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Mトーナメント1st ステージの回想



対戦相手のこと

6/14(金)に1stステージを戦ってきました。
 対局相手は、渋川 難波プロ・水巻 渉プロ・魚谷 侑未プロ
渋川さんはMリーガーで前年のMトーナメントチャンピオンですが、対戦ははじめてでした。
 魚谷さんは団体が同じということもありますが、数えきれないくらいトーナメント戦で対局したことがあるご縁がありました。そして不思議なことに私が勝ち上がるときは彼女も勝ち上がり、私が負ける時は揃って敗退のパターンばかりなのです。
 今回は直前にフェニックスとの契約満了というニュースがあり、彼女の意気込みの強さが増すことは間違いないと感じていたこともあり、できれば今回も共に勝ち上がりたいという気持ちが正直なところありました。
 そして水巻プロ。
私がプロ入りしたときには既に一線で活躍しており、20年以上前、私がプロとして初参加した麻雀マスターズというタイトル戦で、水巻さんは「前年度チャンピオン」の立場で、会場(今は無い東京八重洲の中信)で100人以上のプロを前にとても素晴らしいスピーチをしていました。私は「まだ若いのにこんなにも立派に素晴らしいスピーチをするひとがいるんだ!?」と彼の実績以上に感じ入ったものです。
 その後、時々公私共に接点がありましたが、彼の優しく誠実な人柄や競技への姿勢に対して尊敬の念を強めていくことになります。たとえば水巻プロのリーチ発声は、ツモ牌が手牌にくるやいなや明解に発せられます。「リーチ」とお手本のような発声をするだけでなく「全てが事前に準備され決められているんだな」とマナーや麻雀力双方で意識が高いことをより強く感じるものでした。
 ですから、このMトーナメント2024に招聘され、参加プロの全容がわかったとき、まだ組合せが発表されるまえから、水巻プロと対戦したいと強く願ったものです。実現したので私は運が良いなあ、と強く感謝しました。
 ということで私にとっては最初で最後になっても良いとおもえるくらい最高のメンバーと対戦することになったな、と感謝しながら当日を迎えることになりました。

試合前偶然会ったコンビニでも気さくに挨拶してくれました


対局時の心情

普段からあまり緊張するタイプではないので大丈夫かな、とあまり心配していませんでした。入場シーンでも、予定通りクリームパンポーズをすることもできましたし、笑顔でいることもできました。


クリームパンポーズ

尤も、いざ対局がはじまるとやはりそれなりの緊張感が押し寄せてきました。「あ、なるほど、震えるなあ」と。
その中で、東1局からリーチをすることができたのですが、事前に気持ちをつくれて迷わずしっかりと「リーチ」と発声できたことはとても良かったことです。

東 1局、追っかけリーチ


これで、ずいぶんと肩の力が抜けて、集中を深めていくことができました。
 Mスタジオは、想像していた通り、かつてない最高の舞台でした。
ライトアップされた卓に、間接照明などの設備・環境だけでなく、広い空間に最高の強敵しかいないというステージ。多くのスタッフが準備して、その瞬間瞬間を音声・カメラで演出してくれています。これは間違いなく現在の日本では唯一無二のものです。
 静まり返った卓上では牌の音と息遣いのみが浮き上がるように耳に入り、やがて、それさえも聞こえなくなる感覚。次第に私のなかでは各人の一打一打に完全に潜ることができて、その上で、本当に僅かに幻聴のように、どこからともなく聞こえてくる秒針の音と、カメラワークのときに聞こえるカメラの移動のモーター音だけしか感じなくなるほど集中できるという体験をさせてもらうことができました。

 対局は非常に苦しいもので、どうしても振り切れない相手、あと1枚の遠さに溺れそうになる感覚でしたが、不思議なことにそれさえもが有難く楽しささえ覚えるものでした。またここで浮足立たないという事実に、これまでの競技人生が決して無駄なものではなかったんだな、と初めて実感した瞬間だったかもしれません。
 オーラス、大接戦の中、親の水巻さんがリーチをしてきたときに、超危険牌の④をつかみましたが、それを長考することなく、音もなく河に置けたことが、この対局での私の一番の自分を褒めることのできる一打となりました。

オーラスで親のリーチに一発で掴んだ④

盟友の石立プロがポストしてくれたように、あの時は負けることを覚悟して④を切ったし、そのことは事前に準備していました。
 昨年負けたひとの映像を何回もみて、そのプロたちの無念や後悔を体に覚えこませ、そして自分はどうありたいか?を言い聞かせ続けました。
たまたま④は通り、勝ち上がることができましたが、放銃して敗退していたとしても、納得できる満足な1局だったと、その時も、今でも言えます。

 ゲームスタッツは、アガリ0回、放銃0回を示し、一回もアガらず通過するという珍しい対局をつくれたのは自分としても面白いと感じます。またそのような対局を共に作ることのできた対局相手に感謝しています。
ただ、そのことが良いとおもってるわけではなく、もっとアガりに向かいたいし、放銃が第1試合・第2試合ともにゼロというのは決して良い傾向とはおもえず、次の試合で委縮する要因とならないよう、もう一度覚悟を作り直しているところです。

AbemaTVの懐の深さ

インタビューでは、私の好きなサッカーチーム・ジェフユナイテッド市原・千葉について、リポーターの松本圭世さんに話を振ってもらい、かなりの時間を使わせてもらって思いを口にできたことが嬉しいことでした。
正直なところ、個別のチームの話をすることは許可が下りないのでは?と予想していたので意外でした。リストバンドをつけて対局させてくれたこともそうです。
 このことについては「新しい時代」を感じます。色々な価値観や立場の方々が視聴する公の場では、権利関係などのことも含め、様々な制約が生じることはある意味仕方がないことだと思います。すぐにクレームが出てくる時代ですからね。それでも、事なかれ主義にならず、プラスの方向に目を向け、どんどんトライしていく気風を私はAbemaTVに感じました。この意気と環境に応えるべくマージャン界もプレーヤーも発展していけばいいなあ、と願っています。

ジェフのリストバンドと共に

応援してくれるかたのチカラ

私は無名のプロですが、それでも多くのかたが今回声をかけてくれて応援してくれました。また別のエントリーで書きたいですが、自団体の鳳凰位戦ではそれがとても力になっています。
「みなさんの応援が力になっています」というのは色々なスポーツシーンでよくみかけるフレーズですが、放送対局にでるようになる前の私は、それらのセリフを「社交辞令」だろうと斜に構えて受け取っていました。
しかし今は、心から「応援は力になる」と自分の体で理解していますし、なんなら、そこにある1牌の絵柄が変わる、というオカルト的なレベルまで信じているほどです。
 今回の対局では、西川 淳を応援しようと集まってくれたひとたちが声援をおくってくれていました。私が最後の最後で勝てたのはこの方々の声援や日頃の支え、後押しがあったからに他なりません。

最後にその時の映像を載せます。
本当にありがたいことですし、幸せなことです。
次も精一杯がんばります。


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