仲林自伝〜初恋最終話〜

先日、木原浩一プロに会う機会があった。日本プロ麻雀協会のエース、過去に雀王とクラシックをとった協会の中ではベテランのプロだ。動画の配信や、コラムなど多方面に渡り活躍する大先輩である。私は木原さんの数少ない友達だ。木原さんは実に友達が少ない。所詮他人という言葉を残しているほどドライな男だ。彼に私のコラムについてどう思うかを聞いてみた。「内容はともかく、発信して行くことがプロとしては大事だから、続けた方が良いと思う。内容はともかく。」とのことだった。少し引っかかるが、間違っていないと言う確信が持てたので、これからもこのノートを続けていきたいと思う。しかし、エースに、このことを書いていいか聞いてみると

画像1

ものすごくネガティブな返事が返ってきた。でもエースありがとう。ずっと友達だよ。※木原さんは13個上の先輩です。

さて、本編に移っていこう。

「ちょっと考えさせて。また後日でもいい?」

そうカナちゃんは言った。仲林は全然気にしてないと言う顔をしながら、別にいつでもいいよとカッコをつけた。内心はもう振られてしまう、この世の終わりだ、言わなきゃ良かった、そう思っていた。情緒不安定になり思わず、こう聞いてしまった。

「好きなの?嫌いなの?半分なの?」

カナちゃんの答えは半分だった。半分なら良かった、嫌われてない。まだ可能性はある。ふと、みあちゃんの顔が浮かんだが、すぐに忘れてしまった。

そのあと会話がなくなり、カナちゃんの家まで無言で歩いた。家まで送り届けると、私も帰路についた。

その日の夜、クラスのグループでチャットをしていると仲林家の電話が鳴った。一階から母親の声が聞こえた。カナちゃんからの電話だと。急いで階段を駆け下りて、電話をかわる。カナちゃんは2人だけのチャットルームを作ったので、来て欲しいと言った。パスワードを教えてもらい、階段を駆け上り、そのチャットルームに入った。

振られるのか、付き合えるのか。正直本当に不安だった。振られてしまうと、また友達の関係に戻れるのか。不安を押し殺し、手を震わせながらキーボードを打った。

「何か話でもあるの?」

告白したことはなかった事のように、仲林は質問した。チャットで本当に良かった。多分電話で話しても、面と向かって話しても声が震えていただろう。

今日の話なんだけど、とカナちゃんからメッセージがきた。次のメッセージが怖かった。自分で聞いたのに、答えを聞きたくない質問など初めてだった。

「ピロリン」

メッセージが来た音がした。なんで書いてあるのか見たいような、見たくないような複雑な気分だった。勇気を出して、メッセージをみた。

「私で良ければ付き合ってください。」

叫んだ。仲林は叫んだ。後ろでゼノギアスをやっていた龐煖にうるせぇと言われるがお構いなしだ。

「お、じゃあ付き合おう。」

平常心を装ったメッセージを送り、仲林はガッツポーズをした。そこから4時間、2人でチャットをしていた。至福の時だった。龐煖と精神と時の部屋で過ごしたあの1週間は無駄ではなかった。中学生はスマブラが強いとモテるのだ。ちなみに麻雀業界は麻雀が強いとモテる。牌捌きが綺麗だとなおモテる。大事なのは清潔感>麻雀の強さ>牌捌き>トーク力>顔の順番だ。覚えておいた方がよい。

春休みも終わり、中学3年になり、カナちゃんは転校していった。3年生になるとカイとは離れ離れのクラスになるも、ホクトとは同じクラスだった。ちなみにみあちゃんも同じクラスだった。新学期初日、カイのいる4組に遊びに行き、仲林はこう言った。

「恋っていいよな。」

なんてこった。この仲林、匂わせてきた。プンプンと匂わせて来やがった。まるで、私は恋をしている、もしくは彼女が出来たと言うことを匂わせてきたのだ。どうしたの、何かあったの?って聞かれたいだけの質問を、わざわざ違うクラスに行ってしたのだ。女の子の何かあったのか聞いて欲しいだけのツイートにかなり近い。「もうマジありえない」みたいなツイートに色んな人が、どうしたの?◯◯ちゃんは悪くないよ、みたいな返信をしていると虫唾が走る。それを言って欲しいがためにツイートしてんだろお前はと思う。すまん、言いすぎた。仲林の発言は今考えるとウザすぎるが、聞いてほしくてたまらなかったのだからしょうがない。可愛い中3の仲林だ。

しかしながら一つ上の男カイは、恋愛なんかもう疲れたよ、年上のお姉さんと付き合いたい、そう言っていた。いや、違う、聞いてくれ、俺の話を。何故こんな言葉をわざわざここに来て言っているのか、考えて返事をしてくれ。私はただ彼女が出来た事を喋りたいのだ。この言葉の背景を考えてくれ。そうか、カイ、お前は馬鹿だった。聞いた俺が悪かった。

結局、彼女が出来た、カナちゃんと付き合うことになったと言う話を自分でした。カイはもちろん驚き、キスはしたのか、エッチはしたのか聞いてきた。ピュア林は1か月弱経ってもキスどころか手さえ繋いでいなかったが、本当に幸せだった。

そして中学3年、受験シーズンが始まり、ついに仲林が麻雀を覚えることとなる。

lead to the next chapter...


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?