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【医療マガジン】エピソード5 直子と観音寺暁子の出会い(後編)

ここでアシスタントの鶴ちゃんが、見ている者をホッとさせるような笑顔で口を開く。直子は直感する。
 
この娘は、華乃宮小町&観音寺暁子という強者(つわもの)と対峙しても、なんら怯むことなく自分のキャラを貫いている。一瞬で場を和ませる癒し系ではあるが、性根が据わっていることはまちがいない…。寿郎さん、気を許しちゃあダメよ~んッ!
 
「いゃあ、ホントよかったですぅ。実は…(そう言って百田のほうをチラッとみて)番組の前に百田さんと……ですよね。華乃宮さんと観音寺さん、弾きあっちゃったらどうするぅって、ネ?ちょっと心配したりもしてたんですよねぇ」
 
百田は下を向いて、ニヒルに笑いをこらえている。直子にはそれが妙にお茶目に感じられる。
 
「おふたりの波長が合って、本当にホッとしています」 by 鶴ちゃん。
 
「鶴田さん、それ、ここで言いますかぁ?」と観音寺。
「この子、最近ちょっと調子に乗ってるみたいでねぇ~」と華乃宮。
「そんなぁ。調子になんか乗っていませんよぉ」と鶴ちゃん。
そして、3人の強敵に交互に視線を送りながら、「いずれにしてもですね。これからも観音寺さん、お声かけしてもよろしいでしょうか?」と百田。
 
そんなやりとりをリアルタイムでガン見しながら、直子はなぜか痛快な気分になっていた。
 
「百田寿郎というオトコが醸し出すハラハラドキドキ・ウキウキワクワク感。ムードメイク。いかなるキャスティングも調和させてしまうような父なる包容力。感動ものだ!」
 
そんなことを思いながら、ひとりパソコンの画面に向かって大きく頷く直子であった。
 
このコーナーの総括は華乃宮小町だった。
 
「一般的な医者であれば、患者によほどの危険がないかぎり、自分の範疇で何とかしようと試行錯誤を繰り返すもの。患者から求められれば、『それじゃあ、一度専門の先生に診てもらいましょうかぁ』などと言って、自分が懇意にしている(ツーカーの仲の)医者を紹介する。患者が具体的な病院名を挙げた場合には、相手の医者名の記載がない無意味な紹介状を書いて渡したりもする…。
 
みなさんがもしも運悪く、セカンドオピニオンを必要とする状況になった時には、『どこの病医院の、どの医者に診て欲しいのか」を特定しないと、せっかく勇気を出して別の医者に所見を聴く機会を手に入れても、意味のない結果に終わってしまうんだということをキチンと理解してほしいと願います。でも、どうしてもひとりでは無理そうという場合には……。良かったですねぇ、みなさん。横浜のみなとみらいに観音寺暁子さんの社会福祉士事務所がありますからね。頼っていけばいいと思いますよ。その時は、どうぞ観音寺さん、宜しく頼みましたよぉ」
 
「はい。たしかに承りました」
 
スタジオから、ウォ~ッという歓声と拍手。
 
それを受けて百田が締める。もちらん、直子も姿勢を正して呼応する。
 
「華乃宮小町さん、観音寺暁子さん。本日は本当にありがとうございました。それではみなさん、よろしいですかぁ~。いきますよぉ~ッ! 今夜も明日も明後日もぉ~っ、ムゥ~イビエン。バッキュ~ンッ!」
 
【資料室だより】
「はじめて受診する病医院をどのように決定しますか?」
20代から80代で通院中の患者100名に訊きました…。
予想通り、スマホ検索が7割超のダントツトップ。さらに、そのうち9割弱が、選定基準として「自宅や職場に近いこと」をあげています。
「リピート(再受診)するかどうかの判断基準は何ですか?」
同じく、20代から80代で通院中の患者100名に訊きました。結果は、診療技術など一切関係なく、「医師の好感度」が8割超でした。
さらに深堀りして、「好感度」の根拠を訊いてみました。すると…。
①「人当たりの良さ(やさしそうな雰囲気、笑顔)」が3年連続でトップ(30%超)
②「診察の丁寧さ」と「説明のわかりやすさ」がほぼ同率の20%
③「聴き上手・質問のしやすさ」が僅差で18%
次点が「励ましや気遣いの声かけ」で10%でした。長く通院することになるかもしれない医師、何かあった時に訪れる医師に対して、患者が求めるのは、医師としての技量以前の問題として、「人となり」が重要であることが窺えます。
「かかりつけ医に求めることは何ですか?」
別の機会に、やや視点を変えて訊いてみました(複数回答可)。
ヒヤリング対象は同様です。
①納得いくまで話を聴いてほしい(50%超)
②いろいろな相談に応じてほしい(40%超)
③健康の回復・維持、病気の予防について教えてほしい(40%超)
④痛みや不快感を取り除いてほしい(約30%)
⑤円滑で健康的な暮らしに役立つ講座を開いてほしい(約30%)

実は、3年連続でほぼ同様の結果となりました。これは医療経営者にしてみたら画期的な調査結果です。症状を緩和するということ以上に、患者はコミュニケーションと相談と教育(啓発)を欲しているのです。

調査結果からは、2025年に地域で生き残る病医院になるための答えが見えてきます。あとは、現状の医療制度ではおカネにならないこれらの施策を、いかに少ないコストで費用対効果的に具現化するかの問題です。

そしてこれこそが、医療経営を革新してきた百田寿郎のコアカンピタンスなのです!

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