240515 宛名無しの書簡

貴方のことが、大好きだ

はじめに。
「好き」という感情は、そのひとの経験や知識、それによって構築された思考から生まれるものだと思う。
だから、少し、いやたくさん、書き手個人の話もしてしまうが、仕方のないことだと受け止めてほしい。
また、この文中で、「好き」や「愛している」という言葉を多用するが、いわゆる「リアコ」や「ガチ恋」と言った感情ではない。マジでない。まず私は恋愛対象が女性だ。

オタク的視点の語りだけ見たければ、目次から「須貝駿貴というひと(B面)」に飛んでいただいて構わない。
明るい結論だけ知りたければ、目次から「貴方に出逢えた世界だから」に飛んでいただいて、まったく構わない。

先日、5/12は、QuizKnockの須貝駿貴さんのお誕生日であった。
それはそれは幸せな日だった。見る景色全てが輝いているようで、ずっとずっとはしゃいでいた。そして、心の内から湧き上がる様々な感情に押し流され、私は何故か、この日をずっと泣いて過ごしていた。
あなたの、貴方の、貴方たちの、その気高い魂と優しい考えが、私を救ってくれたからだと、思った。
だから、彼の『大感謝祭』という言葉に乗じて、感謝を述べようかと、思っている。少し遅刻したけれど許してほしい。
これから書く文章は、「貴方のことが、大好きだ」という、正直、この一言に尽きる。ので、書き手の話に全く興味がないのであれば、もうここで閉じていただいて構わない。


長々とした自分語り

私にとって、「学び」というのは苦しみがいつも付随していた。
自分の障害(特性と呼ぶべきかもしれないが、私はこいつのせいで苦しんでいるので、こう呼ぶ)のせいで、常にクラスやグループから浮いていたし、識字や計算に若干の苦手を抱えているので、勉強から遅れるのも早かった。
保育園の頃からずっといじめられていたし、先生はみんな『わるいひと』だったし、家庭は家庭でややこしいしと、幼少期の経験からずっと苦しんで過ごしていた。そのせいで、『学校などの施設=苦痛』という等式が常に成り立っていた。
だから、逃げ出した。逃げることは簡単だった。中学は遅刻・欠席回数が一学年で200回を超えていたはずだし、友達がほぼ0人だった高校はそれよりもっと酷かった。ほとんど不登校で、家に籠って本を読んだりゲームしたりして過ごしていた。
私は、幼い頃から興味関心が広くていい子だねと言って育てられてきたらしい。何故かIQも高かったし、好きなことに関しては博士を名乗れるくらいに丸暗記していた。
けれど、学校はとにかく苦痛だった。
「こんなのできて当たり前」と言って、できない私を放り投げた教師や、地域で一番偏差値の低いヤンキー校に「そこしかいく場所ないよ」と笑いながら言って、その上何もしなかったくせに別の学校に合格したら「私のおかげだ」とでも言いたげに笑ってきた教師、もっといる。思い返すだけでたくさんいる。親にこの仕事は向いてる、こういうこと学んだらとたくさん言われたけれど、正直、正直、「学ぶことは苦痛だ」と確信していた。
から、高校を卒業するというそのときに、「大学に行こう」なんて、全く思わなかった。

就職し、転職を数度して、私の人生はめちゃくちゃになっていた。いわゆるブラック企業に捉まって、死ぬ方が楽な生活をしていた。7時に会社着、23時ごろまで休憩なしで働いて、また次の日も7時に会社。行っては罵倒され、叱責され、腫れもの扱いされ。そんな生活だった。あっという間に精神を病んで眠れなくなり、しまいには睡眠導入剤1シートとウイスキーストレートで昏倒して出勤する、みたいな生活をしていた。本当にしていた。
正直、本当に、楽しいことなんて一つもなかった。早く死にたかったし、そのためにタバコを吸い始めたり、浴びるように酒を飲んだり、倫理的に言えないこともした。

遅刻が増え、業務態度が悪いからクビにするか否か、みたいな話を会社としていたときに出逢ったのがQuizKnockだった。

最初に何を見たかも覚えていないけど、とにかく、「凄いな、私は一生辿り着けない世界だ」と思ったのを憶えている。
彼らの技術は魔法だった。ぴんと張り詰めた空気に投げ込まれる問いを、誰が一番早く手にするかというだけのシンプルな話なのに、人智を超えているような奇跡を見ているような気持ちだった。その凄さに、何故か「また見よう」と思っていた。
会社を退職して、家で泣くかご飯を食べるか寝るかしかしていなかった生活に突然QuizKnockが増えた。動画を見ながら、知らねえ! って大声あげて笑うのも楽しかったし、これは知ってるぞ! と思うのも楽しかった。
そう、楽しかった、のだ。鬱の診断が下って、毎日真っ暗闇の中で生き延びていただけだったのに、「面白かった」。この「面白い」は、funやenjoyももちろんあるが、「interesting」が一番近い言葉な気がする。いろんな動画を見漁って、みんな好きになって、いつの間にか憧れていた。楽しそうだなって、本心から思っていた。



