映画「ルックバック」を見て

漫画はすでに読んでいたのだけど、絶対に観るべき的な話を聞いたので観に行った。
なんか感想を書く事で気持ちを消費してしまうような気がしてやらない方がいいのかもしれないのだけど、ふわっと文を書いたのでまあそのまま書いてみることにした。

以下ネタバレあり。



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観ている最中、涙が止まらなかった。
映画で泣く時って、ちょっと感情を高めて泣きの方向に持って行ったりするのだけど、これはそうではない。
そんな事をしなくても悲しくてどうしようもなくて泣いてしまった。

これは映画を観る前から漫画で知っていたことだけど、主人公の友人は理不尽に殺される。実際に某事件で何人もの人が殺されてしまった。その理不尽に耐えられなそうになる。

フィクションで作品的に人が死ぬ時ってストーリーの起伏のためだったりするのでその死は作品的な役割を持っているのだけど、これはそうではない。ただの理不尽である。

実際に世界には理不尽が存在していて、それは絶望的である。
人間には理不尽からの救いが必要で、その役割を果たそうとしたりしているのがフィクションなのだと思う。

この作品は事件を背景に作られているのだけど、劇場ではその事を知らない人もいるようだった。知っている人と知らない人では作品の受け止め方が全然違うだろうと思う。

映画「沈まぬ太陽」を劇場で見た時、事故のシーンで涙している人がいたあの感覚を思い出した。この作品は日航機墜落事故をモデルとしている。自分は当時の事故の時は赤ちゃんだったのでそこの知識は何もなかったのでいち映画のシーンとして普通に観ていたのだけど、劇場の空間はそうではなかった。

今日の観客には子供もいて、観終わった後に親に「生まれ変わったの?」と言っていた。
そうかもしれないね。

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