【対談録】自然電力 出張さま

<対談動画>

棚瀬:今日は自然電力の出張さんに来ていただきました。よろしくお願いします。

出張:よろしくお願いします。

自然電力会社紹介
出張:自然電力は2011年6月に磯野謙、長谷川雅也、川戸健司という3人の創業者で設立された会社です。この時期って東北の方で震災があったすぐ直後で、実際会社が設立されるにあたって東北の震災に影響を受けたところは少なからずあるとされてます。

特に原発の事故を見たときに、「自分たちでこの地球環境に向かわなければいけない」、「人に任せたらいけないんだ」という思いを持って自分たちで創業したようです。3人でお金を出し合って150万円の資本から始まった今年9年目の会社です。

そんな私たちの存在意義ですけれども、ミッションを刷新しまして、なぜ私たちがこれをやるのかということを「青い地球を未来につなぐため」と再定義しています。元々は再生可能エネルギー100%の未来を目指していきたいということもあったんですけど、私たちが抱えている問題ってもっと広いんですよね。

なので次の世代につなげていくためには再エネを100%にするだけではなく、インフラ事業に関わっていく中で見えてくる様々な社会問題に向き合っていかなければいけません。そういった広い視点から青い地球を未来につないでいくということを成し遂げていかなければならないと考えています。

そんな我々の事業なんですけれども、小売事業というのは実は一部です。我々はまず自然エネルギーの電源を作り、動かし、作られた自然エネルギーを需要家の方々に使っていただいて、そこで得られた収益の一部をさらに発電源の開発に回すというような形で最終的には自然エネルギー100%の世界を作り上げていくという思いを持って事業を行っています。

コミュニティをいかにして持続的なものにしていくか考え、全体のモデル設計をしながら自然エネルギーの導入をしていく必要を感じています。長野県の小布施町に長野電力という会社があるんですけれども、いかにしてそのコミュニティを未来につないでいくのか、我々の言葉で言うと自立型分散型社会というものを特に目指していくべきだと考えています。

自然災害も強くなっていく中、防災という考えも取り入れながらコミュニティに自立して安心した生活を提供するために我々に何ができるかを常々考えて事業展開を進めています。

あと、共創ということで海外の知見をお持ちの企業さんとお付き合いしながら8年間で1GW分の開発実績を重ねてきました。事実上原発約1基分、約33万世帯に電力を供給できるだけの開発実績を8年かけて積み重ねてきたという会社になってます。

Q.長野電力のまちづくり事業って?
出張:最近始めた事業で2つご紹介できるうちの1つはミニマムグリッド事業です。グリッドって書いてある通り、いかにして送電線網との関係でうまくバランスをとっていくかということです。

自然エネルギーでの発電って太陽光パネルを置けばまずはできますよね。ということで例えばその屋上面積が広い建物の上に太陽光パネルを敷き詰めて、そこで発電した電力を蓄電できればその蓄電から効率よく電気を使うことってできますよね。

一方でやっぱりその市場価格って上下するので、一番安い時間帯に使わないで、一番高い時間帯に蓄電池から電気を供給するのが一番効率いいわけです。というようなものをモデル化して導入していくってところをミニマムグリッド事業として立ち上げてます。

蓄電できるので例えば大雨や台風で被災した場合も一時的に蓄電された電気からしばらくは電力供給を行うことができるような仕組みを持っており、大送電網に頼らなくてもある程度自立して、且つ経済性も保ちながら電気を使うことができるのが1つ新しい事業として持ってます。

宮澤:なるほど、それは電気の地産地消という観点からもすごく有意義ですよね。

出張:そうですね。そしてもう1つも地産地消につながるところでソーラーシェアリングです。農地って結構空あいてるじゃないですか。なので農地の上にソーラーパネルを敷き詰めて、ソーラーパネルの下で農業やりますっていうモデルなんですよね。

これも地産地消の考え方につながりやすくて、農地をそういった形で利用し、発電したエネルギーを使うことで災害での被災、あるいは不作の年であっても売電収入を得ることができ、その農家の収入を安定させることができる。そこでできた電気を地域のグリッドに流し込むことで作った電気をそこで使うこともできます。以上の2つが我々が地域の中で展開していきたいと思っている2つの新事業です。

