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ナゾガク2022 振り返り

 3年ぶりのナゾガクお疲れ様でした。J's C Laboの田中太郎です。
 今回は会場の一角で「Black or White」という公演というかボードゲームを開催させてもらってました。ボードのサイズと所要時間の違いで大中小の3つのモードを用意して回していました。ご参加いただいた方、ありがとうございました。

 さて、挨拶はほどほどに、今回のナゾガク2022についてよかったことあまりよくなかったこと、記憶が新しいうちに振り返ってこうして記事に残しておこうと思います。1人で反省会するのもnoteに書くのも一緒だからね。
 今回は自分のコンテンツに対してとナゾガク全体に対して、2つのカテゴリでやっていきます。長いよ。

「Black or White」について

よかった点

・わりと楽しんでもらえた。

 内容を趣味に振った結果、ついてこれる人いるのかと思うくらいハードなゲームになったが好意的に楽しんでくれている参加者が多かった。
(ついでに、都内には企業の謎解き施設もたくさんある中でわざわざナゾガクまできてくださるようなコアな謎解き参加者の方々はプレイ中、本心はどうなのか私にはわかりませんが、できるだけ楽しもう、面白がろうという見た目ポジティブな様子で参加していただける方が大変多く、助かっております)

・中、小盤面を用意していたことが功を奏した。

 大盤面モードがこの公演の本来の姿で、それがもっともやりたいことではあったが、同時に謎解きフェス向けの公演出ないこともわかっていたため、サイズを小さくして短時間で遊べる中、小モードを作った。結果として、後述もするが、ナゾガク全体として参加者があふれるような状況の中、隙間の時間にさくっと遊べる小モードが大変役に立った。

・設営日のデバッグ公演が役に立った。

 前日に何回か練習公演として本番と同じ環境で公演を回した結果、安定運営のために欠けていた要素が見つかったり、意外と今回のナゾガクでは空きが出き次第で随時開始の短時間公演である小盤面が重宝されそうだぞということがわかったり、当日どう動けばよりハマるかが見えてきて助かった。

・日数的な余裕を持って公演が完成していた。

 設営日にデバッグ公演を行うには、やはり会場に荷物を送るまでにキットまですべて仕上げておき、当日はセッティングをしてすぐにでも公演が開始できる状態にしておくことが重要。
 過去やったが、設営日に現場でキットの最終仕上げをしているようでは十分なデバッグ公演は無理。余裕大事。現場入りすると何かしら忘れ物とか不慮の事故で時間取られたりする。余裕大事。大事なことなので2回。

・ポスターを大きく作っておいたおかげか目につきやすかった。

 ちょうど参加者が屋上の待機列に上がるとき通る場所にポスターを置いていたのでほぼ全員目にすることとなった。
 イベントに出るタイプのオタクならコミケとかで使うようなポスタースタンドは1つ持っておくと何かと便利。

・過去に作った持ち帰り謎を持ち込んでおいた。

 荷物を送るとき、箱に隙間があったので一緒に入れた過去の持ち帰り謎のおかげで今回のナゾガクは黒字で終わった。
 というか制作にかかった費用を回収しきった後の持ち帰り謎は収益という意味で最強。

よくなかった点

・会場内覧に一度も行けなかった。

 時間や距離、他の予定の都合上仕方がない部分もあり。自宅から2時間以上離れた場所で20時から内覧ってのはやっぱきつい。結果、場所に一切依存しないものが作れたのでそこまで悪くはない。

・コンセントが近くにないことはわかっていたが、十分な長さの延長コードを用意できていなかった。

 内覧に行っていない時点で当日実測して買いに行くことになるのは予定に含めておくべきだった。
 ACプラグを1つ持っていくのを忘れていたこともあり、ついでに秋葉原の秋月電子にも行けたのでまあよし。ちょうど買いに出たのがお昼時だったので昼食休憩も確保できた。初めてのビリヤニ、おいしかったけど想像してたのとはちょっと違った。あんなもん?

・ファミレス式予約受付の名簿を作ったのはいいが、名前を書く欄が不足してすべて埋まってしまった。

 予想以上に興味を持ってもらえたとも捉えられるので嬉しいことではあったが、そうなった時に受け止める準備が不足していた。
 名簿をラミネートしておいたため呼び終わった名前を消毒用アルコールで消すことで早めにリカバリできたことはよかった。

