第4回 当局届出事項の落とし穴1(純財産額が資本金の額に満たなくなった場合の届出)

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPファイナンシャル・ソリューションズは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。今回は、投資運用業者(適格投資家向け投資運用業を含む)に義務付けられている「純財産額が資本金の額に満たなくなった場合の届出」についてのお話です。

投資運用業者は50百万円(適格投資家向け投資運用業は10百万円)の最低資本金額が定められています。従って、多くの投資運用業者は資本金の額を50百万円超(適格投資家向け投資運用業は10百万円超)としておられると思います。
また、純財産額(純資産額)が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たなくなった場合の届出が定められており、その金額も最低資本金額と同様に、投資運用業者は50百万円(適格投資家向け投資運用業は10百万円)です。
その場合、仮に適格投資家向け投資運用業者として資本金を20百万円とした場合には、純財産額(純資産額)が20百万円に満たなくなった場合に、遅滞なく、内閣総理大臣に届け出なければなりません。
特にスタートアップ時はコストが先行し、純財産額(純資産額)が資本金を下回る可能性があると思われます。
従って金融商品取引業者の経営者としては、法令の要請を正確に理解した上で、そのような状況にならないような方策を講じることが重要です。
具体的な方策としては、資本金は基準ぎりぎりにしておき、想定される損失などは準備金でカバーできるようにし、必要に応じて早めに増資(準備金を増やすため)を行うことも選択肢となり得ます。
また、万が一純財産額(純資産額)が資本金を下回る事象が発生した場合にこれらの届出漏れを防ぐためには、例えば社内規程などに定期的な確認項目を明記し、管理表を作成して確認漏れを防止するなどの内部管理態勢の構築が必須と思われます。

ご心配な点等ございましたら、是非当社までお問合せ下さい。
(HT)

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