宮澤:勉強になります、ありがとうございます。

Q.自然電力のメンバーについて教えてください
出張:やっぱり自然電力の方々に共通してるところは自分たちの力で何とかして社会問題を変えていく、社会インパクトを出したいという意識が高い方が非常に多いかなと思っています。

一方でスペシャリティが求められるという観点ですごい面白いのは年齢幅がめちゃくちゃ広いんですね。やっぱり熟練の施工のノウハウを持った方々ってシニアの方が多くいらっしゃいます。保守とか運営で関わってくる方々ってやっぱり長年のノウハウを持ってる方々がすごい多いんですよ。

建設の現場も地元の工務店のシニアの方が多いんですけどそこにプロジェクトマネージャーで20代、30代の人間が来るんですよね。そういったすごい面白いミックスで動いていて、年齢差で会話が合わないことが現場では多分あるとは思うんですけど、そういったメンバーが手を取り合って仕事をしてるところは自然電力ならではなんじゃないかなとは思います。

会社の中でも結構日本人じゃない人間も普通にいたりします。これは海外のパートナーさんと連携してるからというところもありまして、年の幅で熟練の技術を取り入れることも当然あるんですけど、やっぱり海外でしっかりとしたノウハウを持ってらっしゃる例えばjuwiだったりですとか、そういった会社としっかり連携をした上でノウハウを受け継いで事業を動かすところがすごく効いてると感じます。

人の採用に関して言うと、やっぱりビジョンで合う方が多い一方で、足りない知見に関しては様々なステークホルダーの方々にご協力をいただいているといったところがあるかなと思っています。

Q.デジタル支援の取り組みを教えていただけますか?
出張:デジタル支援はいかにして電力を効率よく活用していくかだと思います。情報技術を組み合わせていくことで、究極に目指していくべき大きなテーマの1つとして災害に強いライフラインを作りこんでいくことかなと思っています。

この災害に強いライフラインの要素の1つとしてモビリティが挙げられます。電気自動車も今かなり新車種が出ていますが、そういったところに対して自然エネルギーから電力供給できるようなインフラを整えていくということです。

そして、その地域の通信会社さんってあると思うんですけれども、通信会社とこういったモビリティを組み合わせていくことによって様々な情報を地域で管理することができるようになってきます。そこに地域サービスとしてのIoTを導入していくことで見守りサービスのような形があったりですとか。

最終的にいけば水道とか下水道の電力で動いてる部分にも自然エネルギーが使われるようになってきます。これ全部デジタル技術がないとできないことなんですよ。

新技術を使って情報のやり取りをしながら最適な電力調整をしていく中で、究極はデジタルで限界費用が0のベーシックインフラの構築をすることが実は一番目指していきたいところです。そこが一番根底にあると思っていただけたらと思うんですけど。

今できることの1つは複数のインフラに含まれる要素を組み合わせていくってことかなと思っています。例えばEVの蓄電池化や、屋根置きの発電所から得た電力をデジタル管理することで非常に高度な効率化を行っていくなどです。

こういったことを通して最終的には限界費用が0になるような形で自然エネルギーが様々なインフラを支えていくようにすることが電力事業のコンセプトになっています。

最後にメッセージをお願いします
出張:この夏すごい暑い日が続いていて、改めて身を染みて地球温暖化って結構進んでいるのかなって感じます。なので手遅れになる前にコツコツとやれることからやっていくことってすごく大事だなって思っています。

自然電力のパーパスに英語でWe take action for the blue planet.って書いてあるんですね。やっぱりいかにアクションしていくかがすごい大事だと思っていて、そういう意味で言うと我々自然電力側の人間なのでできれば自然電力に電気を切り替えていただきたいところではあるんですが、ほかにも色々な事業者さんがいらっしゃいます。

いろんなコンセプトがありますし、結局のところ再生エネルギーを使っているということに関しては変わりがないというところが正直あると思ってます。なので個人的には自然電力に変えてくれというよりは、地球の環境問題に対して何でもいいから自分の考えにあった自然エネルギーに切り替えていただくことをまず1つ目のアクションとして多くの方々に取っていただけたらそれはすごくありがたいことだなって思っています。


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