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7/20 ASBミリタリさんの戦況分析 翻訳

毎日戦況の数字を追っているアタシにはたまらなく面白い内容だったので、翻訳した!

1.ロシアとイランの関係

昨日、ロシアのプーチン大統領とイランの大統領の会議があった。公式の発表では、経済や産業系の話し合いで、特にエネルギー関連だと言う。軍事関係の話し合いの話は公にならなかった。
もちろん気になるのは・・・・
イランはロシアにドローンを出すのか?
今までにイランとロシアがそのような合意に至った証拠はない。もしそんな話があったとしても、公になる事はないだろう。ここからは我々の憶測だ。

イランのドローンは戦場を変えるのか

ここ数週間、ウクライナ軍はUS/NATO製のMLRS HiMARSを手に入れた。このシステムは高精度多連誘導弾で、とても精度が高い。
ファイナンシャルタイムズの記事によると、アメリカは自分の所で持っているHiMARSシステムの3分の1をウクライナに出すと発表。これは約6,000発の砲弾に当たる。平均値として1~3発のHiMARSが一つの標的に発射されいる事から、3分の1を阻止できたとしても、2000~3000発のミサイルがターゲットに当たってしまい、これはロシア軍にとって確かに脅威になる。
ASBが把握している情報によると、HiMARSシステムはアメリカがロシア軍の手に渡らないように厳重にガードされており、発射から撤退ルートまで綿密に計算されている。
このHiMARSを止めるには攻撃ドローンを準備しておくしかない。
既にロシア軍がHiMARSを破壊したと言う情報もあり、動画も出回っているが、その信ぴょう性は確実ではなく、100%と言う保証はない。

ロシアはドローン攻撃に対して少し遅れている。何故なら開発企業、製造企業が使用を許さないからだ。ウクライナ軍が戦果として以前公開したロシアの攻撃ドローン、Kronshtadt Orionはピンポイント攻撃可能な高精度攻撃ドローンだ。
しかし、このドローンを使う為に使用する最新のシステムがNATOの手に渡る事を避けるため、ロシア軍は使用を控えている状況である。

そこでイランの攻撃ドローンだ。これは話がまったく違う。イランのドローンは過去に捕獲したアメリカのドローンをハックしたもので、アメリカ製なのだ。だから取られても怖い事はない。

そういう訳でイランがロシアに攻撃ドローンを供与するのは無きにしも非ずなのだ。

2.戦術・損失・予測

柔軟に、散らばって移動
特別軍事作戦開始時にはウクライナの砲撃は輝かしい成功をおさめた。ロシア軍が複数の前線で損失を出した理由は、悪天候により一般道を使った事や、いろいろ調整が足りなかった(命令系統が分裂していた可能性)などが上げられる。
ロシア軍が当時大きな部隊で一か所に駐留していたことも一因だ。結局ロシア軍にとって何もいい事はなく、後に再構成された。

この苦い経験から”柔軟、散らばって移動”戦術が生まれた。

再編後ロシア軍はすぐさまウクライナ軍の砲兵部隊に壊滅的な損失を与えた。ウクライナ軍の砲撃ポイントはロシア軍のフル攻撃により間引きされ、現在ではロシアの砲撃重視作戦を前に武器不足で厳しい状態が続いている。

ロシア軍はこの砲兵重視方針を優位性として利用する。

まず、ウクライナ軍の要塞は激しい砲撃で緩む。旅団への損失を最大に与えるのが目的だ。たいていロシア軍の砲撃に合うと30~60%のマンパワーの損失が出ると言う。

ただの悪夢である。

比較として、NATOの場合、5%兵が減ると戦闘不能になると言われている。60%の損失とは、高官だけが生き残った状態だ。

ここまでのロシア軍の攻撃を見返すと、この戦術が実に効果的である事が分かる。そこまでの損失を被った場合、小隊丸ごと入れ替えが必要になる。この入れ替えで手薄になったところをロシア軍は進軍し、当然ウクライナ軍は防衛に失敗する。ロシア軍は少ない抵抗の中、敵のポジションを奪う事ができるのだ。
このアプローチは早いとは言えないが安定している。この戦術を使い始めてロシア軍の兵損失が劇的に減った。むやみにウクライナ軍のポジションを奪おうとするのは賢明だとは言えない。何故ならウクライナ陸軍の武器装備はロシア軍にダメージを与えるには十分強大だからだ。

3.ウクライナ軍の戦術と成功事例

しばしば誤解されるのが、ウクライナ軍の”意図”と”戦術”だ。
ウクライナ軍はロシアが制圧した地域を取り戻そうとはしていない。彼らの主な攻撃の目的は、ロシア軍に最大の攻撃を与える事、一人でも多くのロシア人を殺す、ロシア軍の設備を破壊する事にある。
特に南部では、損害を被ったロシア軍が撤退することを望んでいる。
実際ウクライナ軍はHiMARS高精度攻撃でロシア軍の物流庫、武器庫に損害を与えた。ここ最近では1日で3か所のロシア軍の武器庫への攻撃に成功している。ロシア軍はこれに対して準備ができたいたかと言えばそうではなかった。
これを受けてロシア軍は防空隊を再構成したため、ここ数日はウクライナ軍のロシア軍重要拠点への攻撃は成功しなくなった。ロシア軍の対応がうまく行ったのかどうかはもうしばらく様子をみる必要がありそうだ。

ウクライナが発表するロシア軍の損失

ウクライナ軍は毎朝戦果を発表するが、それは”数”だけであって、発生場所や被害が出た旅団名、攻撃に使われた武器などの情報が一切ない。”数字”だけが湧いて出るのだ。
一方ロシア軍の発表する数字は必ず詳細も同時に発表される。攻撃場所と破壊したもの、旅団名、人数と同時に動画や画像、戦況マップなど事細かだ。そのような詳細がウクライナ軍の発表にはみられない。
よって、ウクライナ軍の公式発表は、確証性が低い情報として我々は使用しない。

戦況を見ている人々の間でしばしば話題になるのだが、毎回30~60%の損失を被って、時には一日に数か所で起こっているのに、なぜウクライナ軍が簡単に崩壊しないのか疑問に思う点だ。
実際ウクライナ軍はヨーロッパ最大の軍隊を持ち、元々兵力は抜群だ。と同時に現在は徴兵も行っている。 そしてここ最近、戦闘経験がない女性兵士やお年寄り兵士が見受けられるようになった。
ウクライナ軍のプロ集団は戦術的に使用されている。国家防衛隊(民間人)と一般兵は、戦闘経験が少ないにも関わらずロシア軍の進軍阻止に使われる。その隙にプロ集団が、ロシア軍にとって価値の高いターゲットを攻撃すると言う具合だ。

ウクライナの次なる崩壊として、我々はハリコフに注目している。
ハリコフが落ちれば、ウクライナ軍の防衛と言う面で、崩壊以上の事が起こる。何故ならハリコフはウクライナ軍の地元だからだ。そしてその崩壊は次から次へと起こるだろう。

冬が到来するとロシア軍には嬉しい季節となる。特にウクライナ南部は視界が落ち、濃霧が発生することで知られている。夏季のおおよその視界は10~18kmなので、広いエリアが見渡せるが、霧の中では防衛が非常に難しくなる。
冬の間に大規模な攻撃作戦が行われるとは思わないが、攻撃が難しいと思える平坦な地域でも成功を納めてきているのがロシア軍だ。

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