・公演を始める前に、都度その回の公演の終了時刻予想を部屋の前に書くべきだった。

 随時開始公演のファミレス式受付は、ナゾガク参加者にとっては名前を書いても次いつ呼ばれるかわからないため、公演に参加するためには運に任せるか部屋の前に張り付いて待ち続けるかするしかない。実際しばらく待っていてくださった方も多数おり、待機列で狭い廊下を塞ぐことにもつながってしまった。
 だが、公演を回している側にとっては、随時開始の公演のため事前にスケジュールを公表することはできないが、公演が始まるタイミングに限り、今からやる公演がいつごろ終わるかの見通しはつく。これをファミレス式名簿の横に書いておきさえすれば、少なくともいつチャンスが来るかもわからないまま人を部屋の前で待たせることはなかったので、次回以降改善する。

・とにかく人が絶えずいたので公演を回し続けることを優先しすぎた。

 せめて給水くらい意識してしよう。喉ガラガラになった。朝買ったおにぎりは翌日の朝ごはんになった。消費期限は切れてたけどお腹壊さなかったのでよし。

・想定よりも自分で声を出す場面が多い運用になってた。

 手番が回った後の「30秒経過」とかは音声用意して自動で流れるようにしておけばよかったかも。ヒプノシスマイクみたいなやつ(アニメ見るとわかる通り、スイッチ入れると無からスピーカーも出現する設営難易度が超低いやべーマイク)ほしい。

・料金設定をミスした。

 ミスというか、情報を出した時点から後で制作にかかった費用が少し膨らんでしまった。持ち帰り謎を売ってなければ普通に赤字。(もっとも、1日開催の謎解きフェスで行う新作公演のみで黒字を出せるか?と考えると微妙。フェスの公演なのでそこまで利益最優先じゃないし。でも宿代くらいは稼ぎたい。後述)

・やっぱり大盤面もやりたかった。

 フェス向きではないとはいえ、やっぱり作った以上人が大盤面モードに挑戦しているところが見たいんですよね……。
 ちょっと考えます。小さめの会議室とか借りればできそうですし。1人で大盤面のプレイ風景を享受するのも勿体無いので録画してお裾分けとかもしたい……。カメラとかの機材、なに使えば適切なのか全然知らないんだよな……。

以上。

 謎解き公演を作ったことがある方にはなんとなく伝わると思うのですが、たとえサイズダウンだとしてもバージョン違いを作るにはそれ専用にキットを別で作っておく必要がある場合が多く、純粋に手間です。キット数が増えるとその分お金も追加でかかりますし。でも、謎解きフェスという特殊な環境下においては(長時間ゲームを作ってしまった場合)プレイにかかる時間で選べるバージョン違いを用意しておくことはある種の正解な気がしました。
 今回の「Black or White」において、本来意図した面白さが満足に発揮されるのは中盤面以降なのですが(小盤面は小盤面で制作終盤にある変更をしたことで納得できるレベルにはできました)、もし小・中盤面を用意せず本番に突撃していたらぜんぜん参加希望者がいないとか、ついていけずに時間の限られたフェスで参加してしまったことを後悔するプレイヤーが多数出るとかの大惨事が起きていたでしょう(絶対なるでしょ)。もう心が完全に離れてしまった参加者を前に公演を続行しなければならない状況はね……。無料ならもう中断しましょうかとか聞きやすいですがお金取っちゃってますし、返金は正直そんな簡単に切っていいカードじゃないですし、何より時間は戻りませんし……。
 謎フェスにおける事前予約なしの随時開始短時間公演はたぶん今後も一定の需要はありそうだというところはなんとなくわかりました。

ナゾガク全体について

よかった点

・3年ぶりにナゾガクができた。

 一般の参加者にとってはいいことばかりではないのかもしれませんが、ナゾガクは他の謎解きフェスとは性質がまったく異なるイベントだと私は認識しています。
 他の謎解きフェスはどちらかというともう一定水準を超えて安定した運営ができる団体たちが集まって、その日その場所でたくさんの謎解きを遊べる場所を作る、というような性質(そのためイベントによってはある程度各団体に対して公演の所要時間や参加人数についてレギュレーションが設けられる場合もあります)なのに対し、ナゾガクは一貫して同人誌即売会的な側面を強く持ち続けています。
 どんなサークルでも希望すればスペースを獲得できるチャンスがあり、何を出すかも最低限謎解きっぽければほぼ自由。現実世界で謎解きを作って公演をやってみたいと願う趣味の初心者がその機会を得ることが可能な貴重なイベントです。個人で会場抑えるのに比べると集客の面とかでもハードル低いです。なんかふらっときた人が参加して行ってくれる可能性がある。
 わかりやすくいうとコミケみたいなものです。いまこの世界においてナゾガクにはそういう価値があります。(むしろこの方向性のフェスがナゾガクしかないのでナゾガクがないと変なものを出しにくいまであります)(東京にナゾガクしかないのもちょっとどうかとは思うけどたぶんいい会場がなかなかないのよね。以前広い展示会場をパーテーションで区切って部屋作る試算をざっくりしてみたらパーテーションレンタル代が高すぎて入場料めちゃくちゃ取らないと難しそうでした。音もよく漏れるし)

