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【英文法の話007】辞書の使い方

ちょっと寄り道して辞書の使い方について話します。今回は文法の話はしないので、読み物です。

「辞書を引きなさい」とは言われますが、案外きちんと使い方を教わることってないのではないでしょうか? 私もそういう人間の一人でした。

辞書との「下手な」付き合い方

辞書の「上手い」付き合い方というのはなにかと聞きますが、「下手な」付き合い方、つまり駄目な辞書の使い方というのはあまり聞かない気がします。これは答えが1つしかなくて、「とりあえず辞書を引く。そして一番上に来ている意味を採用する」。これです。これが一番駄目な使い方です。

というのはですね、単語は複数の意味があることがあります(特に基礎的な単語のほうが、様々な場面で使われるのでそういう傾向が高いです)。一方、辞書というのは、おおむね使用頻度の高い順に単語の意味を載せています。

そうなると、いま自分が見たり聞いたりしている文章なり会話なりの「文脈」を無視して、とりあえず使用頻度の高そうな意味から出してくるわけです。すると、ちぐはぐな意味を採用することになる可能性がとても高くなります。

中学校の教科書は親切なので、巻末に教科書内で使われている単語の意味を辞書形式でまとめてくれていますが、一般の辞書はそうなっていないですね。高校入学後の「英語の勉強のしにくさ」の原因の一つだと思います。

紙の辞書、電子辞書、スマホの辞書

利用できる辞書の形式は、おおまかに3種類でしょう。紙の辞書、電子辞書、スマホの辞書。どれが良いのでしょうか?

これに関して、私が高校生だったころは「紙の辞書が良いか、電子辞書が良いか」という議論がありました。たぶんいまも続いていると思います。私の高校の先生は、学生時代を紙の辞書で過ごしたためだと思いますが、「紙の辞書が良い」という人ばかりでした。

最近、とある高校生が「スマホの辞書を使っている」という話を何かの拍子にしてくれて、自分の高校時代とはまた違った話がきっと学校で展開されているのだろうなと思ったものです(自分もスマホの辞書を使うこともあるのに、なぜ気づかなかったのだろう…)。

さてどの辞書を使うかですが、私の意見は「スムーズに短時間で調べられる電子辞書またはスマホ。あるいは単語帳」です。

理由は、(語学学習には避けて通れない)単語を引く過程で一番苦痛になる「引く手間」を軽減できるから。学習初期の段階ではわからない単語ばかりだと思います。いちいち辞書につきっきりになってしまうと、辞書を引く手間が膨大になり、辞書を引くことそのものが億劫になるはずです。電子辞書あるいはスマホの辞書はすぐに見出し語が出ますから、楽ですね。

単語帳が選択肢に挙がっているのは、「とりあえず必要そうな(高校生が目にする可能性が高い)単語がまとまっており、意味も絞られているから」です。これも手間の節約になります。

紙の辞書はダメ?

とはいえ、紙の辞書がダメというわけではありません。紙だけではなく、電子、スマホにしてみても、それぞれ良い面と悪い面があります。

紙の辞書の長所は、なんといっても一覧性の高さです。意味、例文、熟語、慣用句などがパッと見れます。これは電子辞書や、スマホではできません。また、必要であれば書き込みも自由にできます。電子辞書やスマホ辞書でも書き込みはできると思いますが、やはり自由度は手書きが最も高いですね。付箋を貼ってメモを追加もできます。

反対に、電子辞書、スマホ辞書の欠点は、電池切れや故障のリスクがあること、例文表示などの操作を別途覚える必要があること(そういう機能があること自体に気づかない人がいます)などでしょうか。

辞書を引くときに必ず押さえておくこと

さて、辞書を引くときには以下のことに注意してみましょう。

①品詞を確認する
②名詞であれば、可算名詞、不可算名詞を確認する
③用例や例文を参照する
④使っている辞書の表記に注意する

①について
品詞の確認はとても大事です。同じ単語でも品詞が違うと意味が違います。たとえば water という単語は名詞では「水」ですが、動詞では「水を与える」という意味です。

これ以外でも品詞には常に注意を向けておかないと、誤訳を連発します。助動詞としておなじみの will には名詞の意味があるのを知っていましたか?(そしてもちろん辞書に載っていることも)

②について
名詞の場合限定なのですが、同じ単語でも可算名詞(数えられる、複数形をとれる)と不可算名詞(数えられない、複数形にはできない)では意味が違うことがあります。例えば work なんかそうですね。よく見る「仕事」というのは不可算名詞で、可算名詞(works)の時は「(芸術などの)作品」という意味です。

③について
これは特に動詞の場合なのですが、複数の意味があって途方に暮れることがあると思います。そんな時は用例や例文も参照してみましょう。目的語の位置、ともに使う前置詞や副詞など、自分が調べている英文と同じ形になるものを調べてみてください。

④について
辞書を触りたての時は、結構意識してないと思います。品詞の表記や注の入れ方などは辞書によって異なります。たいてい紙の辞書の場合は巻頭か、電子辞書の場合はヘルプにまとめてあるので、辞書を引く前に一度確認してみてください。

おわりに

辞書はとても心強いツールです。疑問に思ったことの解答が載っていることがよくあります。辞書を使わない方が良いということは全くないので(英語に慣れた人のほうがよく辞書を引きます)、自分の使いやすい辞書をバンバン引いていきましょう。

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