The Guardian 書評





6/28‘You’re the sucker, you’re the loser’: 90 miserable minutes of Biden v Trump
:「お前はクソ野郎、お前は敗者だ」バイデン対トランプの惨めな90分

https://www.theguardian.com/us-news/article/2024/jun/28/biden-trump-first-presidential-debate

トランプとバイデンの討論が行われた。1960年に、ジョンFケネディとニクソンが行った討論以来、初の観客なしで、候補者のみで行う討論だった。1960年の討論では、2人の年齢の合計が90だったのに対し、今回は、159である。バイデンは、準備をしすぎたのか、風邪を引いたのか、声が非常に聞きづらかった。この討論は、文章を書き終われない老人と、真実を語れない老人の見るに絶えない議論だった。バイデンが、9個の虚偽の主張をしたのに対し、トランプは30の虚偽の主張をした。しかし、バイデンはトランプの嘘を押し返すことが出来なかった。トランプは勝たなかったが、バイデンにとって不利な議論となった。
この討論は、バイデン陣営が開いたものであったが、結果的には、バイデンの衰えを見せつける議論となってしまった。バイデンが11月の大統領選の民主党候補になる可能性は極めて低くなった。

日本ではあまりない、候補者のみの1対1の討論。その中に、多くの虚偽の主張があることや、子どものような怒りを持った議論が行われていることに驚いた。今後も、大統領選の動向を追って行きたい。



 6/22‘These kids are violent, drunk on power’: can mafia children be saved from a life of crime?
「この子たちは暴力的で、権力に酔っている」:マフィアの子供たちを犯罪の人生から救えるか?


‘These kids are violent, drunk on power’: can mafia children be saved from a life of crime? | Mafia | The Guardian

2010年あるマフィア一家に警察が突入し、兄コジモ(14)と妹マリア(12)以外の、父、母、祖母が逮捕された。コジモは刑務所の外にいる唯一の男性家族となり、地元企業を訪問し、脅して、弁護士費用を集めていた。コジモは罪に罪を重ね、2013年で16歳の時に逮捕された。彼と出会った、裁判所のティ・ベラ判事は、コジモのようなミニマフィアが生まれるのは、「幼少期から始まる心理的な教え込み」が原因であるとした。2011年に判事は、青少年裁判所の所長に就任し、危険な家族から、子どもを引き離し、18歳になるまで遠方に送る権限を持つ保護権限制度を導入した。教育者、ソーシャルワーカー、心理学者からなるチームが、保護観察対象者に教育を終えるのに必要な支援を与えることになる。子どもを犯罪に巻き込み続ける親は、親権を剥奪されることになる。ディ・ベラはこのプログラムを「 Liberi di Scegliere – Free to Choice」と名付けた。この取り組みは、刑務所に入ることよりも、参加することが難しい制度である。マフィアの子どもたちは、マフィアであることに慣れているからである。コジモの家の場合は、マリアの母、アンナも、獄中でマフィアの生活にうんざりしており、子どもに、死ぬか、刑務所に入るかの未来を不安に思っていた。アンナが、保護観察制度に同意した。コジモもマリアも制度に保護されたあと、マフィアから離れ、現在は母親と妹と、暮らしている。二人の女性は自立を学び、コジモは仕事に恋もしている。



6/11 Jon Stewart on corporate Pride ‘pandering’: ‘Stop. We don’t need any of this’
ジョン・スチュワート、企業のプライド "迎合 "について「やめろ。こんなものは必要ない」


Late-night TV roundup(深夜テレビ番組まとめ)というカテゴリーで記事を選んだ。
深夜番組司会者たちが、プライド月間における企業の価値観、トランプ氏の保護観察聴取、そして気温が100度を超えたラスベガスでの集会について述べた。

The Daily Show では、米国のLGBTQ+コミュニティを祝う6月のプライド月間であり、これを企業が集まり、同性愛者の需要と平等を求める数十年にわたる闘いを経済的に搾取する時期」であると語った。2020年にジョージフロイトさんが亡くなった事件をきっかけに、人々が人種差別をなくそうという動きになったら、企業たちは賛同したが、企業の賛同は抗議が沈静化するまでしか続かなかった。大企業は収益や株価価値を求めるためパフォーマンスをしていると述べた。

Seth Meyersは、LateNightで、ドナルド・トランプの口止め料による不正選挙の重罪の有罪判決は誤審であると主張する共和党員を再び嘲笑した。「トランプが不正の犠牲者だという考えは、明らかにばかげている」と彼は言った。

スティーブン・コルベアは、トランプの保護観察の聴聞会についても、「ドナルド・トランプのどこがいまだに謎のままなのだろうか」と疑問を呈した。また、トランプが、アリゾナ州とラスベガスに立ち寄ったことに対しても、気温が38度まで達した、有罪判決を受けた重罪犯としての最初の米国ツアーだと批難した。


コメント:日本とは異なり、政治に対する意見が皮肉を持って日常的に報道されているのは興味深いと思った。日本において、ここまで政治がお金と闇のイメージが強く、報道や関心が低い理由は、何なんだろうと思わされた。

https://www.theguardian.com/culture/article/2024/jun/11/jon-stewart-late-night-tv-pride-trump



6/7 You can feel a shift’: will the French be lured by Le Pen?
 「変化を感じられる」フランスの人々は、ルペンに惹かれるのだろうか?

