勝手に電力ビジネス分析③(送配電戦略)
発電戦略に続き、送配電戦略について書いてみます。
送配電コストは、業界では「託送料」と言われて、地域電力会社の送配電部門が設定する規制料金になります。
とすると、すべての電力会社に同じ単価で課金されるため差別化要素はない、、ように見えますが、下記リンクを見てください!
http://www.tepco.co.jp/pg/consignment/notification/pdf/ryoukint2804-j.pdf
まず、託送料は
①基本料金
②電力量料金
の2種類あり、それぞれ地味に工夫は出来そうです。まず簡単な②から。
実は②には、一日中同じ単価のものと、昼夜で単価が異なるものがあります。夜の電力利用が多いユーザーには昼夜別単価の託送料を選択することで、少しですが送配電コストが下がるかもしれません。
次に①ですが、「実量契約」という項目がありますが、こちらは計測時点の過去1年のピーク電力kWで算定する契約であるため、例えば会社で13時丁度に電気を点け始めるせいで、ピークが立つことが意外にも多いのですが、この時間を30分ズラしたり、実は点けっぱなしにしたほうがピーク電力抑制になったりしてます。kWhだけをみた省エネのマイナス面ですね。
上記のように、現状の仕組みでも工夫が出来ますが、なんと
送配電コスト= 0円
にする方法があります。簡単ではありますが、発電所を需要家のところに持っていけばいいだけです。つまり、屋根上太陽光などです。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/spv/1802/05/news025.html
これは昔からできたことですが、発電コストがあまりにも高く、「太陽光の発電コスト+管理コスト」が「系統電力の発電コスト+送配電コスト+管理コスト」より高くなってしまっていたのでできなかっただけ。
実は今やっとこのあたりのコストがトントンになってきたところで、太陽光の第三者保有モデルが徐々に日本で広がり初めてます。
屋根上太陽光のコストは今後下がり続けることが予想されるので、この流れは不可逆かと個人的には思ってます。
あと、2020年度以降に託送料の見直しがあります。想定されているのは
①基本料金の配分アップ
②発電側課金の導入
が大きなトピックです。①は相当なインパクトがあると個人的には思ってます。実は送配電コストの8割は固定費相当なのに、託送料の基本料金相当は3割程度しか回収できない単価に設定していたのです。過去の経緯があってこうなってるのですが、電力需要が減る中で基本料金で回収しないと日本全体の送配電コストはペイできなくなります。そこで、基本料金の負担割を固定費比率に近づけようという話になりました。
背景が長くなりましたが、基本料金の単価は、ピーク電力に左右されるので、
ピーク電力を下げる
戦略になります。しかも、蓄電池や電気自動車が普及しますし、IOTによる制御も可能になるので、テクノロジーを利用してピーク電力を下げる戦略はメリットが大きくなってくると個人的には思ってます。自分が今狙っているのもそこになります。
②の発電側課金ですが、細かい説明は端折りますが
全量売電→発電効率が鍵、高圧低圧の小さい発電所が有利
余剰売電→住宅が有利
になりますし、発電したものを系統に流すことに課金される考えなので、「系統に流さない=自家消費」のメリットは①②ともにメリットのあるソリューションになります。
私の文章力の拙さでこのインパクトがうまく伝わりませんでしたが、電力会社の経営に物凄いインパクトを与える一大事と個人的は考えてます。
是非、託送料の制度を考慮しながら、電力会社の動向をウォッチしてみてください!
http://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_network/pdf/180604_report.pdf
電力関連を中心にほぼ毎日気づきを書いてます!少しでもお時間があれば立ち寄ってご一読いただけると嬉しいです!