 なのでナゾガクに出ている公演に対して「ほんとにそのクオリティでお金取るの?」とか「あまりにも公演の運営下手すぎない?」とかいうのは、コミケの島中で売ってる同人初心者の出した正直デッサンが崩れるとかそういうレベルにすら達していないような拙い、印刷のこともよくわかってなくてちょっと掠れちゃってる感じの手描きコピー本をプロの商業漫画と比べてしまうくらい無粋な行為であると、私はそう思っています。巧拙ではなくその本を出さなければいられなかったほどの熱量と滲み出る性癖をこそ愛そう
(暴言じゃないよ)正直ベテランだろうが何年経っても絵が上手くならない感じのサークルさんとかいるでしょ。ごくたまにイベントがあるときだけ描くような感じの人だとそんな上達せんのよ(上達する義務もないし)。(暴言じゃないよ)

 とはいえ、ですよ。

あまりよくなかった点

・来場者数に対して公演に参加可能な人数が圧倒的にあってない

 確かに今回は会場が狭かったと思います。それぞれの部屋にそんなに人を入れるのは無理でしょう! 今回の問題の大部分は会場が広ければ起きなかったんじゃないでしょうか。周遊とかも作れるし。
 コミケでいう大手シャッター前サークルが在庫を置く場所がないみたいな都合で新刊を300部くらいしか用意できなかったし列形成する場所もなかったようなものです。そりゃ不満もたくさん出ますって。

 時間があらかじめ決まっているタイプの公演だけでナゾガク全体での20分ごとの公演参加可能人数をざっと計算してみたところ、平均33人くらいでした。各公演平均50分サイクルくらいで回っているとすると、同時に公演に参加できる人数は全体で80人くらいでしょうか(本当にざっくり計算なのでちゃんと計算すると全然違うかも)。そこに随時開始公演の参加可能人数が乗るイメージ。

 今回は前日設営時におけるデバッグ公演時間帯CF出資者のアーリー入場時間帯一般チケットを持つ参加者が入った後の時間帯、3つすべてにおいて参加できる人数と参加したい人数のミスマッチが起きていた感がありました。

 いろいろ書く手前、一応ナゾガク実行委員会へのフォローを入れておきますと、ナゾガクの場合、実行委員会側でこのミスマッチを完全に防ぐことは不可能だと思います。各団体がどんなものを作ってくるかわからない段階でCFやって入場チケットを売り始めてますので、実行委員会の方々はこのマッチングをほとんど予測でやるしかない(ナゾガクの参加団体全部に事前にそういう情報全部出してねと言ったところで情報揃うわけがないでしょ(暴言じゃないよ))こういう場面で絶対に読みを外さない自信がない人はあんまり石を投げない方がいいぞ

・前日デバッグ時間帯、公演に参加可能な人間が全然足りておらず、満足にデバッグ公演を回せなかった。

 私はわりとデバッグ時間帯の後半でしっかり複数回回せたのですが、人が集まらないため実施できずに潰れたデバッグ公演を複数見ました。
 ナゾガクは回を重ねるごとに、「前日デバッグで体験した方々のクチコミツイートが翌日以降の各団体の盛況具合に直結するから前日デバッグをやるのはめちゃくちゃ大事!(あわよくばバリバリみんなが参加したくなるような感想書いてほしい!)」ということが共通認識となってきており、どこの団体もデバッグ公演をやりたい気持ちは強くあるでしょう。
 もちろんそういうの抜きにしても現地で本番環境でデバッグ公演ができる機会はとっても貴重です。

 なのですが、前日デバッグに参加できるのはクラウドファンディングの高額支援者(今回は26名?)と、自分たちも仕込みをおこなっている最中の出展団体のメンバー、およびナゾガク実行委員会のスタッフのみです。
 以前は出展団体は当日ほとんど遊べないから前日のうちに相互にプレイし合おうぜ的な感じだったと記憶しているのですが、なんかデバッグの重要度が上がったからか、あとCFの方々が16時に来るからそこで一斉にデバッグを始めようとなってたからか、どこも一斉にデバッグ参加者を募集し始め、結果として参加者数が不足してあちこちで満足にデバッグ公演を行えない感じになってました。
 一斉にデバッグを行うと出展団体のメンバーは持ち場を離れられなくなっちゃうので、スタッフを交代できるほど人がいるかデバッグをやらないタイプの団体の人しか自由に動けず、ナゾガク実行委員会側のスタッフは忙しい人が多いようでなかなかデバッグに参加している余裕がなさそうで、とにかく参加者募集に応じられる人が全然いない状態です。
 で、全然人が集まらないのでデバッグ回諦めましたという団体が出てきてその人たちがまだ募集中のところへ流れた頃にはもう30分くらい時間が経っているから更に後に響く感じ。