マリーヌ・ルペンは、国民連合の創設者である。国民連合は反移民の極右政党である。
2022年の大統領選決戦投票において、中道派のマクロンが83%のスコアを得て、ダブルスコアで大統領に就任したが、極右政党「国民連合」の得票率は33%で過去最多となった。極右政党が2027年の大統領選挙の決選投票に進出するのは確実だと、中道右派は警告している。また、「マリーヌ・ルペンは、一カ月語に控える欧州選挙をマクロン大統領に賛成か反対かの国民投票にするという党の狙いに成功した」という政治研究者もいる。国民連合は既に88人の国会議員を要するフランス最大の与党である。2026年の地方選挙を含む今後の3年間は、極右の座をめぐる政治活動が活発になるだろう。

コメント:移民を排除する方向性だった、過激な極右政党「国民連合」が、脱悪魔化を測っており、表向きは、声高に唱えてきた差別的な移民排斥や欧州連合(EU)からの脱退などの極端な主張を封印。「庶民の味方」として都市と地方の格差解消や治安の回復を訴えて、「普通の政党」の姿をアピールしている。フランスの政局にも変化が起こっているのかもしれない。







6/1 War, AI and more war: the 2024 Bilderberg agenda is sure to set off alarm bells
戦争、AIそして、さらなる戦争。2024年のビルダーバーグの議題は警鐘を鳴らすだろう。

マドリードで開催中のビルダーバーグ・サミットは、今年で70周年を迎えた。何十年もの間、富豪や権力者たちが密室で世界の問題について語り合うビルダーバーグ会議は、当然のことながら陰謀論の対象になってきた。近年は、イルミナティというよりも、ダボス会議に近いオープンなものにしようとしている。だが、いまだに多くの人々が警戒心を抱いている。億万長者たちの目は、今年もしっかり未来を捉えている。具体的には「戦争の未来」だ。スーダンからウクライナ、ガザに至るまで紛争が絶えない中、それが時代の精神であるかのように感じられる。今年は、より警備体制が強化されている。それは、すなわち、議題に詰め込まれた、ロシア、中国、中東、気候など、会議の議題に詰め込まれた脅威と「課題」を反映している。「ウクライナと世界」と題されたウクライナに関するセッションは、より広範な世界大戦をほのめかしている。世界の軍とそれを取り巻く産業は、ビルダーバーグを真剣に受け止めている。なぜなら、ウクライナは「AI戦争研究所」と呼ばれるように、戦争産業の中心地となっているからである。今年のビルダーバーグは、欧州投資銀行やスペイン銀行のトップはもちろんのこと、上級大臣やEU委員が多数参加している。カンファレンス会場には、グーグルディープマインド、マイクロソフトAI、ミストラルAI、アンソロピックのトップなど、ハイテク界の著名人がひしめき合い、ハイレベルなAIサミットにもなっている。


23年 11/11 Australians aren’t joining in any more – and it appears to be having big political consequences
オーストラリア人はもう参加しない - そしてそれは大きな政治的影響を及ぼしているようだ

今回は古い記事だが、オーストラリアの市民活動に関連する記事であることもあり、この記事を選んだ。

2006年から2019年にかけて、社会団体、コミュニティ団体、市民団体への参加率は8〜10%ポイント減少した。2006年には、オーストラリア人の約3分の2が、スポーツ、宗教、趣味のグループなどの社会グループのメンバーでしたが、現在では約半数だ。地元の奉仕クラブや救急隊などのコミュニティグループのメンバーは、約4分の1にすぎない。労働組合を含む政治団体のメンバーは10%である。専門家は、グループであることで、志を同じくする人や同じような経験を持つ人たちと力を合わせれば、自分よりも大きなことを考えることができ、社会の利益のために協力したり、何らかの社会的・政治的変化のために一緒にロビー活動をしたりできると述べている。しかし、グループは減少傾向である。研究者は、グループへの参加は減少しているものの、オーストラリア人はさまざまな方法で市民活動に参加していると述べている。例えば、ソーシャルメディアや、Change.orgというプラットフォームを通じてなどである。短期間だけ関わる人が多く、グループには所属しないのではないかと示唆している。

