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ぱちんこ放浪記3【コラム】

※このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

初めてパチンコの当たりを得た僕はパチンコ雑誌を買うようになっていた。元々、雑誌が大好きでプレシデントからナックルズまでとにかくどんなジャンルでも読みまくっていた。そこにパチンコ雑誌も加わったというだけの話である。前回プレミアに気付けなかったも残念だったし、勉強してそういうのにすぐ気づけるようにしようと思ったのだ。

で、雑誌を読んでいると、ある事が書いてある。パチンコはボーダーライン理論で勝てます。と、へぇ、ギャンブルかと思ってたけど理屈で勝てるんだ。なるほどねぇ。特に興味もなかったパチンコへの興味が萌芽した瞬間であった。僕は理屈が好きなのだ。

さっそく試そうと思いパチンコ屋へ向かう。前回はK君がいたが、今回は1人、なんとなく打った初打ちとは違い、勝とうという意思を持ってパチンコ屋に来たのはこれが初めてである。これが本当のパチンコデビュー戦なのかもしれない。

緊張しながらエヴァンゲリオンに座って玉を打ち出す、回転数をメモったりはせずにスタートの回転数を確認して頭の中で思い描くだけ、よしよし回っているな……、あれ?なんか回らなくなったような、でも最初すごい回ってたし、気のせい気のせい、あれ?いまどれくらいの回転数だったっけ?まぁいいや続行だ!

凡人の脳は並列処理をしながら記憶をとどめていられるほど優秀ではない。記録をしておかないと本当の事から目を背けて良い事しかみないのである。多分回ってない台をそのまま回し続けて、幸いにも当たる事はできた、が、上皿に玉がない、財布にもお金がない、うわぁどうしようどうしよう。オロオロしていたら左隣のおばちゃんが一掴み玉をくれて事なきを得た。

助かったわぁと思いながら打ち続けていると、右隣のおっちゃんがなんか怒っている表情をしている、なんだぁ?と思っていると声をかけられた。

「兄ちゃん、こういう場合はこうやって玉を返すんだよ」

と、僕のドル箱からおもむろに玉を掴み、左隣のおばちゃんに渡していた。ぱちんこ打ちにきたの3回目なんだからそんなマナーなんて知らんがな、と思いはしたが、助けてもらったらお礼をするというのはもっともなので、すいません、ありがとうございました、と両隣にお礼を言った。

怒ってた表情のおっちゃんはその言葉で表情が柔らかくなり、頑張れよと言ってくれた。おばちゃんは、別に良かったのに、でもありがとね、と言ってくれた。

またまた大勝ちなんてする事もなく、両隣のおっちゃんおばちゃんに挨拶して席を立って換金してパチンコ屋を後にした。印象に残ったのはボーダー理論や勝ったことではなく、パチンコって金だけじゃなくマナーやコミュニケーションもあるんだなぁという事だった。

#パチンコ #ぱちんこ放浪記

サラリーマンのリアルな立ち回りとパチンコの面白さを伝えるnoteである!……できれば勝つ!(たまに横道にそれたりもする)