmc(台湾)
世界シェアの半分を占めています。Qualcommが企画開発し、tsmcが作ったチップがあなたのスマホにもあるという事です。

マックユーザーのM1チップも製造しています。今までマックはインテル製のCPUを使っていたのですが、最近このM1チップというCPUを積んだモデルが出ており、それが速いし、バッテリーの持ちも良く、熱くならないという事でとても評判が良いのです。(M1チップを企画・開発したアップルが、tsmcに製造を委託しているという事)

また、ライバルであるIntelも、tsmcに一部製造を委託するという話もあります。

ですので、台湾に何かあれば、tsmcがあるからやばいという訳です。半導体は今や国際戦略物資。台湾有事でtsmcのラインがストップしたら、経済安全保障上、ヤバイと各国冷や冷やしているわけです。

・SAMSUNG(韓国)
記憶担当のメモリ半導体のトップシェア。DRAMもNANDも手掛けています。

・SKhynix(韓国)

・Micron(アメリカ)
民主党政権の時に救ってもらえなかったエルピーダメモリーを買ったところです。

・KIOXIA(日本)
NANDが強いです。

3,その他の半導体

ここまで、メモリとロジックという主要な半導体でしたが、他にも種類があります。

・SONY
我らがソニーが高シェアを握るのが、CMOSイメージセンサー。これは、レンズから入った光を電気信号に変えるという半導体で、人間でいう、目の網膜にあたる部分です。自動運転で大注目されています。

半導体企業への投資戦略

ここまでたくさんの企業を紹介してきましたが、実際どれに投資すればいいのかと迷うと思うので、そのヒントとなる半導体業界の成長に関するキーワードについて話しましょう。

1,技術トレンドから見たアプローチ

技術トレンドでのキーワードは、3つあります。

・微細化
いかに小さくするか。ここで重要になるのが露光の工程(前回の記事で詳しく書いてます)。より波長が短い、いわゆるEUV露光装置を使った技術が注目されています。ですので、EUVに関わる日本のレーザーテックなんかは特に注目されています。

・積層化
いかに層を積むか。チップを横に並べたり積み重ねたりすることで、これ以上の微細化が難しいところに、積層化による高集積化が注目を浴びています。
アップルのM1ウルトラチップは、チップを2つ並べて相互接続させ、1140億個の素子搭載しています。

Intelが1971年に発表した初のCPUの素子は2300個くらいですから、500万倍くらいになっているわけです。

・パワー半導体
電気制御に特化したとても強い半導体です。

2,最終製品から見たアプローチ

コロナ下の在宅ワークで需要が高まったPCやスマホも、今では需要が落ち着いてきました。そこで今はEVの自動運転化の流れで半導体需要が伸びています。

先ほど説明したSONYのCMOSセンサーや、パワー半導体が特に注目です。

そしてその先に見えているのがミリ波の5G。WIFIの設定とかで馴染みあるかもしれませんが、5Gの中で、3.7ギガヘルツ帯とか、4.5ギガヘルツ帯とかあるのです。この3とか4とかのあたりをsub6帯といい、”映画速くダウンロード出来る”みたいなレベルの話です。

その先に、ミリ波と呼ばれる28ギガヘルツ帯という更なる高周波帯があり、これこそが、IOTのカギとなります。これが進むと、工場のIOTが進み、遠隔手術が可能な医療機器IOTなど。

また最近注目のメタバースでも半導体需要は高まると言われています。

半導体投資

半導体業界の伸び方は、綺麗な右肩上がりという訳ではなく、上がり下がりのサイクルを繰り返しながら右肩上がりになっていきます。これは、時期によって需要が高まったり低くなったりするからです。

では、その需要を知る方法とは、

半導体メーカーによっては受注額を公表している会社も多く、その受注の動向を見るという事です。

今後需要が強まりそうな分野が出てきたときは、Intelとか、半導体メーカーは、設備投資をします。そうなると、東京エレクトロンやレーザーテックなどの製造装置メーカーの需要増に繋がります。

ちなみに半導体装置は作るのに時間がかかるので、注文を受けてからIntelとか半導体メーカーに納品されるのに数カ月から1年程度の時間がかかるそうです。

このように、半導体装置メーカーの受注の動向を見れば、業界の動向を把握するのに役立ちます。

ただ、こういった動向を追うのが面倒という方におススメな方法もあります。それは、SOX指数(フィラデルフィア半導体株)の指数のチャートを見るだけです。

・SOX指数
アメリカの主要な半導体株で構成された株式指数

半導体全体に投資したいという方は、このSOX指数に連動したETF=半導体ETFに逆張りで投資すればいいのではと、この動画作成者さんは言っています。基本的には右肩上がりに伸びていくからこそできる投資ですね。

半導体はここまで!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


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