雇用に見る ジェンダー差別
2020年4月、改定パートタイム・有期雇用労働法が
施行され、2021年4月からは中小企業にも適用されました。
これは 「同じ仕事をしているなら、同じ待遇を」と
正規雇用と非正規雇用の間で あらゆる不合理な待遇格差を
設けることを禁止し、格差のある手当や制度、または
非正規にない手当・制度について疑問があれば
待遇差の合理性について説明する責任を使用者に課す
というものです。
わたしたちは、これによって 均等待遇・格差是正が
おおいに進むものと期待していました。
しかしコロナ禍において 法は守られず、
かえって コロナ禍が正規と非正規の分断をうむ
結果となったのです。
今回は、いま 非正規に何が起こって、
どこが問題なのか?学んだことをお伝えして
いきます。最後まで読んでいただけると
うれしいです。
◆非正規差別は なぜ起きた?
2020年、「コロナ災害」のなか 非正規雇用者数は
4月に緊急事態宣言が出てから急減し、
7月は前年同月比131万人減と過去最大の減少でした。
移動制限の影響を受けた飲食業・宿泊業・イベントなどには
アルバイトら非正規が多いためで 年末まで減り続けました。
一方で正規の雇用者数は5月にわずかに減ったことを除けば、
すべての月が前年同月比プラスでした。
経済が大変な状況でありながら、なぜ正規はプラスだったのでしょう?
それは、コロナ禍の前から 極端な人手不足だった上に 今後の
人口減少も確実なため「中核となる人材を確保しておく」ニーズが
強かったからです。
企業は景気悪化で仕事が減った分 正規雇用者の残業時間を
減らしたり、休業させたりして雇用は維持しました。
しかし、一方で 非正規は休業させても休業手当を払わず
雇用維持の補助金も使わない。であったり
正規の休業補償は100%なのに、非正規では6割しか
出さないところも 多く出ました。
正規には休業手当を出すが、非正規には出さない。
パートタイム有期雇用労働法が成立したのにも
かかわらず、非正規差別が横行しています。
いったい、なぜ法は守られないのでしょうか?
◆非正規雇用が 女性に多い理由
コロナ禍において、もっとも影響を受けたのは
非正規の女性たちでした。
2000年以降 雇用労働者は増加していますが、
その大半は女性。
雇用労働者の45.3%は女性であり、
雇用形態もさまざまですが 非正規雇用の占める
割合は年々増加し、いまや女性非正規(1,574万人)が
全雇用労働者(5,659万人)の27.8%を占めています。
昔は、私のイメージでは 主婦パートという言葉が
あったように パートに出るといえば、
三角巾にエプロン姿でスーパーの
レジ打ちをしているような、正規で働く夫がいて
子供にお金がかかるようになったから
ちょっと家計の足しにする、補助的な働き方でした。
でも、今は 年々サラリーマンの収入は減り続け
年功賃金も保障されなくなってきたことから、
ひとりの収入では家計を支えられなくなった。
また 未婚やシングルマザーの増加など
非正規であっても、主体生計者であるケースが
多くなってきています。
2015年 第2次安倍政権が発足し、女性活躍促進を
謳うも 増えたのは非正規雇用のみ。
日本の非正規労働者の賃金は、女性が家計の補助的働き方を
していた時代の水準を引きずってきていますから
いまだに低賃金。
結局 政府・財界にとって安上がりで
リーマンショックと同じように、景気が悪化した時には
雇用の調整弁として正規を残して
非正規が切り捨てられるという
都合のいい「女性活用」にすぎません。
◆労働組合の出番です!
いま、コロナ禍の差別的な扱いによって、
生活できず事実上の退職に追い込まれたとの相談が
労働組合に多数よせられています。
立場の弱い非正規女性からの SOSを労働組合が
受け止めているのです。
立場の弱い労働者だからこそ 労働組合につながり、
なかまを増やし、コロナ対策や要求を労働組合で
実現させている事例が全国でひろがっています。
コロナ危機を乗り越え せいかつを守るためには
労働組合につながり、会社と交渉することの大切さが
あらためて鮮明になったと言えるでしょう。
◆まとめ
女性だから、短時間だから、非正規労働者だから
そんなことで コロナ禍の補償がないのはおかしい!
立ちあがった仲間たちが 補償を実現し、
権利を勝ち取っています。
同じ労働者として格差はおかしい!
非正規労働者が労働者全体の4割になった現在、
性別や雇用形態が違っても、仕事が同じであれば
同一の基準で賃金を支払うこと
(同一労働同一賃金)
休暇や福利厚生などさまざまな制度において
待遇に格差をつけない
(均等待遇・格差是正)
法律はできた。でも それだけでは何も変わらない。
「パートタイム有期雇用労働法」を職場に活かすも
非正規労働者の権利拡充も
私たちが 私たちの手で運動をつくるしかない。
これからの未来に向かって!
以上です。
拙い文章を さいごまで読んでくださって
ありがとうございました。
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