須貝駿貴というひと(A面)

須貝駿貴というひとは、クイズを学生時代にしていないメンバーの一人だ。
だから、初期のころの動画は、本当に「一言二言発言すれば良い方」みたいなものもあった。

彼だって、ものすごい人物だ。あの東京大学を卒業して、大学院に入って、超電導という難しい分野で博士まで取っている。理系、特に物理分野においては右に出る者がいないくらいには知識と経験と、自信があるはずだ。

だから、初期の動画を見ていた時、そんな彼でも圧倒されることがあるんだ、と思った。
私だったら、多分、QuizKnockにいたら、すぐに逃げてしまっていたと思う。自分だけできない、「自分だけ違う」という感覚は、なににも喩えられないくらいに苦しくて、悲しい。辛くて、できる限りそんな時間が短くあってほしいから、私だったら「逃げる」という選択肢を取っていたと思う。
けれど、彼は真正面から戦った
「なんでその答えになるの?」、「なんでそこで(ボタンを)押すの?」みたいな、我々の気になるところをしっかり質問して、「次は負けない」、「俺にもできる気がする」、と闘志を燃やす姿を見せてくれた。その上、周りはそれを馬鹿にしたりなど一切せず、褒めて、指導して、というスタンスを取っていた。
そのうえで、「楽しく学ぼうよ!」とでも言いたげに、彼らはずっと真剣で、ずっと笑顔だった。
今まで、自分のやることなすことを馬鹿にされて、興味を抱くという気持ちを失った身からしてみれば、それは大きな衝撃だった。

再度自分語り

「やれば出来る」を体現するかのように、須貝さんはメキメキとクイズが上達していった。他のメンバーから褒め称えられていた。
いつの間にか、「クイズ研究会に所属していなかったから」と言って付けられていたハンデも、無くなっていた。

その上、面白いことに私自身の知識量も増えていた。
「あ、これ前動画で見た……!」、「これ、語呂が良かったやつ!」みたいな、ほんのちょっとのことだったけれど、視聴者自身が無意識に知識を得ていた。親が見ているテレビをチラ見して、言ってることがわかるだけで楽しくなれた。
須貝さんがクイズに正解するだけで嬉しくなった。QuizKnockのメンバーが解説するのを聞いて、どんなジャンルでも「なにそれ面白い!」と思えた。
私は、本当に幼いころの記憶を思い出した。「知らないことを知るのが楽しい」という、私が本来持っていたものを思い出せたのだ。
そうして、病院での診断が徐々に変わっていった。重度のうつ状態だと診断されていたはずなのに、寛解に向かってるねとお墨付きを貰った。
勿論、「須貝駿貴一人の力で持病が寛解に向かっている」とは言わない。「推しはいずれ鬱に効く」みたいな、そんな怪しい言い方をする気は全くない。いや効いたけど、マジでそんなつもりない。
好きな本、見ている他のチャンネル、心の籠った歌、なんでもない友人との会話、いろんな要素が絡み合って寛解に向かっていると思う。
(追記:飲んでる薬のこと忘れてたわ。ありがとう炭酸リチウムとかそのへんのお薬たち)
けれど、確実に言えることは、「須貝駿貴の姿を見て、私は子供をやり直せた」ということだ。学ぶことの楽しさを、悔しくても頑張ろうという気持ちを、興味深いという感情を、確実に貴方のおかげで取り戻せたのだ。

須貝駿貴というひと(B面)

B面の方がオタク的にはmake senseなこと多いよね。『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』とか『放たれる』とか。『カルマ』はB面だったんだけどゲームタイアップだからA面に変えたらしい。へぇ~。
ということでオタクとしての彼の好きなところを書き残しておきたい。感情というのは不定形のものだから、変わったりしてしまうと思うので。

貴方の弾けるような笑顔が大好きだ。
本当に心の底から楽しそうで嬉しそうで、見ているだけで頬が緩み、笑顔になってしまう。
くちゃくちゃの笑顔、という言葉が誉め言葉なのかはわからないが、私は貴方のこういう笑顔が本当にかわいくて楽しくて嬉しい気持ちになる。
あと、ちょっと変なツボがあるところが本当に好きだ。何? 「う」で始まる懐かしいものでそんなに笑う?