コメント:オーストラリアにおいても市民活動団体への参加が減少していることが分かった。個人での動きに変わりつつあり、どの国においてもコミュニティが薄れつつあるのではないかと考えた。

5/16 Dutch woman, 29, granted euthanasia approval on grounds of mental suffering オランダの女性が、精神的な理由での安楽死を認められた。


慢性的なうつ病、不安神経症、トラウマ、詳細不明のパーソナリティ障害を抱えるゾラヤ・テル・ビークは、まもなく人生を終えると予想されている。彼女は、精神的な苦しみから、自殺扶助を求めた。彼女は後数週間で人生を終わらせる予定である。それが、ヨーロッパで物議を醸している。精神的な理由から、自殺扶助を行う人は多くはない。2023年に9068人が自殺した中で、138人、1.5%である。珍しい事例だからこそ、議論が活発になっている。オランダでは、幇助死を認めるためには、耐えられないほどの苦痛を味わっていることが必要である。彼女は子供のころから、うつ病などの精神的疾患に苦しみ、様々な治療も効果はなかった。医師から、「大丈夫ですか。今なら辞められますよ」と尋ねられても彼女は迷うことはなかった。彼女は、「人々は、命は大切だというのも分かっている。(中略)しかし、私は、ネガティブな気持ちに耐えられなかったんです。」

意見:精神的な理由での暗殺死は認めるべきなのだろうか。先天的な病気なら仕方がないのかもしれないが、ストレスなどによる後天的疾患なのであれば、いつか気持ちが変わるときもあるのではないかと思ってしまう。それはきれいごとなのだろうか。


Brutal heatwaves and submerged cities: what a 3C world would look like
5/11猛烈な熱波と水没した都市:3Cの世界はどのようなものか


気候科学者たちはガーディアン紙に、地球温暖化は壊滅的なレベルになると予想している。ガーディアン紙が数百人の主要な気候専門家を対象に行った調査によると、地球温暖化は国際的に合意された限界を超えて急上昇し、壊滅的な熱波、洪水、嵐をもたらす可能性が高い。回答者のわずか6%が、1.5°Cの規制を達成できると考えており、そのためには、化石燃料の燃焼による世界の排出量の増加を食い止め、逆転させるために、非常に迅速で急進的な行動が必要だ。
1.5℃の上昇で「気候ベンチマーク」サンゴの死滅、永久凍土の融解が起こる。2℃で強烈な熱波が起こる。洪水の被害は二倍になる。3℃で、上海やリオデジャネイロなどの都市は、海面に沈む。3℃以上で、何百万人もの難民が生まれる。

気候変動の対策は間に合っていない。これからの各国の対応が問われている。

https://www.theguardian.com/environment/article/2024/may/11/brutal-heatwaves-submerged-cities-what-3c-world-would-look-like


5/6 People think it’s just for emo or gothic kids’: the Kenyan metalhead leading a new wave of African rock
「人々は、エモやゴシックの子供だけのものだと思っている」:アフリカン・ロックのニューウェーブを率いるケニアのメタルヘッド


ロード・スパイクハートことマーティン・カンジャは、植民地主義から祖母まで、アフリカの文化とメタルをミックスした音楽であらゆることをカバーしている。10代の頃、マーティン・カンジャは地元のラジオ番組でヘビーメタルを聴いて数え切れないほどの夜を過ごした。猛烈なリフ、叫び声、唸り声、歪んだ音が彼の不安をかき消した。「僕が音楽に惹かれたのは、それがとても"身体的"で、とても今、存在感があり、ネガティブな思考や感情が入り込む余地がなかったからだ」と語るカンジャは、すぐに自分もメタル・アーティストになりたいと決心した。
2010年、19歳の時、故郷のケニア中西部の都市ナクルを離れ、首都ナイロビに向かった。あれから14年が経ち、ロード・スパイクハートことカンジャはアフリカン・メタルのベテランであり、ソロ・デビュー・アルバム『The Adept』の実験的なサウンドでアフリカン・メタルの境界を再定義している。

https://www.theguardian.com/global-development/article/2024/may/06/martin-kanja-lord-spikeheart-kenya-africa-metal-music-debut-solo-album


4/25Are we joking?’: Venice residents protest as city starts charging visitors to enter
4/25「冗談じゃない」: ヴェネチアが観光客の入場を有料化し、住民が抗議


