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『チェリまほ』再放送第6話(2022.02.10)

いつものことながら30分の中にたくさんのエピソードが詰まっていて、今回はいろいろ切なくなって、何だか感想がまとまらない・・・のもいつものことか。

体調を崩した安達を家まで送った黒沢。部屋に入り、体調を心配して安達に近づこうとして、二人はベッドに誤って倒れ込んだ。
倒れた勢いで漏れ出た「あ・・・」という安達の小さな声と暗闇にきらりと光るつぶらな瞳が、暗闇の中の黒沢の戸惑いの表情と相まって何とも言えない緊迫感と艶っぽさを醸し出していたいいシーンだった。昨年冬に放送されていたドラマ『美しい彼』で平良と清居が稽古場で倒れ込んだシーンを、何となく思い出してしまった。あちらもかなり強烈で印象的なシーンだった。『美しい彼』の主人公・平良(ひら)には、黒沢みたいな相手に対する大人な配慮はなかったな・・・。まぁ、オドオドしながらもやりたい放題な平良がまたよかったのだけど。
とにかく、どちらも素敵なシーンだった。

黒沢は悩み始める。これ以上好きになってはいけないと思いながら、一緒にいる時間が長くなるほどに自分を止められなくなる。「近くにいられるなら、同期でいい」と思っていたはずなのに、手を伸ばし触れたくなってしまう。仕方ないよね、大好きな相手がドンドンこちらに近づいてくるのだから。寝顔にそっと触れてしまった自分が、恐ろしくなる。もう先に進むわけにはいかないのに、これ以上一緒にいたら、どうなるかわからない。

退社後、安達と一緒に彼の家に帰る黒沢は何か考え込み、安達の楽しげなお粥話も耳に入らない。どうするんだ、おれは。安達を離したくないけれど、このまま一緒にはいられない。どうしたい、一体?

今朝黒沢が作ってくれたお粥を嬉しそうに褒めて感謝する安達の屈託のなさと、追い詰められて悩みに沈み、心ここにあらずの黒沢の対比が、とても切なかった。

そしてラストシーン・・・。

6話を見ながら、私がBLと言われるものをずっと好きな理由は、この切なさなのかと感じた。

打ち明けられない恋、諦めなければならない恋、好きでないフリをしなければならない恋、人に知られてはならない恋。切ない要素がたくさん詰まっている。黒沢は別に罪を犯しているわけでもないし、何か自分の境遇に重大な秘密を抱えているわけでもない。でも、この恋を先に進めるわけにはいかないと思っている。理由はただ一つ。二人が同性だから。

BLというものを自分はなぜ好きなのかなぁと、私は自分のことながら長年ずっと不思議に思ってきたのだけれど、6話の黒沢がその疑問の答えの一部を表しているように感じた。