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栃木シティ2023年まとめ

グリスタでの歓喜から早や3か月。
サポーター仲間とやれ昇格祝いだ忘年会だ決起集会だとアルコールで脳をひたひたにしているうちに、JFL開幕が1週間後に迫っていた。
光陰矢の如し。
今矢直城監督体制3年目。J3昇格を目指す2024年。
シーズン開幕前に昨シーズンの戦い方を整理することで、今シーズンの栃木シティの進化(予定)をより実感できるはず。
2023年、その集大成となった地域CLから2試合(都農戦、決勝R市原戦)をベースに雑駁ではあるが栃木シティの戦い方について4局面でまとめてみたい。
※選手名敬称略

1.ボール保持時(攻撃時)

決勝R市原戦のスタメン

ボール保持時(攻撃時)の並びは2-3-5
ビルドアップの中心はGK、CB、SB、DM
GKがフィードでCFを狙うこともあるが、多くの場合には最終ラインから繋いで運んでいく。
原田はフィードの精度も高いがショートパスで繋ぐ技術もあり、時にはCBの間に立ってボールを捌く。
カルロス増田の両CBもパスの技術は高い。カルロスはボールを運ぶ力にも秀でており相手のプレッシャーをかわしながらハーフウェーラインを越えていく。
SBはDMの脇にポジションを取り、MFであるかのようにビルドアップに参加する。ボールサイドのSBは大外に開き、反対側は中央に絞っているケースが多い。
ビルドアップの舵取り役はDMの岡庭。関東リーグ戦、全社と選手が定まらなかったこの役割を岡庭は見事にこなした。細かい繋ぎのみならず、WGへのロングパスを織り交ぜながら攻撃をコントロールした。
基本的にこの5+1で相手を引き寄せ、動かしながら侵攻の糸口、スペースを探る。

アタッキングサードまではサイドアタック、というより左寄りあるいは右寄りで進むシーンが多い。
左サイドで侵攻の中心となるのはLSB佐藤、LIH表原、LWGパウロのトリオ。
そこにカルロス、岡庭、RIH関野、CF平岡が加わり数的優位を作りながらスペースを創出していく。いずれの選手も繋ぐ技術が高く、佐藤は左足からの長短のパスと運動量で上下動、時にはハーフレーンで立ち回る。表原はドリブル、ラストパス、ミドルシュートでバイタルを脅かす。パウロは大外でのドリブルから高精度のクロス供給でアシストを重ねた。
関野はフリーマンとしてボールサイドに顔を出し、+1を作り続けた。
都農戦ではRIHのスタメンは宇都木だった。宇都木は岡庭を補佐しつつ中盤のリンクマンとして攻撃を支えた。関野のようにフリーマン的に動かず右サイドよりでプレーすることが多かったがその理由はボール非保持時に理由があると考えられるため後述する。

決勝R市原戦 前半14分


この図は決勝R市原戦前半14分のシーン。
状況としては原田のゴールキックがミドルサードの競り合いで相手にこぼる。相手のCFを狙ったロングボールを増田がカットし、関野にパス。関野が保持しながらポジションを落とし、佐藤にパスを出した。
図にはいないがパウロ、RWG藤原が高い位置を取り、相手の最終ラインをけん制している。
関野からパスを受けた佐藤に対し相手のCFとRSMがコースを切りながらプレッシャーをかける。そこに平岡がポジションを落とす。佐藤は平岡に対してロブパス。平岡は相手CBを背負いながら表原に落とした。前向きでボールを受けた表原はそのままドリブルでアタッキングサードまで侵入した。
佐藤に入った段階で5対4の数的優位があった。仮に佐藤がボールを出せなければ関野、カルロス、原田に戻してビルドアップをやり直すこともできた。
佐藤のパス精度、平岡のポジション移動とレイオフからフリーの表原が前向きでボールを受け、相手のプレスを搔い潜ったシーンだった。

右寄りに攻める時はRWGのスピード、個の優位を利用することが多い。
やや左寄りに相手選手を引き付け、岡庭から藤原へのロングボール供給、RSB野田からの藤原への裏を狙ったパスが何度か見られた。
これらは藤原のオフザボールのスピードという個人の武器を最大限に活かしている。相手守備陣が左寄りになっていた時に顕著だったが、相手SBもしくはCB、WBは藤原との1対1を迫られる。他の味方は左に引っ張られてフォローできないからだ。藤原は1対1のオフザボールに対して多くの場合ボールを収め、アタッキングサードまで持ち運んだ。

左寄りは数的優位、右寄りは個の優位を活かしながらスペースを作り出す傾向があるが、それぞれが逆寄りでも同じことができていた。
市原戦の後半ではLWGだったパウロがRWGとなり、アイソレーションの状況からカットインドリブラーとしてゴールに迫るシーンもあった。
オーバーロードで数的優位、アイソレーションで個の優位を活かしスペースを作りながら相手を攻略していく。

2.ボール非保持(守備時)


決勝R市原戦スタメン

ボール非保持(守備時)は4-2-3-1
ボール保持時にRIHがDMの位置まで落ち、SBは外側に張る。
高い位置から連動してプレスに行き、可能な限りアタッキングサードあるいはミドルサードでの奪取を狙う。
基本的にはゾーンで守るが状況でマンツーの要素も入れる。

都農戦

この図は都農戦の1シーンになる。
都農は3-4-2-1で攻めている。何も調整しなければ、都農のCF&SH2名対栃木シティのCB2名という数的不利を強いられることとなる。
そこでやや下がり目のポジションを取りがちなRSHを岡庭が担当し、残り2名をカルロス、増田が担当した。
それにより宇都木は周りの状況を見ながらポジション修正を繰り返し、相手CBにプレッシングに行く際は2列目に並んで4-1-4-1を形成。相手DMをケアしながら中央のスペースを埋めた。
都農はボール保持時の精度が高く、ネガティブトランディジョンの段階から守備強度を高め、相手のスペースを封鎖しなければならなかった。よって、RIHとして出場した宇都木はネガティブトランディジョンでブロックに穴を空けない右サイド寄りでプレーした。
その結果都農戦の1点目は宇都木の相手DMからのボール奪取が起点となった。
攻撃偏重に見られがちな栃木シティだが対戦相手に応じて守備を調整していることが伺えた。

3.ネガティブトラディション(攻撃⇒守備)

ボール保持時にポジションは流動するが距離感が崩れないため、組織的にプレスを仕掛けることができる。
プレスで奪いきることのリスクが高ければブロックを組み体制を立て直す。

4.ポジティブトラディション(守備⇒攻撃)

3トップが高い位置を取っている事が多く、ミドルサードより前で奪いきればショートカウンターから決定機を狙う。
ディフェンシブサードで奪った場合には攻め急がず、繋ぎながらビルドアップしていくシーンが多い。

以上、本当に簡単ではあるが2023年の栃木シティについてまとめてみた。
個人的に栃木シティらしさが出ていた2試合を観て書いたが、書き足りない部分は多い。
つくば戦での戦い方や福山戦の反省要素も入れたかったが時間と体力がありませんでしたごめんなさい。
何となく去年はこんな感じだったな、と皆様の記憶を呼び起こす一助になれたら幸いです。

いよいよ3月10日にはアウェイ、平和堂HATOスタジアムにて昨シーズン3位のレイラック滋賀戦を迎える。
そこで栃木シティがどんなサッカーを魅せてくれるのか、キックオフが今から待ちきれない。

駄文乱文をここまでお読みいただきありがとうございました。

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