ヴェネツィアは、日帰り観光客に対して入場に五ドルかかる仕組みを導入した。これは世界初の取り組みである。発効する5ユーロ(4.30ポンド)の料金は、日帰り旅行者を抑止し、街を再び「住みやすい」ものにすることである。加えて、ユネスコの世界遺産をオーバーツーリズムの影響から保護することを目的としています。住民の組織の代表は、「入場料を課すことは出来ない、彼らがしていることは、ヴェネツィアを遊園地にすることだ。それは、ヴェネツィアに悪いイメージをもたらす」と述べた。ヴェネツィア本島は、1950年代初頭から12万人以上の住民を失い、多くの問題に悩まされてきたが、特に、オーバーツーリズムが問題である。広場、橋、狭い歩道に群がる何千人もの観光客がおり、とても狭くなっています。入場券は、オンラインで購入が可能である。住民や、通勤者や、学生や、14才以下の子供は除かれる。チケットを持たない場合は、50ユーロから300ユーロの罰金が科せられる。ヴェネツィア市議会は、祝日である4月25日のチケットを5,500人が予約し、初日に27,500ユーロをヴェネツィアの財源にもたらしたと述べた。ブルニャーロは、それが金儲けのための取り組みであることを否定しているが、この計画が成功すれば、住民の地方税を削減すると約束した。


4/20 US House passes bill that could lead to total TikTok ban
米下院、TikTokの全面禁止につながる可能性のある法案を可決

アメリカの下院で、ソーシャルメディアのプラットフォーム全体を禁止する法律が360対58で可決された。この法案により、Tik Tokの運営会社であるByte Danceは一年以内にアメリカでのTik Tokの事業を売却する必要がある。上院は来週採決の予定で、バイデンは署名すると述べている。下院議員のマイケルは、「この法案は、米国民、特に米国の子供たちを、Tik Tokの中での中国のプロパガンダの影響から、守るものだ。」と述べた。当初は、売却期間が6カ月であったが、新しい買い手が取引を成し遂げる時間を確保するために、1年に延長された。批評家は、中国に拠点を置くByteDanceがユーザーデータを収集し、中国政府に批判的なコンテンツを検閲する可能性があると主張している。一方で、Tik Tokは米国のユーザーデータを中国政府と共有しておらず、今後も共有しないと繰り返し述べている。NPRが報じたところでは、Tik Tokは「1億7000万人のアメリカ人の言論の自由を踏みにじる禁止法案を押し通そうとしていることは残念だ」と述べた。

私は、Tik Tokの禁止は、国民を守ることなのか、それとも自由を奪うことなのか。議論が続くであろうと思った。日本人は、気軽にInstagramやLINEなどのSNSを使用しているが、そのデータの行く先を考えたことはない。悪用の可能性がある膨大なデータの多くは中国にある。そのデータをうまく使えば、世論を誘導することさえも簡単なのかもしれないと思った。

4/10 Briton and French wife face £11,000 Brexit visa bill to return home to UK
イギリスとフランス人妻、イギリスに帰国するためのビザ代が11000ユーロという問題に直面

ブレグジット後のイギリスにおいて、厳しく移民制限が行われている。例えば、イギリスとフランス人のケイトとデラウニー夫婦は、イギリスで25年以上も税金をおさめてきたのにも関わらず、イギリスに戻るために、11000ユーロが必要である。夫妻は、フランスにすむ父の体調不良がきっかけで、25年暮らしたイギリスを離れて、2015年にフランスに移住した。しかし、2021年に移民政策が持たれ、帰国するためには高額のビザが必要となった。2022年に父が亡くなったことや、パーキンソン病を発症したことを期に、イギリスに帰ろうと思った夫妻だが、帰国が難しくなっている。ブレグジットにおいて、5年以上イギリスに帰らなかった市民は、帰国することが出来ないという問題が生じている。親しんだ国に帰れないという問題は大きいものである


3/27Japan dietary supplement recalled amid investigation into two deaths and 100 hospitalisations
日本の栄養補助食品、2人の死亡と100人の入院を調査中に回収


内容
小林製薬が、紅麹コレステヘルプなどの3つの製品をリコールした。腎臓の疾患を患い死亡した患者2名が、「紅麹コレステヘルプ」を服用しており、製品と死亡の関連が調査中である。100人ほども、入院患者が体の不調を訴えている。(発酵の過程で、肝臓に毒であるシトリニンが発生する可能性があるが、小林製薬の分析では、シトリニンは検出されなかった。)

意見
海外の新聞記事で、日本での記事より早く日本の情報を得るのは、はじめてだったので、驚いた。EUでは、健康被害が先に報告されていた(下記、NHKからの引用)こともあり、報道や、シトリニンなどの情報がはやかったのではないかと推測する。発酵食品やサプリメントに対する考え方の変化のきっかけになるかもしれない。今後もニュースを追っていきたい。

ヨーロッパでは紅麹菌由来の健康食品による健康被害が報告されていて、EUは、一部の「紅麹菌」が生むカビ毒の「シトリニン」について、サプリメントに含まれる基準値を設定し、10年前、内閣府の食品安全委員会も注意喚起を行っています。

NHK(下記リンク)




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