「音楽バカ」

私がまだ幼かった頃から大人になるまで、父からよく言われた言葉に「音楽バカ」になるな！というのがあります。
「音楽バカ」 音楽に関しては優れているけど、礼儀やその他の一般常識に欠けるというものですが、これは音楽に限らず、芸能・スポーツなど一つ事に秀でた人に往々にしてあることでしょう。

でも、父は、私にはそんな人間になって欲しくない、普通の常識を持って、普通の考え方の出来る大人になっていって欲しい、と常々言っておりました。
父は銀行員という仕事柄いろんな人と会う機会があって、そんな中で「＊＊バカ」と思われる人を沢山見て来たんだと思います。

だから、私には心して いろいろ勉強して幅広い知識を得るように、高校も普通科に行くように勧めてくれました。その当時、私の周りに、出来たばかりの東京の音大の附属高校へ行った人がいて、私も憧れていたので、そんなことを言ったんだと思いますが……。
また、当時としては珍しく幼い頃からピアノに触れさせてくれたり、東京までレッスンに行かせてくれるような父でしたが、それでも、レッスンの為に学校を休むとかはしてはいけないし、ピアノに差し障りがあるから体育を休むなんていうのは絶対してはいけない、と言われてきました（現実には体育は苦手でしたが）。

父は、私が小さい頃より折に触れて人生観や生きていく上で人間として大事なことは何か、などを、 話していてくれたんだなぁと思います。
そして、それは私の生き方の大きな柱になっているように思います。

すでに、父の亡くなった年齢を何年も過ぎている私ですが、あらためて、父の言葉を思い出すこの頃です。