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発禁に該当した箇所

少し前に読んだ「日本二千六百年史」を再度興味深く読み直しています。
歴史書がこんなに面白いものだとは考えもしなかったのですが、どうしてこれが発禁になったのか気になってしまいました。

昭和14年に、右翼、軍人から検察に提訴され、「日本二千六百年史」は発行停止処分になっています。
昭和15年に書籍の文中三十八カ所を削除して発行が許可になったのです。

著者の大川周明は大東亜戦争に際して「インド独立」を主張したので、A級戦犯に指定されました。同時にこの三十八カ所を削除したこの書籍が、占領軍によって再度発禁処分になりました。

発禁処分になった理由が知りたくて、「日本二千六百年史」の増補版を購入しました。
増補版は、削除した箇所を再現して傍線でマークしてくれているので非常に意味が探りやすくなっています。

後奈良天皇の如き、日常の供御(食事)さえも差し支えられ、臣民に宸筆を賜り、その礼物を以て生活を続けられたほどの御窮困であらせられたに拘らずその御日記の毎月、、、(以下略)

日本二千六百年史 p15

天皇陛下が困窮していて、臣民に生活を支えられていたと言う表現が許可されなかったわけでした。

二千六百年にわたっての通史を読むのは、読み飛ばしをしてしまう危険があるが、本書は削除部分を追補してあり、マークがしてあるので、非常に取り組みやすいです。

時間をかけて、自分なりの解釈をして楽しんでいこうと思います。
占領軍がこの本を発禁にしたのは、『日本人が自国の歴史に正当性を見つけ出し、自信を持ち、国力を取り戻すこと』を危惧したからと推測できますが、それ以上の意味が発見できそうな予感がしています。




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