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けものフレンズ3でオイナリサマから6年越しの稲荷寿司をもらった話をしたい

※この記事はけものフレンズ3メインストーリーシーズン2:3章カコ編3話のネタバレを含みます(最新章の4章は含みません)。







シーズン2メインストーリー3章、恒例となったカコ編で今回はネクソン版けものフレンズのメインストーリーをインタビューとアーカイブ形式の回想で振り返るという方式をとっていた。

過去の時系列となるシーンでは多少セリフの再構成はあるものの、概ね原文通りで当時のプレイヤーと有志アーカイブで読了した者達は懐かしさを覚えたと思う。

その中で明確に過去の時系列アーカイブでありながら、その当時に存在しなかった(描かれなかった)会話がいくつか存在する。

1つは正式にセーバルが研究所入りした時の「セーバルとカコの会話」そしてもう1つは主題となるカコ編3話の「園長とオイナリサマの会話」だ。

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「園長さん」とはネクソン版メインストーリー完結後、フレンズ達からプレイヤーがそう呼ばれるようになったという愛称だ。そしてネクソン版時点ではその時系列より後の裏ストーリーでもこの会話は存在せず、コンセプトデザイン展の様な他メディアでも今の今まで猫写される事は無かった。

つまり、アーカイブでありながら3で初めて明かされた会話になる。

オイナリサマ流どこでも稲荷寿司の強烈さは3でも遺憾無く発揮されているため、一見するといつもの調子に見えるが、これこそ6年越しに「園長さん」を通してプレイヤーへ向けたオイナリサマからの施しではないか?というのが主題だ。

ここだけ切り取ると主張として意味不明なので、先にこの会話が意図すると思われる所から話すと、まずカコ編3話アーカイブでこの会話より前に「神社の小さなキツネ」に関する描写が挟まれる。

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これはネクソン版6章終盤でお守りを通して「園長さん」が思い出した記憶の回想であり、この回想の後ミライさんへ「昔、自身が小さなキツネを世話した事がある」と語る。

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けものフレンズストーリー回想 第6章

※「トワ」は有志アーカイブ動画内のプレイヤーネームです。
本記事のネクソン版スクリーンショットは全て有志アーカイブ動画(画像下リンク)からの引用です、当時アーカイブ作業を行った有志の方々へ感謝。

この園長さんと小さなキツネの過去は当時からずっと回収されなかった謎で、この小さなキツネは暫定的な一説の中には「過去のオイナリサマではないか?」とされていたが、今回のカコ編でこのたった二文字をリフレインさせた事によって、6年越しに関連が確定したのだ。

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ただしあくまで「関連が確定」であり、この事から「小さなキツネとはオイナリサマだった」とは確定せず、恐らくシナリオの根幹側でもそこは敢えてぼかしているのだと思う。もしかしたら全く関係の無い子狐だったのかもしれない。

それでも、少なくとも、オイナリサマは「園長さんが昔にした親切の事を知っていますよ」という事にはなる。

だからこそ、園長さんへの「お腹が空きませんか?」「美味しいものを食べられるって、とても幸せなことですよね」という発言は、五穀豊穣の神様としての発言ではなく、オイナリサマ本人の記憶と感情からくる心からの感謝の言葉という事にもなる。

事実関係でいえば昔から「オイナリサマに関係する記憶ではないか」という話が、やっぱりそうでした(しかも本人かは不明)という事なのだが、その答え合わせ以上に「こん」の一言へ込められたその輝きは、きっと意味を持っているのだと思う。


※以上が主題で、以降はネクソン版メインストーリーの引用も含めた「オイナリサマと小さなキツネは同一かも?」という現状不確定な部分への自分の考えになります。

以降ネクソン版メインストーリーの一部ネタバレを含みます。

カコ編3話で今回の話を初めて知った人向けとして、この回は他アーカイブと異なりネクソン版の「園長のお守り」「昔の記憶(小さなキツネの話)」「けもハーモニー」の3点に関する話に絞って描写されていく。

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お守りの話
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園長さんが話した昔の記憶(主題参照)と同調するサーバル
けもハーモニー

このアーカイブでは園長さんが誰か(オイナリサマではない)に持たされたお守りに導かれてジャパリパークへ来たこと、お守りをトリガーにして昔の記憶が時折蘇ること、そしてけもハーモニーは3では設定の説明感が強いが、これは過去(ネクソン版の前日譚)にパークセントラルで発生したけもハーモニーと、上記の「昔の記憶」が繋がっている可能性を示唆している。

順を追って過去発生したけもハーモニーから話そう。話は今のサーバルがアニマルガールとなる前の過去まで遡り、ネクソン版で女王事件の始まりとなるセントラル襲撃の前夜、セントラル内の「けもの病院」に入院していたサーバルとフェネックはオイナリサマの呼び声を聞く。

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オイナリサマの呼び声はサーバルとフェネック以外のけもの達にも連鎖的に呼応し、けもハーモニーと呼ばれる現象が発生した当時を現在から見た3のシーサー二人は以下のように解説する。

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「けもハーモニー」は大勢のけもの達が一様に同じ願いを強く抱いた時、感情の共鳴によって増幅された願いが実際に発現する「奇跡」のようなものだと思ってもらえれば良い。

このけもハーモニーで重要なのはオイナリサマの呼び声で始まったこと、そしてサーバルは当時前足骨折という行動不能の重傷だったにも関わらず、ハーモニーの先頭として最もオイナリサマへ呼応する理由があったけものということだ。

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何故サーバルがハーモニーの先頭へ立ったのか?その理由としてサーバルは入院中とあるヒト(現在でも不明)に優しい言葉をかけてもらいながら治療を施してもらった思い出を語る。そして襲撃前夜、ヒトから優しくしてもらった恩義を糧に「自身もケガを治して役に立ちたい」という強い想いでオイナリサマの声へ呼応する。

