東京2年生


4月1日、免許更新のために実家の群馬県に帰省した。

今住んでいる赤羽駅の周りは、なんだかみんな不安と期待に入り混じった表情をしていた気がする。入学式で校長が言うセリフ第1位から引用しました。

絶対にそんなことはないけどみんな上京してきたばっかみたいな顔をしてて、東京2年生の僕はなんでも知ってるぞって顔をしながら歩いた。

赤羽だけじゃない、池袋も新宿も渋谷も僕はもう怖くない。ビルも見上げない。遠くにあるスカイツリーが見えたらちょっとテンション上がるけど。
1年でこんなに成長した。
みんな僕の背中を見習ってくれ。って顔をしながら。



電車に乗って、運良く座れて、次の駅で小学生の女の子が入ってきた。

その子は不安そうな顔で、僕の顔を少し見てから隣に座った。僕が怖い人ではないか確かめて、どうやら大丈夫だったらしい。
東京2年生だぞという表情が彼女に届いた。
むしろ僕が頼もしかっただろう。

電車が動き出して少し経つと、女の子が目の前に立ってる女性に席を譲ろうとした。


50代くらいのおばさんは断った。
大丈夫だよありがとねって言われた後、女の子は誇らしげな顔をして、こっちを見てきた。


東京5年生くらいの顔をしていた。





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