ねずみさん、ありがとう ♪
最近、とんとネズミを見なくなった気がする。昔は屋根裏でネズミと猫の逃走劇を耳にしたものだけど、全く足音も聞こえない。田んぼでもここ何年、ネズミを見たためしがない。
彼らはどこへいってしまったのだろう。ひょっとして近くに野良猫が増えたことが要因なのだろうか。夜な夜な猫軍団とネズミ軍団の抗争に明け暮れ、ついには白旗をあげ、どこかに行ってしまったとしたら少し哀しい。
神話の中でネズミと言えば、大国主命の物語である。
大国主命は出雲にやってきて、スサノオの娘スセリヒメに一目ぼれ。スサノオに結婚の許しを乞うと、いきなり難題を吹っ掛けられる。
スセリヒメのアドバイスや援助はいいとして、動物の中で唯一、大国主命を助けてくれたのが何を隠そう、ネズミである。もし、ネズミのアドバイスがなければ、ここで大国主命の物語は一貫の終わり。そして大国主命の国造りもなかったことになったかもしれない。
そう考えると、もっとネズミを大切に扱ってもいいような気がする。少なくとも因幡の白兎くらいには有名になり、白兎神社ならぬ、灰色鼠神社なんてできていてもおかしくないのではないかと思ったりする。因幡の白兎なんて大国主命に助けられただけじゃないかと、つい、何の罪もない白兎に八つ当たりしてしまいそうになる。
けれど、現実にはそうはいかないですよね。古代では高床式倉庫の「ネズミ返し」にみられるように、穀物被害は昔から深刻だったよう。
それではネズミは嫌われ者だったのかというと、そうともいいきれない。
まぁ、ときに「ねずみ講」とかいって、あまりいい意味に使われないこともあるけれど、意外に昔話にはネズミが登場し、活躍する話が少なくない。
「おむすびころりん」なんて、みんな一度は読んだことがあるでしょう。
日常生活で身近な存在であり、困ったやつだけど、親しみもある。
そんな感じでしょうか。
こう考えると、案外「トムとジェリー」のジェリーのほうが、世界的スーパースター「ミッキーマウス」より、実像に近いかもしれない。
それはそうと、出雲神話では大国主命を助けたことで知られるのに、ひとつも文句も言わず、子供たちにも手伝わせた、その献身はもっと評価してもいいと思う。できることなら今からでも「出雲の灰色鼠」として物語を膨らませてあげたいくらいである。まぁ、そうなったら捏造になっちゃうけれど。
今回、 この話に名所は登場しないので「いつも神様でいっぱい♪」に入れることがでてこないことに気が付いた。
よって、この話は「楽しく読もう出雲神話♪」の記念すべき第一号に入れることにします。記念すべき第一号がネズミの話でいいのかと思うけれど、それぐらいのところから出雲神話を進めていくのもいいかもしれません。
こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。
よかったらご覧ください ♪
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