黒の森

目の前に黒い霧が
立ちはだかる 
闇は深く歪んだ森
胸の痛みに震えようと
居場所などない

黒くなった涙は
頬を伝い
森に吸い取られていく
黒い霧に包まれた私が
森で消えることを望む
胸には大きな穴
滴る血は黒い

小さな女の子が
近づき真っ白な薔薇を出し
「これあげる」と微笑んだ
二人は見つめ合い
片方ずつ手を差し出し
薔薇の香りを嗅いだ
肺に広がる甘酸っぱさに
脳は心地よさを抱く
「良かったね」と女の子が
やさしく手を振り
黒い霧と共に消えた

過去と今と未来の
わたしが重なる
自身に見せる幻覚か
踏み出す明日に
光の粒がちりばめられて

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