見出し画像

【英文法の話005】文の要素

品詞、節と句の話をしましたが、続いて「文の要素」というものについて見ていくことにしましょう。文を成立させている要素は、主語、目的語、補語等があるのですが、これらについての話です。

主語と主部

主語 subject というのは、日本語では「~は」「~が」という部分にあたります。おおむねの文法書では「ある動作の主体を表す」みたいな説明がされていることが多いです。

日本語では主語を省略することが多いのですが、英語ではそういう場面は特殊な場合(口語表現や慣用句など)になりますので、原則として主語は文の中に存在している必要があります。

主語とよく似ている言葉に主部というものがあります。主語は(厳密には)1つの単語だけを指しますが、一方で主部は複数の単語からなる言葉を指します。ただ、主部もおおさっぱに「主語」と呼ぶことが普通です。

(A) She has a notebook.
彼女はノートを持っている。
(B) All students of this school have a notebook.
この学校の生徒はみなノートを持っている。

さて、上の例文(A)では、She が主語になっています。(B)は All students of this school までが主語ですが、(B)は1つ以上の単語でできていますので本当は主部と呼ぶ方が正確です。

基本的に(疑問文などでなければ)動詞の前に主語となる部分が来ます。例外はあるのですが、簡単な見分け方です。

述語動詞と述部

主語に対応する動詞を述語動詞 predicate verb と言います。先ほどの例文で言えば、(A)は has が述語動詞、(B)は have が述語動詞です。

英文には主語が必要だということを先に書いていますが、主語と動詞はほぼかならずセットになっています。つまり、英文は主語と動詞を一対で考える必要があるということです。主語を無視しても、主語と対応する動詞を軽視しても、英文としては成立しません。

このつながりは日本語よりも強力で、単純な play とか study のような動詞そのものだけではなく、動詞の派生語(不定詞や動名詞、または動詞を名詞化した differ → difference など)にも、対応している主語を考えなければ正確に理解できない場面があります。

ちなみに述語動詞という用語はあまり使われず、たいていは「動詞」と一言で済まされます。

さらに述部 predicate についても紹介しましょう。述語動詞もふくめて、主語について述べる部分です。上に出ている例文だと、(A)なら has a notebook 全体が述部になります。動詞のほかに、それにくっついている目的語なども含めている概念、というわけですね。

目的語

目的語 object は、日本語では「~を」「~に」にあたる部分です。とても大雑把な見分け方ですが、動詞の後ろに置かれている名詞のことです。上に出ている例文では、(A)(B)ともに a notebook が目的語です。それぞれ has、have という動詞のあとに来ていますね。

目的語に関連して重要なのは、他動詞と自動詞という区別です。詳しくは5文型の説明で触れようと思いますが、目的語を取ることができるのは他動詞のみで、自動詞は目的語が不要です。

補語

補語 complement は、なかなかやっかいな概念です。一言でいうと「何らかの言葉の説明をする言葉」です(これでわかったらすごいのですが、正直一発で習得してもらったことがありません…)。

これがわかりづらいのは、補語そのもののせいではなく、補語をとらえるために別の文法概念(とくに動詞と文型)を習得している必要があり、また主語や目的語と違って日本語ではなじみがなく、文章中でも区別しづらいためだと思われます(つまり、補語を説明できるようになったら、ある程度英文法に精通したということです)。

補語という用語を少しわかりやすくするには、もとの英単語の complement を辞書でひいてみるのがひとつの方法です。「補足して完全にする」というような意味が載っていると思います(そういえば「完全な complete」という単語とよく似ていますよね)。「何かの補足説明をする言葉=補語」というような意味なのでしょう。

前置きが長くなりましたが、補語の理解は動詞や文型と一緒にしないとできないと思いますので、ここでは簡単な紹介のみにします。

補語の存在は動詞と深い関係があります。動詞には完全動詞と不完全動詞という区別がありますが、補語を取ることができるのは不完全動詞です。たとえば次のような文です。

They call the dog Pochi.
彼らはその犬をポチと呼ぶ。

この Pochi というのが、the dog の補語になっています。the dog の補足説明として Pochi が来ているわけですね。ここで重要なのは、Pochi そのものが常に補語として働くわけではなく、この文に補語が存在するのは call という動詞の性質のためです(くわしくはまた)。

修飾語(修飾語句)

修飾語 modifier は文法書によってはとりあげられていないことがあります。まぁ、主語、目的語、補語と比較すると、英文理解では知らなくてもなんとかなる面があるのは確かです。

modifier という単語は「修正する modify」から来ています。文章に情報を追加して「修正する」ようなところから来ている単語だと思います。具体的には形容詞や副詞があたります。おおまかな理解としては、主語、動詞、目的語、補語のいずれにもならないもの、ということです。

This boy is crying all day.
この少年は一日中泣いている。※ all day : 一日中

一例ですが、この文では all day という副詞(「時を表す」の用法です)が修飾語句にあたります。

よろしければサポートお願いいたします。書籍購入代やコーヒー代になります。