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電車乗り過ごしてタクシー

タクシーの思い出

若い頃は終電まで遊ぶことが多かった。疲れ切っている私は電車の中で寝てしまう。昔から『神経を図太くするために』ということで電気は消さずにそのまま寝ている。訓練のお陰でどんな状況でも寝れる。

電車の中で立っていようが、座っていようがすぐ寝れる。世の中に不眠症と言う人がいることが信じられない。「起きていられるんだからラッキー、本が一冊読める。」くらいにしか考えられない。眠くないなら起きていればいいだけで、眠くなったら寝てしまう。真っ暗にして条件を整えて「さあ寝るぞ」と言う体制を整えるとかえって眠れないんじゃないのかな。

最終電車に乗ると途中駅で降りなければいけないのに、つい乗り過ごしてしまう。当時、具合の悪いことに終点には午後11:45に着く。タクシーの営業時間が午後11:30迄。そこから自宅まで約10kmある。以前一度だけ夜中に7km歩いたことがある。疲れ切った体でダラダラ歩いたら、3時間以上かかった。体が歩くことに拒否反応を示している。本能的に危険を察知している。

待っていてもタクシーはない、電車もない。歩くのも嫌だ。窮すれば通ずで良いアイデアを思いついた。帰りのタクシーを捕まえよう。

恥も外聞も危険も顧みず、都会方面に帰るタクシーの前に躍り出る。反射神経が鈍くて避けきれなかったタクシーが止まってくれる。運転手は怒りながら「どうした?」と聞いてくれる。日本でよかった。近くの国だと轢き殺される。事情を話すと同情してくれて、乗せてくれる。帰りはメーターを倒せないので、降りる際に「基本料金でいいよ。」とか「タダでいいよ」とか色々あって楽しかった。

対向車が来た時に「頭を下げて」と言われたのが面白かった。メーターを倒さずに客を乗せてはいけないとのことだ。



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