 ここだけはマジで改善されると助かります。団体同士で相互に遊べる機会も欲しいのですが、安定してデバッグ公演参加者を確保して十分にデバッグをやったことによる恩恵を得られることはでかいです。
 しかしですね、自分のデバッグ放り投げて(1人団体がこれやると部屋の番をする人間がいなくなるので防犯的な意味で危険)行ったシングルズさんの「ネームイーターからの脱出4」が本当によかったので、こう、デバッグ時間帯の前半後半とかで遊びに行く時間とデバッグやる時間をわけるぞ!みたいなマインドでいるといいかもしれません。やっぱり遊びたいのよ。

・当日のアーリー入場時間帯、人が来ない。

 わかります。せっかくお金出したんですから誰よりも早く人気団体に並びに行きたい気持ちは。
 なので、せめてアーリー入場時間帯の初回公演のみは事前予約100%やってもいいとかになってるとみんな幸せだったんじゃないかなぁと思ったり。会場内を急いでお目当てのところに行ったのにもう埋まってて他の場所に行った頃にはそこももう埋まっててみたいな悲劇は回避できそう。
 そこだけは実行委員会が取りまとめてチケット番号が若い人ほど優先的に好きなところ選べるような感じだとなんかいい感じじゃないですかね……?
 人が来ないのが先にわかってたら印刷するのをすっかり忘れていた前説原稿を印刷しにコンビニまで走ることもできたので……。

・荷物の搬出が大変。

 毎度のことですが、会場から荷物を直接搬出することができず、もし宅配で送りたい場合各自で最寄りのコンビニまで荷物を持っていかなければならないのが大変です。使い終わった紙モノとかも現地で捨てることができないので搬入時と搬出時で荷物の重さがほぼ変わらないのも大変な要因の1つ。私は以前みずほ台でやらかしました。参加者が使った紙は虚空に消えていく訳ではないんですよ……。
 今回は荷物がそこまで重くなく、コンビニまで歩いて5分程度だったのでまだよかった方(みずほ台はマジで地獄)。
 同人誌即売会だとわりと規模小さめのとこでも事前にお願いしてけば着払い限定ですがヤマトさんが時間決めて集荷に来てくれます。今後ナゾガクでもそういうのが導入されると嬉しい。夜遅いし会場ゴチャゴチャしてるから難しそうだけど。みずほ台でやるときは心の底からコンビニまで荷物抱えて歩きたくない。荷物増えるけど台車持ち込むのも視野に入れるレベル。

とまあこんな感じ。
 前日デバッグにデバッグ人員が足りないのはなんらか対策が入ると助かります(ここに書いたって実行委員会の人がこれを読まない限り伝わらないんだけどね)。

 あと、個人的に良くなかったこと。10/22は運営で、10/29はサークルで同人誌即売会に出ていて、ナゾガク含めると3週連続イベントとなりました。めっちゃくちゃ疲れました。ナゾガク終わってようやく一段落。

ついでに、とくにいいも悪いもなく、もう一点。

・謎解きフェスの新作公演型コンテンツを黒字で終えるの、はちゃめちゃに難しくない?

 まず、当然場所を借りてるので各団体はナゾガクへの参加費として部屋の大きさに応じた料金が発生します。
 会場まで来なければならないのでスタッフの人数分交通費がかかります。なんなら宿代も必要です。(今回ちょうど全国旅行支援のクーポンが使えて助かりました)
 公演の中身を作るのにそもそもアイテム代や印刷代でお金かかります。
 椅子とかレンタルするとお金かかります。
 みたいな感じで謎解きフェスに新作を作ってきて黒字を出すのって実はだいぶ難しいのではと改めて実感しました(でも宿を会場近くに取ることの圧倒的な快適さを覚えてしまったのでもう昔には戻れない……)。
 なんなら1日頑張って公演回して集めた参加費よりも、数年前に作ったのを小部数持ってきて売った持ち帰り謎の販売収益の方がはるかに高かったりしたので、公演型謎解き作るのコスパ悪すぎんか……?と(まあ今更な話なのでみんな知ってるだろうけど)。
 きっと仕事でもないのに趣味でこつこつ謎解き作ってナゾガクに出てるような人たちはみんなすごいよ。
 だから一周回って最初から採算度外視みたいな団体が多いのかも。

以上、ナゾガク2022振り返りでした。

 いろいろ書きましたが、久しぶりのナゾガクは相変わらず楽しかったです。
 全国旅行支援のクーポンで大量の(約3.4kg)肉を買って帰れたのもよかったです。

 来年はナゾガク10周年っていいますし、また何かで出たいっすね。

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