知識において欲深いところが大好きだ。
気になったところは必ず質問をして、知らないことをしっかり断言して、それを全く恥ずかしがらず堂々としているところが好きだ。「知るのに奥手になる必要はない」って言われている気分になる。勝手に背中を押されている。
これに関しては正直該当動画がありすぎて選べない。もしQuizKnockを見たことがなくてこの記事を読んでいるとてもレアな人間がいたら、サムネに須貝さんが存在している動画を見たらだいたいそのふるまいを観察することができる。

すごいと思ったことをちゃんと真正面から伝えられるところが大好きだ。
少し恥ずかしかったり、言いづらかったりすることもあるだろうに、彼は絶対にまっすぐ相手に「すごい」と称賛できる。そういうところがかっこよくて本当に好き。自分にできないことはすごくて、その上で自分も知りたいと興味を向けられるところが本当に好きだ。

暗号の解読や変なクイズの一問目などの適応力が高いところが大好きだ。
なんにでも柔軟に対応して、すごくやわらかな対応ができるところがとても好きだ。
比較的年齢も高い方だというのに、常に感性が若々しく、変な建付けなどをすぐに受け入れることができるのがすごい。尊敬に値する。何か言われたときに柔軟な考え方をしようと思えるのは、誰よりも柔軟な貴方のおかげです。

知識の解説がとても上手で丁寧でわかりやすいところが大好きだ。
これはどういう仕組みで、どういう現象や効果を使っているのかということをしっかり把握している。それに、全く知識のない人間が聞いたとしてもなんとなく概要を掴めるような話し方が本当に素敵だと思う。そのうえで、一緒に面白がって、我々に興味を持たせてくれるところが本当に素敵でたまらない。

よくプレイミスをするところが大好きだ。
言わなきゃいいこともポロっと言っちゃうところがかわいくて愛おしい。それで相手に点数取られて駄々こねたりするのも本当に面白い。いつもゲラゲラ笑ってしまう。こんなに素敵で完璧な人間なのに、ちょっとポンコツ(誉め言葉)なところを見せられると「人間」すぎて好き……となる。

貴方が、貴方のファンを誰よりも愛しているところが大好きだ。

我々は、言ってしまえばただの「ファン」だ。「視聴者」かもしれない。
彼らの活動には、確かに我々の存在は必要かもしれないが、仕事以上に特別なことをする必要はない。いくら彼らを呼ぶ名の一つに「YouTuber」があるとしても、自分の時間を全て曝け出す必要はないと思う。
けれど、最近彼はブログやTikTokLIVEを利用して「ファンへの感情」を語ってくれるようになった。ブログに関しては有料コンテンツのため言及は避けるが、私は、「愛されているな」と思った。私はただ貴方たちの動画を見てゲラゲラ笑っているだけなのに、視聴者の成長についても目を向けてくれている。視聴者のことを考えてくれている。
彼は前「研究は受け継いでいくもの」みたいな話をしたと思うが(今動画が見つからなかった。見つかり次第追記する)
(追記:友人が即動画を見つけてきてくれた。ありえんくらい早くて笑ってしまった)

「研究は受け継いでいくもの」という考え方に沿って、若い世代へ受け継げるものを全て受け継ごうとしてくれていて、恐怖を覚えるほどに圧倒された。そして、私も受け取りたいと思えた。
我々オタクとしては「貴方が幸せなだけで私も幸せ」だというのに、貴方の方から我々のおかげ、みたいなことを言われては、もう、たまらない。じゃあもっと愛している! とか、そういうような子供っぽい感情のぶつけ方しか思いつかなくなってしまう。
貴方にすべての比重を置くようなこと、例えば貴方を「かみさま」のように、崇め奉って信奉して、盲目的に崇拝することはできるけれど、貴方への愛はそういう形ではないような気がする。
貴方と出逢って、優しく楽しいことを教えてもらって、そうして強く背中を押してもらえた。そういう、心象風景が浮かんでいる。

貴方に出逢えた世界だから

長々とオタク・語りをしてしまったのでまとめに入る。

私はQuizKnockに出逢って、須貝駿貴というひとに出逢って、人生が大きく変わった。
抑うつ状態で寝る以外の行動ができなかったのに、今は日中起きて活動できるようになっている。
勉強や学びに対する心的ハードルが劇的に下がっている。
毎日、知らないことを知ってどきどきわくわくしている。

そうして、私は人生をやり直す覚悟を決めることができた。
自分の根源にある興味を思い出した。ため、そのことについて学び、そしてなりたい職業のイメージが沸いたため、大学受験を決意した。
そう、「学ぶことは苦痛だ」「大学になんて行きたくない」と思っていた私が、ここまで変わった。
勉強どころか、人間生活すらまともにしていなかった期間もあったせいで、とてつもないブランクだし、信じられないほどハードルが高い。
まあ、正直受からない可能性だって十二分にある。のだけれど、でもとりあえず、できるところまで頑張ってみようと思う。

貴方に、須貝駿貴というひとに出逢ったおかげで、私はここまで変わることができたのだ。
だから、私は貴方のことが大好きで、愛している。
須貝駿貴さん、貴方のことが、大好きです。

さいごに

この文章を、ご本人に届けるつもりはない。
だから、無記名で、宛名も書かず、投函することを許してほしい。
愛しています。

可愛いなオイ



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