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けものフレンズストーリー回想 第7章

奇しくも、3でとあるフレンズが生まれた時と同じ感情で。

結果、サーバルを軸にセントラル中のけもの達が同じ想いで共鳴し「けもハーモニー」が発生。けもの達のケガがみるみる内に治り、セントラルからの脱出に成功した当時をフェネックとギンギツネは「奇跡」と形容した。

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けものフレンズストーリー回想 第7章

なお、3のアーカイブ内で「奇跡」という単語は一部伏せ字となっている。3の9章で描かれたもう一つの「けもハーモニー」をカレンダが「奇跡ではない」と形容したのに従い「必然」だったという意図なのかもしれない。

この時、サーバルが話した当時の内容で「ヒトに優しくしてもらった思い出」にオイナリサマの警邏であるギンギツネが強く反応し、けもハーモニー発生前後をネクソン版7章で根掘り葉掘り聞かれる事になる。

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けものフレンズストーリー回想 第7章

ギンギツネは「オイナリサマから伺った事と自分の推測混じり」と前置きしつつ、セントラル襲撃時にオイナリサマへの呼応と感情へ最も近かったサーバルは、後にセーバルが産まれる元となった「特別な輝き」をハーモニー発生時に得たと語る。そのキッカケが「ヒトに助けられた記憶」という共通の記憶を媒介にオイナリサマから受け継いだ可能性があると推測したからだ

お守りを通じてサーバルが当時の出来事を思い出して語った後、オイナリサマから特別な輝きを受け継いだ仮説をフェネックは「サーバルは感受性が高いからかもしれない」と、それに続く形でギンギツネは「思い出と想いがリンクした」と推測する。

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けものフレンズストーリー回想 第7章

すなわち「サーバルが持つ病院でとあるヒトに優しくされた思い出」と「オイナリサマが持つヒトに優しくしてもらった思い出」とその想いがリンク、言い換えるならばシンクロしたとも考えられる。

余談:ネクソン版では、複数人でフレンズのスキル(3で言うミラクル)を繫げて連携するシステムを「けもリンク」と呼称していた。

ではオイナリサマの「ヒトに優しくしてもらった思い出」とは?そうなると主題で語った「小さなキツネと園長の思い出」にオイナリサマが関係している事と繋がってくる。

「オイナリサマ」と「小さなキツネ」が同一かは意図してぼかされているが、他人事として観測した記憶と仮定した場合だと、サーバルの実体験に基づいた感情とリンクするのは考えづらく「オイナリサマが小さなキツネだった頃、昔の園長に助けられた記憶」とリンクしたと考える方が自然だろう。

また3のアーカイブ内でも描写されているが、ネクソン版6章で「小さなキツネの話」の回想後、その話を聞いてサーバルは『懐かしい思いがして涙が止まらない』という反応を示す。

けものフレンズストーリー回想 第6章
この時、ギンギツネは「小さなキツネの話」に対するサーバルの反応で関連を確信する。

これもヒトに優しくしてもらったという共感できる記憶を持つ以上に、けもハーモニー発生当時にオイナリサマと思い出がリンクした際「特別」と同時に無意識下で記憶の共有(星の記憶)を受け継いだ結果、オイナリサマの過去を自己の思い出のように知覚したことで涙腺へ触れたのではないかと考えられる。

これは3のアライ隊長日誌で輝きのサーバルが、星の記憶による共有で会ったことのないミライさんの姿まで認識できるほど、元のサーバルの記憶を自身の記憶のように捉えた(この時も涙を流している)現象とも共通する。

さらに「小さなキツネとオイナリサマが同一」と仮定するとプロフィール文や本人の行動原理に辻褄が合う点がある。

下はネクソン版プロフィール文で、後発のぱびりおんや3では後半部分がギンギツネに言及するものへ変更されたが「商売繁盛、福徳開運、食べ物に困らず〜」の点はキャラクターのコアとして同一になっている。

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重要なのは「食べ物に困らず」の一文であり、稲荷信仰に産業全般の御利益が付くより前の時代でコアとなる「五穀豊穣」つまり『毎年豊かに作物が実り、我らが飢えませんように』という願いだ。

稲荷信仰を基にしたキャラクターなら至極当然の一文だが「小さなキツネ」として飢えを経験した上での発言なら話は別だ。

もし、もしそうならば、所構わず稲荷寿司を差し出すどこでも稲荷のシュールな姿も、オイナリサマという役割の責務以上に「自分と同じような飢えを経験してほしくない」という自身の背景に基づいた行動原理が存在するなら辻褄が合う…辻褄が合う以上に、その利他主義の行動は、とても重い意味合いを持つ事になる。

最後の話に移ると同時に、最初の主題へ話を回帰させよう。シーズン2の3章カコ編3話。いつの時間とも分からない中、オイナリサマは『園長さん』へ「お腹が空きませんか?」と問いかける。だがオイナリサマの本題はそれではない、続く共感を尋ねるこの言葉だ。

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美味しいものものを食べられる幸せ、部分的には『食べる物に困らないという幸せ』とも捉えられる。「それはとても幸せなことですよね」と園長さんへ問いかける真意は、現代で普遍的になった「飢えに苛まれず、自由に美味しい物を楽しめる」という当たり前の事がとても幸せであること、そしてヒトの助けが必要なほど飢えた境遇を過去の園長に助けられた当時と同じ思いであることと、きっとそれに対する園長への感謝の言葉なのだろう

だから、私は、オイナリサマと「小さなキツネ」が同一かは不確定とされていても、胸を張ってこの言葉を贈りたいと思う。

また会えて、よかったな。

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