『ライオンのおやつ』を読みました。
『ライオンのおやつ』
小川 糸
[ポプラ文庫]
2020年の本屋大賞第2位の作品をいまごろ。
私は食べ物の話が好きなのだなぁ、としみじみ思いました。
あたたかいお話。
だからふつうに読み進めていたのに、話の本筋とは関係なくもない部分の描写で思い出してしまうことがあって、何度か心がざわつきました。でもそれは傷を思い出したわけではなく、なんと表現すればいいのか。
実感として納得できたというか、共感できたというか。
あとはあれです。いま引用しようとして探せなかったけれど、一瞬「いかなご」が出てきましたよね。そこで。
その季節だ、と言っていた人、いたなぁと思って。
ドラマティックに描くわけでなく、「死」を、すぐそばにあるもの、としてとらえているのがとてもよかったです。これは、誰にでもあてはまる物語だ、と思って。
でも、だからこそ、泣いてしまいました。わかってしまう経験をした、ということなのですよね。これ、体験していない人にも伝わるものなのかな。ずいぶん前の私だったらどうだっただろう。
読めてよかったです。
お気持ち嬉しいです。ありがとうございます。