当協会の紹介/ WHO 末梢カテーテルの血流感染予防ガイドラインの紹介

[1]日本血管内留置カテーテル研究協議会(Japanese IntraVascular Catheter Research and Education Society: J-IVCARES)のご紹介

本稿は、記念すべき1回目のMLとなります!

当協議会は、本邦における血管内留置カテーテル関連の基礎及び臨床研究を主体的に行い、それだけにとどまることなく多くの研究をサポートする研究のプラットフォームを提供する研究・教育団体を目指すべく2024年に設立されました。

現在のメンバーは30-40代の医師・看護師で構成されています。まだできたばかりの組織ですが、今後海外と連動したカテーテル関連の研究主導や、SNS、HP等を介しての論文などの情報提供を主に行っていく予定です。ゆくゆくはオンラインサロンを通して手技獲得のコツなど、皆様のお役に立てるような情報を提供できればよいと考えています。

詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.j-ivcares.com/cont1/main.html

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[2]文献の紹介
初回の論文は2024年にWHOから観光された末梢静脈カテーテルのガイドラインです。
Guidelines for the prevention of bloodstream infections and other infections associated with the use of intravascular catheters: part I: peripheral catheters

こちらでPDFが無料公開されています。
https://iris.who.int/handle/10665/376722
WHOの推奨ポイントについて簡単にまとめました。
今回はPAC: peripheral arterial catheter つまりAライン、PIVC: peripherally intravenous catheter 通常の末梢カテーテル、PICC: peripherally-inserted central catheter 「ピック」といわれるカテーテルについて取り上げられています。

●末梢血管カテーテル(PIVC,PICC, PAC)挿入をする術者は適切な感染予防策を学び習熟することを強く推奨する。
●手指消毒が重要。とくに”five moments” カテを入れるとき、保持するとき、接続するとき、外す時 アルコール消毒や石鹸と流水での十分な手洗い(その後使い捨てタオルで拭くまで)が必要である。
●無菌的な“no touch”テクニックがカテーテル感染を防ぐのに重要である。
●WHOはカテ挿入時はクロルヘキシジン入りか、そうでないものかで消毒を行うことを弱く推奨する。(クロルヘキシジンアレルギーの人もいる。新生児には皮膚炎を起こし適さない場合もある。効果を最大限にするために塗布して最低30秒待つ必要がある)
●大人にPIVCやPICCを挿入する際は単回使用の手袋を使用することを強く推奨する。
●新生児にPIVCやPICCを挿入する際は単回使用の手袋か手袋なしを弱く推奨する(新生児のカテ挿入は手技的に困難であるため)
●PICC/PAC挿入の際は消毒用キットを使用することを強く推奨する。
●PICC挿入時にはエコーガイド下で行うことを強く推奨する。
●PIVCを挿入する際は下肢より上肢を選ぶことを弱く推奨する。
●新生児にPICCを挿入する際は下肢より上肢を選ぶことを弱く推奨する。
●PIVCやPICCは密封ドレッシングを弱く推奨する。
●PIVC挿入は訓練された医療従事者が行うべきである。必ずしも専門のカテーテルチームによって行わなくても良い(弱い推奨)
●PIVC、PICC挿入時必ずしも局所麻酔は必要ではない(弱い推奨)
●カテーテルが入っているときは適切な消毒処置を受けることを強く推奨する。
●PIVCやPICCで薬剤投与する際は持続点滴よりも間歇的な投与の方が感染予防の観点から良いかもしれない。
●PIVCやPICCで薬剤投与したあと、清潔な液体(生理食塩水など)でflushすることを強く推奨する。
●PIVCやPICC使用後ヘパリン化生理食塩水でロックすることを弱く推奨する(それによりHITを誘発する可能性はある)
●PIVCやPICCでは閉鎖式の回路、開放式の回路を用いることを弱く推奨する。
●PIVCは定期的に、または臨床的に抜く必要があったときに交換することを弱く推奨する。
●PIVCの局所が炎症や感染を疑うときは抜く必要があることを強く推奨する。
●PIVCの局所が制御不能や緊急を要する状態のときは可及的速やかに抜くか入れ替える必要がある。
●特別の理由がないときはシングルルーメンのPICCを選択することを弱く推奨する。


文責)今井




日本血管内留置カテーテル研究協議会
(Japanese IntraVascular Catheter Research and Education Society: J-IVCARES)
113-0033
東京都文京区本郷3-26-1-702
Email: j.ivcares2024@gmail.com
Web: https://www.j-ivcares.com/cont1/main.html

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