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『陰キャのバズりかた』制作与太話

マンガワンにて連載中の
タテスク(WEBトゥーン)マンガ

「陰キャのバズりかた」

の作画担当をしている
児玉直樹です。

物語も盛り上がってきたので
作画担当として色々考えていたことを
つらつら書きたいなと思ったのです!

マンガ「陰キャのバズりかた」を
読んでくれたそこのアナタ!!
アナタに読んでほしいのです!

マンガを読んでない人、興味ない人は
読まなくて結構です!!

というわけで、
より作品を楽しめる(?)
記事を不定期で書いていきます。

難航したキャラ作画とキャラタッチ

このマンガの原作は「秋本貴廣」先生。
人の感情を表現したドラマは
とても「魅せられ」ます。
幸せや不孝は単純な形じゃない、
というのが読めるマンガだと思います!!
秋本先生のマンガはコチラ↓

秋本先生と担当編集さんと出会ったのは
2022年の春。
すでに2人の方でネームも進み、
作画担当を探している最中にご縁で
担当することになりました。

キャラデザイン迷走…

最初はWEBトゥーンなので
シュッとした感じの今時のデザインで
いこうと色々描いてみましたが
なんかしっくりこない…

樋本というキャラを固めるのに
かなり時間かけました(笑)

この辺りは「ちょい足し」にある
作画資料や初期設定などを見てもらうと
迷ってる感覚が伝わるかと(笑)

かっこよく描いた時もありますが
打ち合わせの中で
「樋本はかっこ悪いだろう」
と何度も話し合ったので
カッコいいというソースを
排除しなければ!と
「藍野はカワイイという事を
   意識しないだろう」
という事で、かわいくないヒロインを
作らねば!と

考えれば考えるほど
見つからなくなったので
「キャラの表情やアウトラインは
 下書きしながら作ろう!」
となりました。


最初に仲良くなれた藍野ちゃん

秋本先生からもらったネームを元に
下書きを進める中でキャラ作画を
決めていく事にしました。

思いのほか、スムーズに
ドラマを書き進める事が出来
樋本も藍野ちゃんも
良い表情が出てきました。
最初に固まったのが藍野ちゃん。

かわいくないんですが
おれはカワイイ!!
と思える表情になってきたので
なっちゃった?ので
もさっとした髪型とメガネ
を目立たせてファッションも
いい塩梅にダサめに
仕上げました。
俺、藍野ちゃん好きなんです!

樋本は服装などのソースは
決まっていましたが、形自体は
藍野ちゃんの後に固まりましたね!

秋本先生の構想案もあったので
参考にしながらだったのですが
なかなかキャラクターが
決まりませんでした!
最初に仲良くなってくれたのが
藍野ちゃんでした!

(秋本先生の初期案もちょい足しで
   見れます!)

なかなか仲良くなれなかったのは…
つぐちゃんと桐生くんかなあ。
イイオトコ、イイオンナが難しかったのです。


タッチはミリペンツールと書き込み少な目


WEBトゥーン連載は初めてだったので
ペンタッチも試行錯誤しました。

スマホのデジタル画面で見るため
ペンは抑揚のないミリペンツールで

セルアニメのシンプルな
ハイライト、通常色、シャドウの三階調
複雑じゃない色味で。

背景は
背景倉庫さんやクリスタ素材、
自分の描き起こしを含め
いろんなのを混ぜ込んでます。

背景は感情心情やドラマの間なども
引き立てるので
何でもない背景空間の方が
光や影を多用してる所もあります。

連載初期はなかなか野暮ったいですが
お話が進むにつれ画面もなじんで
いると思います。

ただ携帯電話の作画はシンプルな
長方形にしました。
ケースつけたりデコったりして
キャラ付けしてもいいですが
「みんな同じ」
「無機質」
「殺伐感」
を出したいなと思い、単純な長方形に
してます。
みんな同じ「凶器」なんですよね。
物語で語るところではないんですが
自分はとても重要なファクターと
思い意識してました。

SNSと携帯

携帯の中で見たり、入力したりすることは
簡単に外の世界とつながるんですよね。
怖いです。

「インバズ」(略してみる(笑))
の中で作画で特にこだわったのは
そんな部分を垣間見る時
表情やSNS表現などでしょうか。

絵面的な部分もそうですが
動画のサムネイルの文章や
SNSのつぶやきの内容、
ネットニュースの中身は
フィクションですが
本当にあるかのような
リアリティを感じるようには
作ったつもりです。

あと
表情は意識しました。
ニチャ顔や樋本の卑屈な顔…
ゆがんだ表情が多いマンガは
なかなかないと思いますw
8話のざまぁや
13話の慌ててる樋本の顔は
イイ感じです。

気持ち悪さ!

あとは通して
「気持ち悪さ」
が残るようには描いてます。

マンガですからあこがれや
好きという感情が生まれる主人公像
であるべきなのですが

人の闇部が流れていく物語で…
インキャのバズりかたで…
読者は何に惹かれて読むのか?
それは「気持ち悪さ」でしょう。

この気持ち悪さは
強いて言うなら
サザエの腸、魚の腸のようなエグみ
とでもいいましょうか…

この
「湿度100%の陰キャサスペンス」
は「気持ち悪さ」を堪能できる
エンターテインメントです!
(このアオリとても気に入ってます!)

今回はここまで。
読んでくれた人には
いろいろ考えて描いた所を知って
もらえたらうれしいです!
作画担当ができて本当に良かったです。
他に作品の事を話せる機会は
ないと思うのでここでまたいずれ。

陰キャのバズりかた
この後もお付き合いください…

2024.2月吉日

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