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『美しい彼』〜続編映画化決定!(テレビドラマ/日本)

2021年の秋から冬に見たドラマ。

ちょっと話はそれるが、当時2021年秋ごろ私は町田啓太さんの出演作を調べていた。そして偶然にチェリまほドラマの存在を知った。すでに放送は2020年12月に放送終了。出演者とストーリーを見て一気に心を持って行かれ、DVDをレンタルするか、配信か、いやもういっそいきなりDVDを買ってしまおうかなどと色々考えたものの、当時忙しかった仕事が一段落つくまではなんとか我慢しようと思うに至った。一度でも見たら最後きっとはまって、日常生活に支障をきたすのではないかと心配になったから。それほどまでにチェリまほは魅力的だった。
そして、一度も見ていないのに頭の中がチェリまほでいっぱいな日々を送っていたところに、偶然出くわしたのがこの『美しい彼』だった。

「高校生ものかぁ・・・」と、あまり期待しないで見たドラマだった。別に高校生を馬鹿にしているわけではなく、ティーンエイジャーの恋愛ものは、もう大昔にその時期をすぎた大人の自分には、ちょっと眩しくてこそばゆい感じがして直視できなさそうだったのだ。だから初めは観るつもりはなかった。なんせ当時は頭の中はチェリまほの二人でいっぱいだったので、「やっぱり会社員くらいがいいわ〜」と思っていた。
でも、台湾・中国ドラマで何度も経験しているように、先入観で判断してはいけない。偶然出会ったのも何かの縁、気になったならとりあえず観よ。

ということであまり期待しないで見始めた。
まずよかったのは、”美しい彼”が本当に美しかったこと。少なくとも私は初めて清居を見たときに ”綺麗な子だわ・・・” とホッとした。『美しい彼』で万が一その”彼”が美しくなかったら一大事だ。
そして、主演の二人の演技が私の予想以上によかった。

1〜4話までは、主人公・平良(ひら)目線でのお話だった。高校の中でいろんな意味で皆の頂点に立つ常に注目の的のキング・清居(きよい)に一目惚れしてから、高校卒業後しばらくして再会するまでの、平良目線の物語。
5話では過去の同じ出来事を清居目線で描いている。
当たり前のことだが、人それぞれの立場から見れば、同じ事象でも全く違って見える。
4話までを見ていた時は、「学校で特別な存在の美しい清居に、馴れ馴れしくなんかできないよね。分かる分かる。近くにいられるだけでいいか・・・」なんて思って平良寄りの立場で見ていた。平良は清居に盲目的に従順だったし、好意は折に触れて表していたから、清居はそれを受け入れるかどうかは別として、わかった上でこの上下の立ち位置を変えずに付き合いを続けたいのだろうと思っていた。その関係は二人とも変えるつもりも変えたい気持ちもあまりないのかなぁと思っていた。
でも、実はそうではなかった。

清居は、平良が思うよりずっと(そして私が感じていたよりずっと)、平良のことが好きだった。
5話で清居の平良に対する一途な思いの告白を聞いて、私は清居がグッと好きになった。キングというより、任務に忠実な超鈍感ナイトに恋をしている美しいツンデレプリンス(プリンセスか?)。
5話を見ると、確かに清居から見た平良の行動は、時に奇妙だったり予想外で理解できないものに見えた。自分勝手とも。例えば暗いライブハウスの片隅の席で、何故か真っ黒なサングラスしてビクビクしながら清居の演劇を見る平良は、確かに変人的雰囲気。というか不審者か?
どうしたいの、何考えてんの、一体何なのっという気持ちに清居がなるのもわかった。

目線を変えて物語を見ることで、清居の平良への思いや戸惑いに納得がいって、スッと最終回に入っていけた。5話がなかったら、清居が平良を好きだということが今ひとつクリアにならなくて、最終回も消化不良だったかも。

最終回は、泣きじゃくりながら鈍感な平良に思いをぶつける清居の話を聞きながらキュンとしてしまった。そんなに好きだったのか・・・と。確かに平良って、好き好き言うのに、大事なところで急に引いてどこかにいっちゃったり、そうかと思うと全力で追いすがってきたり、理解不能だったかも。すっかり清居贔屓になり、「平良ちゃんとしろ!」と言いたくなっている自分がいた。
いや待て。やはり、清居も自分を好きだと感じるのは、平良の立場だったら難しいか。まさかって、思うね・・・。

この最終回はいろんな意味でよかった。まず二人の演技が素晴らしかった。
怪我をした指を平良に舐められて、戸惑いながらときめく清居はもはやプリンセスの美しさ。そんなことまでして更に唇を近づけながらも突然途中で引き下がり、理解困難な平良の一途さも頂点に。

そして、二人の思いが通じ合い、物語が和やかな雰囲気のハッピーエンドで終わった後のエンディング曲の映像が・・・「わっ!」
放送が夜遅くてよかったわ。というか、夜遅いからあそこまでやれたの?何はともあれ、一家団らんにはオススメしないわ・・・。
いずれにしても、最後の最後まで作り手の美しさへのこだわりを十二分に感じた。

主演の二人については全く知らなかった。
八木勇征くんの演技が、みずみずしくて、色っぽくて、とてもよかった。演技経験が少ないなんて信じられない。いや、それがよかったのか。
萩原利久くんは、狂気じみた何かただならぬ気配を纏っていて、地味〜なもさっとした様子なのに透明感と存在感大。

映像が美しくて、時にゾクゾクするほど色っぽくて、風景などは何故かちょっと郷愁を誘う感じで、終始素敵だった。
当たり前だと言われるだろうけど、監督や脚本って大事だなと痛感させられた。出演者が有名人気俳優大集合とか、テレビ局のネームヴァリューとか、放送される時間枠という要素は、作品のできには必ずしも寄与しないのだなぁと。

『美しい彼』を見てから、あまり第一印象はあまり惹かれなくても、やっぱり実際に見てみないと面白いか否かはわからないなぁと改めて思い知らされた。
で、パスしようかなと思っていた『ケイXヤク』も見たら、こちらも結構よかった。

ひらきよ、続編あるかなぁ・・・って思ってたら、何と何と!続編映画化決定ですってよ!