どれほどの光と共にあるか 第4話
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3030年4月4日
わたしはノートを買ってきた。いま伊勢さんちでこれを書いています。
3030年だとしたら何を書いているんだろうと思って、日付を書いてみたけど、何を書いているのかはわかりませんでした。たぶん私の先祖か子孫が教えてくれると思います。伊勢さんはとても優しい。家についたらいきなりエビせんべいをくれた。わたしはイカの姿焼きのほうが好きなんだけど、もらいました。あ、伊勢さんだから、伊勢海老つながりでエビせんべいくれたのかな。
これはノーベル賞級の発見だ! そんなわけないか。でも伊勢さんのお母さんの名前はツルコさんだったそうです。だからプロダクションの名前がイセツルって言うんだって。
伊勢さんには娘さんがいて、いまは一人暮らしをしており、夏になったら一週間くらい帰ってくるらしい。わたしのおばあちゃんと伊勢ツルコ(漢字は聞いてない)さんはだいたい同じ世代だからまた話をしてみたいな。
疲れたから今日はこの辺にします。
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ノートを閉じると、どこかからいい匂いが漂ってくる。わたしは畳の上に腹ばいになって日記を書いていたのだが、そろそろ夕飯かな?とおもったので、起きて、トイレに行くことにした。
あのあと黒本さんと連絡先を交換して、ちゃんと毎日連絡をするようにと言われた。なんだかきちんと保護されている。
演技の練習も楽しみだ。
とか考えていると、トイレに着いた。ドアを開けると目の前を何かが飛んだ。ぶーんと飛んでトイレの蓋に止まったのは、三ツ星のてんとう虫だった。
おばあちゃんの声が聞こえる。
「コノちゃん、わたしだよ」
おばあちゃん、てんとう虫になっちゃったの?
(つづく)
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